住宅関連記事・ノウハウ
2026年5月14日(木)
2000年を境に木造住宅の被害が大幅に減少
はじめに
ネクスト・アイズ早坂です。
今回は国内で発生した震災による建物構造被害において、住宅の耐震基準によって建物被害に大きな差が出たことについて解説いたします。
旧耐震基準と現行基準でここまで違った被害状況
国土交通省は2025年12月23日、『令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会(委員長=中埜良昭・東京大学生産技術研究所教授)の最終とりまとめ』を公表しました。
国土交通省:報道発表資料 令和7年12月23日
令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会 最終とりまとめを公表します。
~原因分析を踏まえた対策の方向性をとりまとめ~
こちらから
要約すると、現行の耐震基準の妥当性が改めて裏付けられたとする一方、旧耐震基準の建物では複数の要因が重なり建物被害が拡大した実態を指摘しています。
また、木造住宅では建築年が2000年を境に倒壊・崩壊率が大きく減少した事実も明らかにしています。
能登地域は住宅の耐震化率が全国平均を大きく下回っており、旧耐震基準の木造住宅の19.4%が倒壊・崩壊しました。一方、いわゆる2000年基準以降の建物で倒壊したのは0.7%(608棟中4棟)。
この結果は、2016年熊本地震における熊本県益城町における調査結果と同じ傾向を示しており、これらの結果から「現行規定は今回の地震に対する倒壊・崩壊の防止に有効であった」としています。つまり、現在の新築住宅において事実上の「標準」とも想定される「耐震等級2・耐震等級3」および長期優良住宅認定を取得した住宅は、それぞれ1棟が軽微から中破で済み、それ以外の住宅は無被害でした。
住宅性能は“コスト”ではなく将来への“投資”
同委員会ではこの結果を踏まえ、生活者の選択を促すため住宅性能表示制度や長期優良住宅認定制度の更なる活用推進を挙げています。
住宅性能表示制度は申請書交付だけで数十万円の加算。長期優良住宅へのアップグレードは建物本体価格で数百万円近くの加算になる可能性があるほか、認定書の取得に数十万円別途加算されます。
ただ、上記の各種制度は政府や自治体の補助金交付の対象になるほか、住宅ローン控除の優遇、火災保険における地震保険料の50%優遇など、建築時に加算された費用の大半はランニングコストの圧縮という形で戻ってきます。
さらに、将来の光熱費節約や加齢に伴う医療費が圧縮できるなど、新築時の負担は大きいものの、長く住めば住むほどおトクな仕様となります。
また、将来住まいを売却するときにも建物のメンテナンス履歴がしっかり保存されていることから、建物メンテナンス履歴のない一般的な住宅では、建築後20年経過すると建物の査定価格は0円になりますが、建物メンテナンス履歴が残っているだけで、建物の価値が残っている(=建物にも値段が付く)と評価される場合があります。
つまり性能評価の取得や長期優良住宅の認定取得は、インフレが進み年金が減額される可能性が極めて高い将来に向けた投資という考え方もあるのです。
先に解説した『令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会の最終とりまとめ』において述べられておりますが、旧耐震基準で建てられた木造住宅でも耐震改修を行った住宅(38棟)については倒壊・崩壊は確認されず、軽微から中破が22棟、大破が3棟で13棟は無被害でした。
同委員会では、今後は旧耐震基準の木造住宅についての耐震化をさらに進めるとともに、暫定的・緊急的な安全確保対策を含む「木造住宅の安全確保方策マニュアル」(2024年8月公表)の周知を通じて、木造住宅の安全確保を推進していく。としています。
※以下、国土交通省が公開している「木造住宅の安全確保方策マニュアル」を踏まえ、耐震化に関する情報をわかりやすく紹介している特設サイトです。
「家族を思う、強い家~大地震に備える耐震改修~」
こちらから
主に実務者を対象とした「木造住宅の安全確保方策マニュアル」は以下になります。(pdf)
「木造住宅の安全確保方策マニュアル」
こちらから
国の2026年度予算についても、住宅・建築物関連では防災・耐震化や脱炭素に重点を置いた予算となっています。
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