住宅関連記事・ノウハウ
2025年4月1日(火)
知っ得!住宅診断について
住宅診断の行く末!
住宅診断の普及
国が推進する政策で住宅を売買・リフォームするときには住宅診断することが常識になってきました。これを受けて、不動産・建築の団体や業者さんが住宅診断に取り組み始めています。全国宅地建物取引業協会は、住宅診断した住宅をハトマーク安心住宅とブランド化することを決めました。リクシルグループの不動産業者の集まりであるERAはインスペクションNEXT、パナソニックは家検。などなど多過ぎて混乱してしまいますが、住宅診断が浸透してくることは住宅を建てるうえで今までより安心して建てられるようになりますが、注意しなければならないことも増えてきます。
住宅診断を選ぶ際の注意点
- 住宅診断する人として本当に実績はあるか
- ブームに乗って参入する人は多いと思いますが、単なる建築士さんや不動産屋さんでは難しいと考えます。必ず実績・経歴を確認してください。
- 条件付きではないか?
- 無料の代わりにリフォーム工事をさせてほしい。とか売却するときに専任媒介契約をしてほしい。というように条件付にしていないか。関連事業で収益を上げるための住宅診断では、正確性が疑われます。
- 中立性はあるか
- 不動産業者や建築会社からの紹介の場合、紹介謝礼などを受け取っていないか。関係者の間で利益供与があると中立性が疑われます。これから住宅診断を利用される方は、以上3点に十分気を付けてインスペクション会社を選んでください。

住宅診断の選び方
住宅診断士の選び方
住宅を購入するとき住宅診断することが一般的になってきましたが、どのような住宅診断士に依頼すればよいのかというご質問をよくいただきますのでポイントをいくつかご紹介します。
資格に惑わされない
- 住宅のことなので建築士にインスペクションしてもらうのが一番とお考えの方も多いようですが、必ずしもそうではありません。もちろん建築士資格を持っていることに越したことはありませんが、建築士と言っても設計ばかり担当していて現場を見たことがない建築士はたくさんいます。実際の建物を見る現場監理をやってきた建築士であるかどうかを確認することをお勧めします。
他にも能力を発揮するのは、クレーム対応の実績があるので住宅のどの部分が悪いのか、よく理解している工務店でアフターメンテナンスの係をしていた人は建築士でなくとも十分適任だと思います。
使用する機材を確認する
- 国が出している「住宅診断・ガイドライン」では、主に目視でおこなうこととされています。しかし、それだけではし切れないのが実情です。そこで例えば弊社では赤外線サーモグラフィを使用して壁の中を透視して見ることで、断熱材の欠損や水漏れを発見しています。この機材は大変高価な機材ですので、当然料金に反映されて高くなります。同じ赤外線サーモグラフィでも解析度が高い機材もあれば低い機材もあります。料金を比較するときは、必ず見積もりを取ってどのような機材を使用するのかを確認しましょう。安ければ良いというものではありません。中古住宅を診断する場合、現在の売主さんが入居しているケースが多いのですが、診断される側(売主)からすれば、他人が家の中をじろじろ調べることは決して歓迎するべきことではありません。そんな中で重要になることは売主さんへの配慮です。玄関でのあいさつに始まり、靴の脱ぎ方、室内の歩き方、押入を開けるときのお断りの言葉、身なり所作など、必要以上に気を使うことが求められます。失礼ですが、一般的に建築士さんはそのあたりが無頓着なのです。
依頼時にどのような配慮をしているのかを知ることは難しいと思いますが、電話での印象や事前に送られてくる「事前説明書」や「注意事項」など、事前説明にどの程度かけているかである程度は判断できると思います。もちろん売主さんだけでなく、依頼者に対しての配慮も求められます。依頼する前に、各社の事前説明資料を取り寄せるのも一つの判断材料になると思います。

注意点!住宅診断では発見できないこと
住宅診断の限界
杭工事データの改ざんから傾いたマンションが問題になっているので、弊社にも「住宅診断をしておけば、あの事件は防ぐことができたのでしょうか?という問い合わせが多く寄せられていますが、答えは残念ながら「できません!」です。700戸近いマンションですので、おそらく完成時の内覧会で何軒かの方がホームインスペクションをしていると思いますが、それでもわからなかったのですから「できません!」言わざるを得ません。住宅診断は住宅の欠陥を発見する仕事だと考えられていますが、そうではありません。国土交通省が作成した『既存住宅 住宅診断・ガイドライン』には、中古住宅・マンションの業務の指針が書かれていますが、完成直後の新築住宅・マンションにも当てはまると思います。
既存住宅 住宅診断・ガイドライン具体例
- ・特別な機器ではなく目視を中心とした検査でできること
- ・利用者が負担可能な程度の費用や期間でできること
- ・どの検査事業者がおこなっても同様の検査結果が得られる程度の知見や検査技術でできることとなっています
住宅診断の範囲外
今回のような地盤の専門業者による特殊な機器を使った追加調査や多額の費用がかかる調査は想定していません。仮にそれを求めるならば、相当額の費用が必要になりますし時間と手間もかかるでしょう。おそらく住宅購入時にそれを負担してまで調査する人はいないと思います。

住宅診断で確認すること
マンションの住宅診断
マンションの住宅診断では、一般的には専有部分(室内)を診断しています。
特に注意している点
- ・給排水配管
- ・電気・ガス設備
- ・住設(キッチン・洗面台・浴室など)
- ・天井裏
これらは実際に住んでみて問題が発生すると、ただちに困ってしまう箇所なので重点的に診断します。見えている部分はお客様ご自身でもチェックできますし、大きな問題があることは少ない部分です。他には設計図書を見て、構造上生活する上で注意する点を確認する程度です。したがって、杭データが改ざんされているとか支持層まで到達していないという点は見ることはないのです。
マンションの共有部分の確認
本来マンションのホームインスペクションで確認したいのは共有部分の方だと思います。屋上防水の状態やタイルの浮きやはがれの可能性、パラペットの状態など専有部分でない箇所が原因のトラブルの方が圧倒的に多いのです。これらを診断するには分譲会社や管理組合等の承諾が必要になりますし、そこまでやる時間的余裕とコストがあるでしょうか?マンション購入時は、少なくともそちらの方に重点を置いて依頼されることをお勧めします。

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