住宅関連記事・ノウハウ
住まいをおもしろく みんなのくつろぐお家
1 みんなのキッチンテーブル
新型コロナウイルスに始まりコロナ禍さらにはウイズ・コロナと私たちの生活のすべてが大きな変容に苛まれています。気掛りなことは人とのコミュニケーション方法でその絆が失われようとしています。中でも家族や友人、会社などの近しい関係ほど注意する必要があるとも言われています。特にマスクを外して一緒に食事することに抵抗を感じている人が多いのです。確かに親しげに会話し飲食をすることが人類の団らんの歴史です。そこが変容すると言うことは創始以来の災禍と言えましょう。
キッチン(台所)は家族の中心!仲間の中心!世界の中心です!
3DKとか4LDKなどは部屋数とリビング:L、ダイニン:Dとキッチン:Kの集合住宅の大きさを表した公団住宅(今のUR)の呼称ですが、住まいをいつからこう呼ぶようになったかのはわかりませんが、この数字と記号の羅列で家の優劣や価額など測られ肝心の家の住まい方や魅力などはまったく伝わりません。その中でも部屋数とLDKのありようが重視されることからなのでしょう。しかし実際の住まいでは、かしこまったリビング:Lなどよりもダイニン:Dとキッチン:Kが家族の居場所であり、中でもキッチン:Kが家族の中心となり、設計の現場でもこのキッチン:Kこそが打ち合わせの主となり、そのついでにお風呂やトイレ、収納などが議論されているのです。
しかしあらゆる住まいのCMや提案などの謳い文句はなぜか大きくて快適そうなリビングが強調され、外観やインテリアなど全体を彩って家のイメージとなっているのです。
滑稽なのは現実の住まいのリビングは単にテレビを見るだけか、旦那いや奥さんのごろ寝の場所で、狭いDKの食卓こそが唯一の家族の“集まり場所”となり、しかもご飯を食べたらサーと自分の部屋に引き上げて行ってしまうのです。
一体のLDKにして一諸につくる「テーブルキッチン」に
だったら普段使われない飾りだけのリビングを取り込み大きなDKにし、そのテーブル自体をキッチンにして大きなキッチンテーブルにし、あのお料理教室のテーブルか理科室の実験台のようにするとこのテーブルに組み込まれた流しやレンジで子どもたちが自然に料理をし始めるのです。このテーブルで家族みんなでわいわいがやがやと料理を作ったり食べたり、パソコンを持ち込んで宿題や仕事をするのです。
このキッチンテーブルで奥さんの朝はもとより家族のすべてがはじまり、毎日顔も見られ、その日の出来事も飛び交い家族の関係も変わって来るのです。こんなコロナ禍だからこそあえてこうした面白い集まり場所を設け、天井には大きな排気フードで覆って、四方から新鮮な空気を取り込み換気に注意をするのです。
このキッチンは家族の団らんはもとより、友だちや同僚などとリモートで繋げさらには世界へと発信して行くのです。このコラムで何度かご紹介したあの「炉端焼き」か「ステーキハウス」のようなお馴染み卓袱(ちゃぶ)台か、炉辺のような団らんの場として面白く楽しく創るのです。
このテーブルをさらに伸ばしてカフェテリアのようなジャンボテーブルにして、子どもの友だちを招いて食事会をしたり「趣味の講座」を開いたり、近所の子どもたちを集めて「塾」やお稽古場を開くことも可能です。やがて子どもたちが出て行って夫婦だけか、一人暮らしとなってもこのテーブルにはいつも仲間たちが集まって来る場所となるのです。
2 老いてもお風呂にゆったり入りたい
秋も深まりいよいよお風呂恋しい季節となって来ました。このコロナ禍でどなたも知らず知らずのうちにストレスを感じていらっしゃる人が多いと思います。特に高齢者は思うように外にも出かけられず気を紛らわすこともままならず、次第に生きる気力さえ失いかねないとまで言われます。そんな時こそザブッと頭からお湯をかぶって身体から汚れを洗い流すお風呂は、身も心も清め暖めてくれるのです。
これは元気で活発な若い人でも同じことで、外に出る時はまるで酸素のない別の惑星を探索するような感じで、物に触れるのも誰と会うのも心の奥底では互いが恐る恐る接しているような日常で、こんな中で真のコミュニケーションも生まれようもなく、常にもやもやとした空気が体中に纏わりついているような感じのはずです。こんな生活や環境が世界中に広がっていて、しかもいったいいつまで続くのかも分からない中で、次第に人々の心の中に不信感も顕れ、イライラが募って、エイッ、もうどうとでもなれ!など短慮にマスクを外して暴挙に出る人が現れるやも知れません。
老いてなお大切な入浴
「お風呂文化」は現代ではわが国独自のもののようで、確かにどの家庭にもお風呂はありどの街にも銭湯はあるのです。そんなことから老いて一人で入浴するのも困難になってもなんとかお風呂に入りたいと言うお年寄りも多く、こんなコロナ禍でも開設してくれるディホームや介護施設などの入浴サービスがありがたく最大の人気となっているのです。
その反対に欧米にはこうした施設にはまずこの浴槽自体がないのです。入浴サービスと言ったケアがなく、介護者にシャワーを浴びさせるだけですから、日本とは比べものにならないほど簡単と言えます。実際に彼らが日本へ来てこの豪華な入浴ケアを見学すると、皆一様に眼をぱちくりして見張り、これは新たなリハビリであり血行を良くするケア法であると改めて感心するのです。
同時に入浴やトイレは裸の空間で、個のプライバシーの場です。だからこそ身体はもとより、精神的にも開放されて落ち着くのですが、介護者の負担も多く今後このケアをさらに改善する必要もありそうです。
老いて尊厳を守る介護?「バリアフリーよりリハビリ」を?
裸と言えば、これまでにこのコラムでも何度かお話していますが、明治生まれの私の祖母は、老いて足腰が不自由になっても、入浴もトイレも最後まで自力で行き、介助の手伝いをわが娘(私の母)にもさせませんでした。這ってトイレに行き、便器によじ登って用も足していたようです。
入浴は脱衣室に敷いた大きなタオルケットの上でゴロゴロと転がって服を脱 ぎ、そのまま這って浴室のスノコの洗い場で長いホースのシャワーを浴びていたと言う・・・これを意識がなくなるまで「明治の女」の意地を貫いたと言うことから私は老いて自活すること!それが可能な家づくりが重要と思うようになったのです。
「バリアフリーよりまずはリハビリ!」の始まりなのです。
寒い日のわが家のお風呂の入り方
そこで暖房もないお風呂では、寒いときは急激に体が冷えて危険です。身体に優しく、しかも芯から温まるぜいたくな入り方があります。浴槽のお湯張りの時、やや熱めのシャワーを使って浴室全体を暖めるのです。シャワーヘッドが振り回されないよう輪ゴムをヘッドの付け根に巻いて滑らないようにしっかり固定し、浴槽に向け噴射します。これによって浴室全体がまさにスチームサウナのようになって暖かく、浴槽に溜まるお湯も柔らかくなります。“心も”和らぐのです。
さあ、頭から思いっきりお湯をかぶって、この忌々しいウイルスを洗い落しましょう!!
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