住宅関連記事・ノウハウ
2026年6月23日(火)
【ますいいリビングカンパニーの現場を訪ねて】伝統と革新が織りなす「大津磨き」の輝き
編集者が⽬撃した「左官」の真髄
注⽂住宅の総合情報サイト「ハウスネットギャラリー(HNG)」の編集者として、私は⽇々、多くの住宅会社様の素晴らしい取り組みに触れています。
現代の住まいづくりは、単に機能性やデザイン性だけでなく、そこに住まう⼈々の⼼に深く響く「物語」や「感動」が求められています。その「物語」を追求する中で、私が特に⼼を奪われるのは、⽇本の伝統技術を現代の住まいに昇華させる職⼈たちの情熱と、彼らが紡ぎ出す唯⼀無⼆の美の世界です。
今回、私が訪れたのは、埼⽟県川⼝市を拠点に「もっと⾃由で⾃分らしい家造り」を追求する「ますいいリビングカンパニー」様の現場でした。
そこで⽬にしたのは、⼀度は失われかけた「幻の技法」とも称される「⼤津磨き」の息をのむような美しさと、それを現代に蘇らせる職⼈の卓越した技術、そしてその技術に込められた深い精神性でした。このコラムでは、その感動と、伝統技術が現代の住まいに与える新たな価値について、HNG編集者の視点から深く掘り下げてご紹介します。
ますいいリビングカンパニーが追求する「良い家づくり」伝統と現代の融合
ますいいリビングカンパニー様は、単に家を建てるだけでなく、そこに住まう⼈々の暮らしそのものをデザインすることを⽬指しています。彼らが掲げる「良い設計·良い職⼈·良い素材」の三位⼀体は、その哲学の根幹をなしています。
建築家集団としての優れた設計⼒は、住む⼈のライフスタイルや価値観を深く理解し、それを空間として具現化する⼒に他なりません。例えば、彼らの⼿掛ける住宅は、⾃然光の取り⼊れ⽅、⾵の通り道、家族の動線など、細部にわたる配慮がなされており、住む⼈が⼼⾝ともに快適に過ごせる空間を創造しています。そして、その設計を現実のものとするのが、熟練の職⼈たちの技術です。
最新の建築技術と並⾏して、今回取り上げる「⼤津磨き」のような伝統的な⼯法にも精通しており、それぞれの技術が持つ特性を最⼤限に引き出すことで、唯⼀無⼆の住まいを実現しています。さらに、⽇本の気候⾵⼟に適した⾃然素材を厳選し、環境にも⼈にも優しい住まいを提供することで、⻑期にわたって快適で豊かな暮らしを⽀えています。
⽊材⼀つとっても、その産地や乾燥⽅法、⽊⽬の美しさまでこだわり、素材が持つ本来の⼒を最⼤限に活かす家づくりは、まさに「本物」を追求する姿勢の表れと⾔えるでしょう。この⼀貫した哲学は、今回ご紹介する「⼤津磨き」の施⼯現場にも⾊濃く表れていました。伝統技術を単なる装飾としてではなく、住まいの本質的な価値を⾼めるものとして捉え、現代の住まいづくりに積極的に取り⼊れているのです。それは、過去から受け継がれてきた知恵と技術を現代に活かし、未来へと繋いでいくという、彼らの強い使命感の現れでもあります。
ますいいリビングカンパニーが追求する「良い家づくり」伝統と現代の融合
ますいいリビングカンパニー様は、単に家を建てるだけでなく、そこに住まう⼈々の暮らしそのものをデザインすることを⽬指しています。
建築家集団としての優れた設計⼒は、住む⼈のライフスタイルや価値観を深く理解し、それを空間として具現化する⼒に他なりません。例えば、彼らの⼿掛ける住宅は、⾃然光の取り⼊れ⽅、⾵の通り道、家族の動線など、細部にわたる配慮がなされており、住む⼈が⼼⾝ともに快適に過ごせる空間を創造しています。そして、その設計を現実のものとするのが、熟練の職⼈たちの技術です。
最新の建築技術と並⾏して、今回取り上げる「⼤津磨き」のような伝統的な⼯法にも精通しており、それぞれの技術が持つ特性を最⼤限に引き出すことで、唯⼀無⼆の住まいを実現しています。さらに、⽇本の気候⾵⼟に適した⾃然素材を厳選し、環境にも⼈にも優しい住まいを提供することで、⻑期にわたって快適で豊かな暮らしを⽀えています。
⽊材⼀つとっても、その産地や乾燥⽅法、⽊⽬の美しさまでこだわり、素材が持つ本来の⼒を最⼤限に活かす家づくりは、まさに「本物」を追求する姿勢の表れと⾔えるでしょう。
この⼀貫した哲学は、今回ご紹介する「⼤津磨き」の施⼯現場にも⾊濃く表れていました。
伝統技術を単なる装飾としてではなく、住まいの本質的な価値を⾼めるものとして捉え、現代の住まいづくりに積極的に取り⼊れているのです。それは、過去から受け継がれてきた知恵と技術を現代に活かし、未来へと繋いでいくという、彼らの強い使命感の現れでもあります。
「⼤津磨き」とは⼟が織りなす究極の輝きと、その深遠なる歴史
「⼤津磨き」とは、滋賀県⼤津で産出される「江州⽩⼟(ごうしゅうしらつち)」を主原料とし、⼟、⽯灰、スサ(藁などを細かく刻んだもの)を混ぜ合わせた材料を、熟練の左官職⼈が鏝(こて)で何度も丹念に磨き上げることで、鏡⾯のような光沢を⽣み出す伝統的な⼟壁の仕上げ技術です。

その歴史は⾮常に古く、江戸時代にはすでにその技術が確⽴され、主に⼟蔵や格式⾼い茶室、書院造りの壁などに⽤いられてきました。特に、茶室においては、その静謐な空間にふさわしい、奥深く、そしてどこか儚げな光沢が重宝され、数寄屋建築の重要な要素の⼀つとして発展してきました。
⼤津磨きには、使⽤する⼟の種類や仕上げ⽅によって「泥⼤津」「並⼤津」「⼤津磨き」の3種類があります。中でも「⼤津磨き」は、最も⾼度な技術と⼿間を要する最⾼級の仕上げとされています。その特徴は、⼀切の塗料やワックスを使わず、⼟そのものが持つ微細な粒⼦を鏝で押し固め、摩擦熱によって表⾯を緻密にすることで、深みのある⾃然な光沢を引き出す点にあります。
この技術は、材料の配合はもちろんのこと、壁に塗られた⼟が乾燥していく「⽔引き」と呼ばれるわずかなタイミングを正確に⾒極め、⼒強く、かつ繊細に鏝を動かし続ける必要があります。
この絶妙なタイミングと⼒加減は、⻑年の経験と研ぎ澄まされた感覚がなければ習得できない、まさに職⼈芸の極致と⾔えるでしょう。⼀⾒すると単純な作業に⾒えますが、そこには⼟の性質、気候、湿度、そして職⼈の体調までをも⾒極める総合的な判断⼒が求められます。その難しさから、⼀⽇で⼀⼈の職⼈が仕上げられる⾯積はわずか1〜3平⽅メートルと⾔われるほど、⾮常に⼿間と時間のかかる、そして限られた職⼈のみが継承できる貴重な技法なのです。この希少性と美しさゆえに、「幻の技法」と称されることも少なくありません。
今回、この⼤津磨きを施⼯されたのは、⽇本を代表する左官職⼈の⼀⼈である⼩沼充⽒です。⼩沼⽒は、伝統的な左官技術の継承と発展に尽⼒されており、その作品は国内外で⾼く評価されています。彼の鏝さばきは、単なる技術の域を超え、まるで壁に命を吹き込むかのような情熱と精神性を感じさせます。その匠の技を間近で⾒ることができたのは、私にとって⼤変貴重な経験であり、⽇本の伝統技術の奥深さを改めて実感する機会となりました。⼩沼⽒のような職⼈の存在が、⽇本の住まい⽂化を未来へと繋いでいるのだと強く感じました。
【現場レポート】伝統の技が息づく瞬間と職⼈の情熱、そして五感で感じる美
準備と下塗り⼟壁のキャンバスに命を吹き込む序章
現場に⾜を踏み⼊れると、そこには独特の緊張感と、⼟の⾹りが満ちていました。
都会の喧騒から離れた静かな空間で、職⼈さんの集中⼒が空気中に満ちているのを感じます。すでに壁には、⼤津磨きの基礎となる⼟壁の下地が丁寧に施されており、これから始まる「磨き」の⼯程への期待感が⾼まります。職⼈さんは、今回の「⼤津磨き」に使⽤する材料の準備に取り掛かっていました。今回の壁は、深みのある⾚⾊に仕上げるため、⾚べんがら(顔料)が⼟に混ぜ合わされていました。この⾚べんがらは、古くから⽇本の建築や⼯芸品に⽤いられてきた天然の顔料であり、その⾊合いは時間とともに深みを増し、独特の⾵合いを醸し出します。
材料を混ぜ合わせる⼿つきは、まるで料理⼈が最⾼の⻝材を扱うかのように丁寧で、その⼀つ⼀つの⼯程に妥協がないことが伝わってきます。⼟と⽔と顔料が混ざり合う⾳、そしてその感触。五感を通して、伝統の技が始まる前の静かな興奮が伝わってきます。

⾚べんがらを混ぜた材料を準備する職⼈。⾊合いの調整も重要な⼯程だ。この⼟が、やがて鏡⾯のような輝きを放つ壁へと変貌する。
塗り込みと「磨き」の開始。息をのむ鏝さばきと光沢の誕⽣
準備が整うと、いよいよ壁への塗り込みが始まります。
まず、下地の上に「灰⼟(はいつち)」と呼ばれる下塗りが施され、その上に「引⼟(ひきつち)」という上塗りの⼟が均⼀に塗られていきます。
この段階でも、⼟の厚みや均⼀性が、最終的な仕上がりに⼤きく影響するため、職⼈の細やかな配慮が感じられます。そして、⼤津磨きの真⻣頂である「磨き」の⼯程が始まりました。⼩沼⽒の⼿に握られた専⽤の磨き鏝が、壁の上を滑るように、しかし⼒強く、そしてリズミカルに動きます。その鏝さばきは、まるで壁と対話しているかのようであり、⼀切の無駄がありません。
何度も、何度も、同じ箇所を丁寧に、そして素早く磨き上げていくその姿は、まさに「職⼈技」の⼀⾔に尽きます。鏝が⼟壁を擦る⾳、そして⼟の粒⼦が密になっていく感触が、私にも伝わってくるようでした。磨き上げられるにつれて、⼟壁の表⾯には少しずつ、しかし確実に光沢が⽣まれ始めます。最初はマットでざらついていた壁が、まるで⽣きているかのように滑らかさを増し、深みのある輝きを放ち始めるのです。
この「⽔引き」と呼ばれる、⼟が乾燥していくわずかなタイミングを⾒極めることが、⼤津磨きの成否を分ける最も重要なポイントなのだと、⼩沼⽒の集中した眼差しと、額に滲む汗が物語っていました。この⼀瞬の判断と、それを可能にする⻑年の経験が、あの美しい光沢を⽣み出す源なのです。職⼈の集中⼒は極限に達し、周囲の⾳も時間も、彼にとっては存在しないかのようでした。ただひたすらに、壁と向き合い、⼟と対話し、最⾼の輝きを引き出すことに全神経を集中させている姿は、まさに求道者のようでした。

【紅葉の挿⼊】壁に封じ込められた季節の美と職⼈の感性、そして⾃然との共⽣
そして、この⼤津磨きの現場で最も印象的であり、私の⼼を強く揺さぶったのが、壁に紅葉の葉を挿⼊する⼯程でした。鏡⾯のように磨き上げられた⾚い壁に、厳選された紅葉の葉が、まるで絵を描くかのように丁寧に配置されていきます。これは、単に葉を貼り付けるだけではありません。葉の配置には、職⼈の美意識と感性が光ります。⾃然の造形美を最⼤限に活かし、壁全体との調和を考えながら、最も美しく⾒える位置に葉を置いていくのです。

葉が配置された後、その上からさらに薄く⼟が塗り重ねられ、再び磨き上げられます。この⼯程は、紅葉を壁の中に閉じ込め、まるで壁の⼀部であるかのように⼀体化させるためのものです。葉の形を崩さず、かつ壁と⼀体化させるための絶妙な⼒加減とタイミングが求められます。職⼈の⼿から⽣み出される⼀つ⼀つの動きに、⻑年の経験と研ぎ澄まされた感覚、そして⾃然への敬意が凝縮されていることを感じました。
この作業は、単なる技術の披露ではなく、⾃然の美を永遠に留めようとする職⼈の深い愛情と、それを実現する⾼度な技術の融合でした。壁の中に⾃然を取り込むことで、住まいに季節感と⽣命⼒を与える。これは、⽇本の伝統的な住まいづくりにおける「⾃然との共⽣」という思想を、現代に伝える素晴らしい試みだと感じました。

【完成】壁に浮かび上がる「秋」の情景と、時を超えた美の継承
葉が配置された後、その上からさらに薄く⼟が塗り重ねられ、再び磨き上げられます。この⼯程は、紅葉を壁の中に閉じ込め、まるで壁の⼀部であるかのように⼀体化させるためのものです。葉の形を崩さず、かつ壁と⼀体化させるための絶妙な⼒加減とタイミングが求められます。職⼈の⼿から⽣み出される⼀つ⼀つの動きに、⻑年の経験と研ぎ澄まされた感覚、そして⾃然への敬意が凝縮されていることを感じました。
この作業は、単なる技術の披露ではなく、⾃然の美を永遠に留めようとする職⼈の深い愛情と、それを実現する⾼度な技術の融合でした。壁の中に⾃然を取り込むことで、住まいに季節感と⽣命⼒を与える。これは、⽇本の伝統的な住まいづくりにおける「⾃然との共⽣」という思想を、現代に伝える素晴らしい試みだと感じました。

この紅葉は、時間の経過とともに、壁の中でさらにその存在感を増していくことでしょう。
⼟壁は呼吸し、年⽉を重ねるごとにその⾵合いを深めていきます。光の移ろいや季節の巡りとともに、壁に封じ込められた紅葉もまた、その表情を変え、住む⼈に四季の移ろいや⾃然の美しさを感じさせてくれる、まさに「⽣きた壁」です。⼀度は失われかけた伝統技術が、現代の職⼈の⼿によって新たな価値を創造し、住まいの空間に深い感動と安らぎをもたらしている瞬間を⽬の当たりにし、私は深い感動を覚えました。これは、単なる壁ではなく、職⼈の魂が宿った芸術作品であり、住む⼈の⼼を豊かにする「物語」そのものだと感じました。
【まとめ】未来へ繋ぐ伝統の輝きと「⼿仕事」の価値
ますいいリビングカンパニー様の現場で体験した「⼤津磨き」の施⼯は、私にとって忘れられない感動体験となりました。
それは、単なる壁の仕上げ技術ではなく、⽇本の伝統技術の奥深さ、それを現代に継承し発展させようとする職⼈の飽くなき探求⼼、そして「良い家づくり」への真摯な姿勢が凝縮された、まさに「芸術作品」と呼ぶにふさわしいものでした。現代の住宅建築において、効率化やコスト削減が重視される中で、⼿間と時間を惜しまず、⼀つ⼀つの⼯程に魂を込める職⼈の存在は、私たちに「住まい」の本質とは何か、そして「豊かさ」とは何かを問いかけているように感じます。ますいいリビングカンパニー様は、このような伝統技術を⼤切にしながらも、現代のライフスタイルに合わせた新しい価値を創造し続けています。
彼らの家づくりは、単なる機能的な空間を提供するだけでなく、住む⼈の感性を刺激し、⽇々の暮らしに喜びと感動をもたらす「⼼の豊かさ」を追求していると⾔えるでしょう。HNGは、このような「本物」の家づくりを追求する住宅会社様と、理想の住まいを求めるお客様との出会いをサポートしています。
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