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2023年は、住宅ローン金利上昇!?「住宅ローン控除」などを活用するのは今がチャンス!
与党は2022年12月16日(金)、宅地造成のための土地の長期譲渡所得課税の特例延長などを盛り込んだ【令和5年度税制改正大綱】を公表しました。
大きなポイントは、次の5つです。
1.NISAの抜本的な拡充で、中間層の資産形成促進
2.税の公平性を保つために、富裕層への所得税負担強化
3.若年層への資産移転促進のために、生前贈与の相続税加算期間の延長
4.自動車の転換期対応
5.防衛費増額の財源確保
ほかにも、土地の所有権移転登記にかかる登録免許税の特例延長、事業用資産の買い替え特例延長などが盛り込まれています。また、低未利用地の流通促進のため設けられた、譲渡所得から100万円を控除する特例措置を延長。
譲渡価額の上限を500万円から800万円に引き上げる拡充も措置します。
住宅・不動産に関しては、ほとんど新税制はありません。相続時におけるマンション評価の見直しや大規模修繕時における固定資産税の税額軽減、土地の売買における登録免許税の軽減措置の3年延長、宅建業者の土地取得時における不動産取得税の軽減延長程度です。
この程度であれば、新たに住宅を取得する際の税に関して、さほど大きな影響はなさそうです。
昨年施行された住宅ローン控除の13年延長や住宅取得資金贈与など、家づくりを検討しているみなさまに直接影響するような変更拡充はありません。つまり、税制においては令和5年度税制改正に伴い【買い控えを考えてしまう】ような懸念はないと考えられます。
ただし、12月19日~20日に日銀が開催した金融政策決定会合において、今後の住宅ローン金利に大きな【上げ圧力】をもたらす大規模緩和の修正が決まりました。
従来 0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を 0.5%に拡大。
これは、12月20日から適用されます。
現在の長期金利は変動幅の上限近くで推移していることから、これは事実上の利上げ。これは世界中で起きている歴史的なインフレで海外の中央銀行が利上げに動くなか、日本の国債金利にも上昇圧力が強まっておりました。
ついに日銀はこの圧力に折れて利上げに踏み切った、ということです。
日銀は、いままで金融政策で長期金利を人為的に押さえつけておりました。ただ、この圧力によって長期金利の低位安定による市場機能の低下が懸念されておりました。ただ、日銀が掲げてきたマイナス金利政策の維持・フォワードガイダンス(先行き指針)の変更はありません。
長期国債の月間買入額増額(月間7.3兆円から9兆円程度)というところは変わりますが、大規模緩和修正に伴う金利上昇は、日銀の金融政策決定会合が発表された直後から円高・ドル安水準に。
確かに円安が資源高に拍車をかけ、電力料金や生鮮品など幅広い品目で値上げが進んでいるなか、幅広い費目の値上がりはみなさまご承知の通り、建物価格・工事価格の上昇にも直結しています。
多くのアナリストから、事実上の利上げに踏み切ることで海外との金利差が縮小。為替相場の急激な変動を抑える効果が期待できると予測されておりますが、実際のところ気になるのは、為替ではなく【住宅ローンの金利】です。
金利が上昇するということは、すなわち、借り入れ可能額が減ってしまうこと。
今後、家づくりを検討しているみなさまが直面するのは、建物価格の上昇と金利の上昇という【予算の問題】で、希望が叶えられなくなっていくこと。
今後、さらに金利が上昇して借り入れ可能額が少なくなってしまうと、ますます希望が遠のいてしまいます。
現時点では、変動金利はいままでの低金利が続くと予想されています。ただ、変動金利で低金利が保証されるのは、たったの5年間。最終的には、返済期間中に大きく金利が上昇していく、というリスクを忘れてはいけません。
となると、2023年の住宅ローン控除13年延長のメリットが最も受けられるのは【2023年中に入居】すること。
2024年以降に入居となると、借入上限額は 4,500万円に引き下げられるほか、【省エネ基準適合住宅】以上のスペックを満たす新築住宅でないと、そもそも住宅ローン減税の対象外となってしまいます。
<住宅ローン控除>
住宅の種類 | 入居年 | 控除率 | 控除年数 | 借入限度額 |
---|---|---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 2022~2023年 | 0.7% | 13年 | 5,000万円 |
2024~2025年 | 4,500万円 | |||
ZEH水準省エネ住宅 | 2022~2023年 | 4,500万円 | ||
2024~2025年 | 3,500万円 | |||
省エネ基準適合住宅 | 2022~2023年 | 4,000万円 | ||
2024~2025年 | 3,000万円 | |||
一般の住宅 | 2022~2023年 | 13年 | 3,000万円 | |
2024~2025年 | 10年 | ※2,000万円 |
※2023年までに新築の建築確認が必要
つまり、2023年の夏までに具体的な家づくり計画を詰めておかないと、建物価格と住宅ローン金利上昇による【返済額の増加&借り入れ可能額の減少】によって、家づくりを諦めなくてはならない可能性が高まるという懸念です。
家づくりは、家族ひとりの想いだけでは進められないもの。年末年始で家族が揃うときだから、家づくりについて取り組むべきか、やめるべきか。
家族で真剣に話し合あってみるタイミングなのかもしれません。
予想通り、日銀が長期金利の変動幅を拡大したことをうけ、長期金利を指標に金利が決まる住宅ローン固定金利については、多くの金融機関が金利を引き上げています。
一方、政策金利を引き続き 0.1%に抑える「マイナス金利政策」を続けることが決まっていることから、取引期間が1年以内の「短期金利」をもとに金利が決まる住宅ローンの変動金利は、長期金利の影響は基本的に受けないことから、そのまま低い金利で推移しています。
みなさまご存じの通り、変動金利型住宅ローンの借入金利は「基準金利-優遇金利」です。変動金利型住宅ローンは金融機関の競争が激しく、各金融機関とも優遇金利を徐々に拡大していることから、金利が年々下がり続けています。
また、通期(全期間)引き下げ型の住宅ローンを組んでいる場合、返済途中で優遇金利が変わることはありません。日銀が金融緩和政策を止めて政策金利が-0.1%から0%や0.1%%程度に引き上げられただけでは、変動金利は上昇しないと可能性は高いと想定できます。ただし、優遇金利は変わることはなくても、ほとんどの変動金利の基準金利は半年ごとに見直されます。よって、返済中の住宅ローンの利率が変更されるまで最長6ヶ月の猶予があります。半年後に基準金利が見直されても毎月の返済額が大きく変わらない仕組みとして、多くの住宅ローンは『5年ルール』といって、借入金利が引き上げられても5年間は毎月の返済額が変わらない仕組みがあります。あわせて『125%ルール』といって、基準金利が引き上げられて毎月返済額が増えるときも、もとの返済額の125%までを上限とする仕組みもあります。ただ、上昇した金利分の利息は、当然払わなければなりません。
金利が大幅に上がってしまうと、利息額が返済額を上回ってしまう可能性も十分にありえます。5年ルールによって月々の返済額が変わらなくても、月々の返済で払いきれない利息は未払利息として、次回の返済に繰り延べられていきます。
完済時期まで未払利息が残っていると、完済時にその未払利息をまとめて支払わなければなりません。繰り上げ返済をしていない場合、完済時は年金生活、かつ家の修繕や自分や配偶者の医療費(生活習慣病や白内障といった加齢に伴う病気)などで家計が逼迫している可能性は十分にありえます。
さらに、『5年ルール』・『125%ルール』が適用になるのは、返済方法が『元利均等返済』の場合がほとんど。最初にがんぱって支払いしようとして毎月の返済を元本返済分を同額にする『元金均等返済』では適用対象にならないことがあります。2023年に金利の急上昇が起こる可能性が低いとはいえ、残念ながら将来を正確に予測するのは困難です。
特にに変動金利や固定期間選択型の住宅ローンを借り入れを検討されている方は返済中の金利上昇に備えて対策を考えておくことが、たいへん重要なことになってきます。
金利が上昇したときの主な対策としては、以下の方法が挙げられます。
・毎月貯蓄して、繰り上げ返済資金を準備する
・生命保険の見直しや携帯キャリア乗り換えなど、大きな出費となっている家計項目の見直し
・借り換えをする
繰り上げ返済資金の準備
まず、繰り上げ返済資金の準備について解説します。金利上昇に対する最大のリスクヘッジは『期間短縮型繰り上げ返済』です。住宅ローンの利息額は借入残高に応じて決まることから、返済が進み残高が減れば減るほど利息負担は低くなっていきます。よって、金利が上昇したときに繰り上げ返済をして借入残高を減らすと、金利上昇によって返済負担が増えてしまうことを抑えることができます。
では、繰り上げ返済の準備として、毎月どの程度の金額を貯蓄すれば良いのでしょうか。その目安とは、月々の住宅ローン返済額の1/4以上。もちろん、他の家計支出に影響をもたらすほどの金額ではいけません
家計項目の見直し
毎月の『繰り上げ返済原資』を確保するため、大きな出費となっている家計項目の見直しにかかります。生命保険の見直しについては、住宅ローンを借り入れたタイミングで見直しをする方々は多いようですが、自分や家族の携帯費用をはじめとする通信費の削減は、手つかずとなっている方々が少なくありません
そこで、携帯料金を含む通信費の見直しに注目します。
よく言われる『キャリア乗り換え』は定石の手段です
同じキャリアでも契約内容の見直しをするだけで、家族あわせて1万円以上の通信費削減ができる場合があります。3大キャリアとも、自社セカンドプランド・ネット専用プランを用意していますが、携帯キャリアのショップでキャリア乗り換えなしでブラン見直し、セカンドブランド乗り換え、ネット専用ブランと比較など、いろいろ相談に乗ってもらえます。
また、2年ごとに分割払でスマホを入れ替えすることをやめて電池交換などのメンテナンスで機器の延命をすることなども、通信費を圧縮する方法として有効です。
借り換え
年があけても変動金利の金利が上昇しなかったことから、固定金利住宅ローンを組んでいる方が、変動金利に借り換えをしている話をよく聞きます。
ただ、間違っていけないことは、変動金利とは借りているご本人が金利変動リスクを背負うかたちになるので、あと数年で完済できるような方であれば大きな問題にはならないでしょう。ただ、20年以上にわたる長期にわたり変動金利を組む場合は、家計項目の見直しを図り、上記の繰り上げ返済資金の準備を進めておくことをお勧めします
逆に変動金利の住宅ローンを組んでいる方が、リスクヘッジとして固定金利に借り換えるパターンもあります。
変動金利から固定金利に借り換えると、借入時の金利は変動金利より固定金利のほうが高く設定されているため、返済負担は基本的に増えます。また、将来的に変動金利が上昇したとして、そのころには借入残高が減って利息分もそう残っていないとすると、リスクヘッジとして固定金利を選んだ目的を果たせない可能性もありえます。
忘れてならないのは、住宅ローン借り換えについては事務手数料や印紙税などの諸費用が別にかかる点。固定金利への借り換えをする場合、事務手数料や印紙税などの金銭的な負担をともなったとしても、金利が固定されるメリット(金利上昇に備えた掛け捨ての保険と考える)を得るべきかどうか、慎重に検討したほうが良いでしょう。
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