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建築家 天野 彰 夏を涼しく(3)日本の家は光と風と時の平立断面の技

はじめに

暑いさらに湿気で暑い!前回は湿った空気が山に当たり線状豪雨を引き起こすと言いながら、今回は台風によって吹き込まれる湿った海風で列島全土に起こるフェーン現象の湿った暑さと豪雨。

日本独特の四季により文化が形成される

フェーン現象はまさに同じことで、わが国の南北縦長列島の平面と、南北が海と山との立体的な地形によるものなのです。この誰でもが知っている日本の四季の気象のはずなのですが、案外その立体的断面と方位による気象の現象であること知る現代人は少ないのです。しかしそのおかげで季節を楽しみ、味わう我が国独特の風雅の源であり、さらには農作物の植え付けの時期までも図っていたのです。それがわが国の文化であり、持続する繁栄と人知の元でもあったのです。

気候により生まれた独特な「塗膜」が日本古来の家をつくる

千年も、いやもっとその10倍も古くから先人たちはこのことを知っていて、わが国にしか生えない漆の樹液を使って、この湿気でしか乾かない永遠の塗膜と奥深い光沢の美を持つ漆器を生み出しているのです。まさにそれこそが世界で「ジャパン」と呼ばれる技のです。こうして古来わが国の家やさらに、今に残る京都の町家や、桂離宮などの宮廷や伽藍の平面図と立体図が生まれていることを思い起こしてみようではありませんか。

日本の都市型住宅に必要な光と風を呼び込む「中庭」

まずはあの雁行する平面は、まさに光と風を呼び込み、時とともに移り変わる光景を楽しむものであり、それが狭い都市の中の町家となると植栽(中庭)を真ん中に配し、そこから光を呼び込み、さらに立体的な風洞となり、強い日差しで熱せられた屋根で上昇気流を引き起こす。家全体をみごとに大きな換気扇としているのです。

イラスト:京都の町家の平面と立体大きな“換気扇”
イラスト:京都の町家の平面と立体大きな“換気扇”(画:天野彰)

中庭は単に家の中で楽しむ庭ではなく、光と風を呼び込むわが国の都市型住まいの“技”で、そこに草花を植え、月や雪など四季の情景を楽しむ、小宇宙なのです。まさにそのプランニングは「光」と「風」と「時」であり、四季折々の朝な夕なの情景がすべてのテーマとなり、わが国の優しい人間性ともなっているのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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