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注文住宅とは?入居までの期間や費用相場・内訳を解説!
注文住宅は建売より建築費用は高くなりますが、自由度の高さが大きなメリット。
ここではそんな注文住宅で、入居までの期間や費用の相場など、皆さんに知っておいて欲しい内容をご紹介します。
1.注文住宅とは?
ハウスメーカーや工務店、設計事務所に依頼して、依頼主(以下:施主)の希望に応じて建てる住宅が注文住宅です。注文住宅を建てるには、土地を所有していることが必要です。
外観や内装をはじめ、工法や建材・設備などもある程度の制約はあるにしても、自由に選ぶことができます。そのため、注文住宅は明確な価格の決まりがなく、あなたのご要望次第では、プラス500万はあっという間です。分譲住宅と比べても価格差は大きいでしょう。
2.注文住宅の入居までの期間は?
理想の家づくりには手間と費用がかかります。つまり、いつから居住できるようになるのか、目星をつけておくことが大切です。
注文住宅はマンションや建売住宅と違って設計の自由度が高いことから、情報収集や資金計画などの準備に1~3ヶ月、敷地調査と設計、見積もりまで1~6ヶ月、そして地鎮祭から着工、上棟式、引き渡しまでの建築期間は4ヶ月~1年ほどかかります。
注文住宅を建てるときには、土地も必要になります。
土地の購入にあたっても、希望の条件にマッチした土地がいつ見つかるかは読めません。また各種手続きなどで何かと手間がかかります。さらに、注文住宅は建築業者との打ち合わせにも時間がかかるもの。
土地探しにかかる期間は最低でも3ヶ月。通常は1年程度の時間が目安になります。
3.3種類の注文住宅の特徴や違い~フルオーダー・セミオーダー・規格型
注文住宅にはさらに分けると3つの種類があり、それぞれ特徴があります。
<注文住宅のバリエーション>
フルオーダー | セミオーダー | 規格型住宅 | |
---|---|---|---|
間取り | 自由設計(工法による) | 間取りの自由度にある程度の制約がかかる | 決まった間取りから選ぶ |
設備 | さまざまな設備から選択 | 所定の設備(多数)から選択 | 数種の設備から選択 |
検討時間 | 非常に長い | 長い | 短い |
コスト | 高額 | やや高額 | 安価 |
■規格型住宅
あらかじめ決められた平面・立面の間取り・キッチンやトイレ、サッシ、室内建具、照明など複数から選択することで、自由度は少ないですが「安価」な仕様の注文住宅になります。性能はほぼ最低ランクの設定が標準。高性能住宅はオプション対応で追加費用がかかる可能性が高いでしょう。
■セミオーダー方式
平面・立面の間取りに多くのバリエーションがあり、キッチンやトイレ、室内建具、照明なども多くのバリエーションから選べます。ただし断熱性能やサッシ、玄関ドアなどの開口部は限られた中から選びます。
間取りなど家族ごとのこだわりを反映できますが、設備や住宅性能は決められたグレードになります。間取りにとてもこだわりたいご家族に向いていますが、優先順位をつけてグレードダウンは必要になります。
■フルオーダー方式
名前の通り、間取りやサッシなどの開口部や断熱、換気システムに至るまでの住宅性能はもちろん、水栓金物やスイッチ、照明なとの細かい部分まで自分でオーダーできる住宅です。
いろいろな要望を盛り込める半面、選択項目の多さから、すべての仕様が決まるまで時間がかかります。
4.注文住宅の5つのメリット
注文住宅のメリットは、なによりも自分たち家族のこだわりを実現できる点。
費用や労力、時間はかかりますが、世界にひとつだけの理想の住まいに住むことができます。こだわりの強い方は注文住宅の選択してみてはいかがでしょうか。
・自由度が高い
注文住宅のメリットは、なによりも家族それぞれの要望を実現できること。
「インスタ映えするおしゃれなリビング」、「家事動線からワークトップの高さ、水栓金物や食洗機にまでこだわったキッチン」、「帰ってきたらすぐに手洗いうがいができたり、ロードバイクも玄関に収納できる使い勝手の良い間取り」など、あらゆる要望を取り入れて検討する事ができます。また住宅を高性能にすることで、暖房器具が不要となり、その分のスペースを減らすこともできるのでスペースを確認することができます。
・建築過程を見ることができる
建売住宅は名前の通り完成済みの物件を見て契約しますが、注文住宅は契約をしてから家づくりがはじまります。
そのため、自分の家が建つ課程を実際に確認できるので、欠陥住宅や手抜き工事などへの不安も軽減できるでしょう。
ここで、少しだけチェックポイントをお教えします。
①現場の清掃や整理整頓されている?
②現場監督が工事を開始する前に近隣にきちんと挨拶したか?
③工事中は仮設トイレの位置と建築廃材の分別に代表される現場や近隣への気配りは?
詳しい施工状況はよくわからなくても、近隣挨拶や気配りができるかで、自分の家がどのような気持ちで建てられているか判断できるでしょう。
・予算調整ができる
注文住宅は何でも選ぶことができるので、予算も明確に決まっていません。要望が強ければ【プラス】になりますし、優先順位が低い・不要となれば引き算して【マイナス】も可能です。
大きなコストダウンの秘訣は、家の大きさと形を調整することと安価な工法を選ぶこと。それに加えて設備などのグレードダウンで微調整を図ることができます。
とはいえ、注文住宅はどうしても予算を超えてしまうことが多いのも事実。最初はできる限り費用を抑えたプランにして、プランを検討する過程で、どうしてもここはこだわりたいという部分を加えていくというやり方がおすすめ。細かな予算調整についても、対応してくる建築会社を選ぶことも大事です。
・2世帯住宅・3世帯住宅も可能
主に4人家族を想定した間取りが大半の分譲住宅と違い、注文住宅は同居する家族の人数にあわせて間取りを自由につくることができます。
たとえば、子供部屋は大きくつくって家具で仕切ることも、二世帯などではご両親の部屋をリビングから離して生活時間帯の違いによる生活音に配慮する、といった工夫もできますね。
・資産価値がある
駅やバスの路線などアクセスが良い、スーパーなど周辺施設が充実している、治安が良いなど、立地条件が良好な土地だと資産価値が下がりません。また、新しい鉄道路線の開通、大型ショッピングモールがオープン、再開発によって『住みたい街』になることも資産価値に好影響。さらに大手ハウスメーカー10社が協同で設立した『優良ストック住宅推進協議会:スムストック』に参画しているハウスメーカーで注文住宅を建てることも、建物の資産価値が下がらないポイントのひとつ。
建物価値は経年劣化によって価値が下がりますが、土地は資産価値が下がりにくいもの。資産価値が下がらない立地であれば30年後の資産価値に2,000万円も差がでる場合があるので、土地から注文住宅を建てるときは土地もよく検討が必要です。
そんな資産価値を考えた家づくりについて、もっと専門家の意見を聞きたい!という方は、ハウスネットギャラリー事務局までお問い合わせください。
5.注文住宅の5つのデメリット
注文住宅のデメリットは、入居まで時間と手間がかかる点、また土地から注文住宅を建てる場合、分譲住宅と比較して価格が800万円ほど高くなります。(全国平均)
さらに特殊な工法が必要となる設計、または軟弱地盤の場合などは、建築費の上昇をはじめ、地盤改良工事が必要になることも。
※出典:令和3年度住宅市場動向調査(令和4年3月 国土交通省 住宅局)
・予算オーバーのリスク
注文住宅は検討時にしっかり予算コントロールしたつもりでも、契約後の追加工事等によって、当初予算をオーバーする可能性は常にあります。
対策は、事前に予算オーバーになる可能性に備えて「予備費」を用意しておくこと。
予備費については、各々の状況によっていくら準備できるかなど、事前に専門家に相談することをお勧めします。
・売却が困難なケースも多数
注文住宅を売却する場合の難点は、3つ。
①建売住宅と異なり、売買価格が高い傾向にある。
②デザイン性を重視しすぎると万人受けしにくい物件になることも
住みやすさ・快適さがそぐわず、買い手が見つかりにくい場合があります。
③注文住宅は施主の都合で建てられた物件
そのため、家族構成やライフスタイルが一致すればいいのですが、買い手のニーズとミスマッチを起こしやすい可能性があります。
・建物引渡し前に倒産するリスク
近頃の社会情勢的に100%倒産しないといえないのが不安なところ。
そのような時のために加入しておくべきなのが、『住宅完成保証制度』という制度。別の建築会社に工事を引き継いでもらう際に、追加工事費用が発生してもしっかり保証してくれます。ただ、全部の住宅会社が利用できる訳ではないため、契約前に完成保証制度が利用できる会社かどうかもチェックしましょう。
・入居までに時間がかかる
注文住宅を建てて入居できるまで、一般的に情報収集や資金計画などの準備に1~3ヶ月、敷地調査、設計や見積もりが確定するまで1~6ヶ月、そして地鎮祭から着工、上棟式を経て引き渡しまでの建築期間は4ヶ月~1年ほどかかります。
つまり、入居までは最短でも5ヶ月以上、長い場合は2年近くの日数が必要です。
また、変形地で建築家でないと対応できないケースの場合は、設計から見積もりまでの打ち合わせにさらに時間がかかります。入居まで最低でも2年程度の時間がかかると思って計画しましょう。
・資金計画が複雑
建売住宅と土地を購入して注文住宅を建てる場合の流れは以下の通りです。
注文住宅では、土地・建物の建築工事請負契約を別々に締結する必要があります。
土地を購入していない人が注文住宅を建てるには、まず土地の購入が必要です。なお、建築会社によっては見積作成の段階やプラン提案の段階で仮契約・申し込みなどの書面を取り交わす例もあります。
また、建築工事を契約するタイミングで、建物代金の20%~30%の手付け金を支払います。手付け金支払いは請負契約時/着工時・工事中(基本構造ができる上棟時)・完成時の支払いも含め3~4回にわけて支払いことが通例です。工事中の手付け金は『中間金』と呼ばれます。
手付金は基本的に現金が必要です。自己資金で初回手付金の用意ができない場合は、つなぎ融資など住宅ローン以外で用意する方法も。
支払いのタイミングなども含めて、しっかり計画しなくてはなりません。そのため、注文住宅は計画を進める最初の段階で、お金=資金計画をしっかり考えることが重要です。
6.注文住宅の費用の内訳は?
土地の購入費用をのぞく注文住宅を建てるときの費用は、大きく「本体建築工事費」「別途工事費(付帯工事費)」「外構工事」「諸費用」の4つに分かれます。
■本体建築工事費とは
建物そのものの建築に必要な費用のこと。土地代を抜いた住宅の購入における費用全体の約70%以上を占めます。
本体建築工事費には以下が含まれます。
●基礎・構造づくりの工事:仮設工事や基礎工事、木工事など
●外装・屋根・窓・扉・断熱材やタイルの取り付け工事
●室内配線・配管(電線や水道管)
●空調工事
●住宅設備の設置工事 など
※建物の外回りの工事は含まれません(外構工事:庭や門、塀、駐車場など)。
■別途工事費(付帯工事費)とは
建物以外の部分の工事にかかる費用を指します。総費用の15~20%が目安。
本別途工事費(付帯工事費)の具体的
●水道管やガス管を敷地内に引き込む工事費用
●照明やエアコン、カーテンなどの購入・取り付け工事費用
●古い家の解体費用・地盤調査費・地盤改良工事費
その他にも、下水道が開通していない場合は、浄化槽設置工事、太陽光などの発電システムを設置する場合には、太陽光発電システム設置工事費といった別途費用がさらに必要となります。
ここでの注意点は「地盤改良工事費」。
弱い地盤で地盤改良が必要と判定された場合、設計した住宅の仕様により、それぞれ定められた地盤改良工事をしないと、そもそも住宅を新築することができません。地盤調査は土地の購入後に行うため、購入してからその工事が必要かが分かります。つまり、地盤調査・地盤改良工事はあらかじめ予算計画に組んでおくことをおすすめします。もし工事が必要なければ予備費と考えればいいでしょう。
<木造2階建の地盤改良工事の相場>
種類 | 総額 | 坪単価 |
---|---|---|
表層改良工法 | 40~60万円程 | 1~2万円程 |
柱上改良工法 | 100~150万円程 | 4~5万円程 |
鋼管杭工法 | 120~200万円程 | 5~7万円程 |
付帯工事費用がどの程度かかるのか、見積もりの時点でしっかり見極めることが大事です。
■諸費用とは
建物や建物まわりの建築工事以外にかかる費用全般を指します。建築工事費用全体の5~7%程度が目安。以下のような費用も含めて予算を設定することが重要です。
(1) ハウスメーカーや工務店との契約にかかる手数料など
(2) 不動産取得・住宅ローンにかかる税金(以下)
・印紙税:工事請負契約書や住宅ローンの契約書にかかる税
・登録免許税:「表示登記」「所有権保存登記」など登記手続きにかかる税金
・不動産取得税:不動産の所得にかかる税金
・固定資産税・都市計画税:不動産の所有にかかる税金
消費税:工事費や設計料については消費税がかかる
(3) 住宅ローンに関する費用として、「融資事務手数料」や「保証料」など
(4) 保険料 [火災保険・地震保険・団体信用生命保険料]など
(5) 地鎮祭での神主さんへの謝礼:3万円程・お供え物:1万円程や上棟式では大工さんへのご祝儀、棟梁:1~2万円程、その他:5千円程(1人あたり)などが必要
(6) 家具や家電の購入費用
(7) 引っ越し・仮住まい費用
(8) 挨拶回り、差し入れ費用
7.注文住宅の費用相場
現在では円安の影響をうけた物価上昇が影響し、住宅価格も同様に跳ね上がっています。ハウスメーカーの住宅価格は、木質系・鉄骨系とも本体価格がそれぞれ20万円/坪ほど上昇しており、木質ローコスト系住宅でも最低10万円/坪単位で上昇しています。
■土地購入ありの注文住宅の費用相場
全国平均で5,112万円となっています。前年と比較して約111%の上昇(前年4,606万円)。
※出典:令和3年度住宅市場動向調査(令和4年3月 国土交通省住宅局)より
■土地購入なしの注文住宅の費用相場
建て替え世帯では、平均3,299万円となっており、前年と比較して108%の上昇となっています(前年3,055万円)。
※出典:令和3年度住宅市場動向調査(令和4年3月 国土交通省住宅局)より
これまでにご説明したように、分譲住宅に比べて注文住宅は費用と労力が桁違いに多くかかります。さらに、今後も資材や人件費の高騰が続いていくと、今年度はさらに建物本体価格が上昇していくことは避けられません。
膨大な準備と検討時間そして費用が必要な点は、しっかり検討をして、自分の理想を叶える家でないと満足できない!という方は、早めに専門家に相談しましょう。
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