住宅関連記事・ノウハウ
お住まいが健康に配慮した家か診断
1 お住まいが健康に配慮した家か診断
私自身、最近交通事故に遭ってから整形外科や内科に通院する機会が増え、待合室でいろいろなお話をお聞きする機会が多くなりました。そこで、いろいろなお話をお聞きしていると
- ・自宅でわずかな段差につまづいて転倒して骨折した
- ・ヒートショックで風呂場で溺れそうになった
- ・引っ越ししたら気管支喘息が悪化した
- ・引っ越ししたら生活習慣病が悪化
- ・家のそとで怪我をした
- ・加齢で持病が悪化した
- ・住まいがトリガーとなって怪我をした
- ・持病が悪化したりする
などといった方々が意外に多いような印象を受けています。
出演されたおばあちゃんの身体的負担や室内の温度差。仙台の冬を知る私にしてみれば、その辛さは容易に想像できます。そして、結露や湿気はダニやカビの発生を促してしまいます。
こうした不健康につながる不具合はリフォームによって改善できる可能性が高いのですが、自身の健康にも配慮したリフォームについて、余生を楽しく健康的に過ごす投資=PPK(ピンピンコロリ)に向けたひとつの動機として捉える方々はいったいどの程度いらっしゃるのでしょうか?加齢による身体の衰えは、一般の方々にとってはいつ来るかわかりません。たとえば、私のように交通事故を契機に一気に身体の衰えを自覚する場合もありますし、65歳の定年リタイア(セカンドライフ)を期に一気に身体の衰えを感じる方々もいらっしゃるかもしれません。
戸建築40年代のリノベーション事例一覧より 施工会社AWN(有限会社セレナ)
では、自宅の現状は他と比較してどうか?ということについて、気になる方々もいらっしゃるかと思いますが、8月にはそのガイドラインが公開されます。建築環境・省エネルギー機構(東京都千代田区)が7月27日の公開セミナーで詳細を発表した『CASBEE(キャスビー)-健康』が、その評価ツール。執筆時点の8/16現在、まだ公開されておりませんが、公開予定の以下URLには、2011年8月公開予定と記載されております。
CASBEE健康チェックリスト
こちらから(外部リンク:建築環境・省エネルギー機構)
上記URLにて公開されているパンフレットを読んでみると
- 『夏、暑くて眠れないことはありますか?』
- 『冬、寒くて眠れないことはありますか?』
- 『浴槽の出入りでバランスを崩すことはありますか?』
- 『水道水に嫌な味やにおいのすることはありますか?』
など、住まいと健康などに関する質問に対し、お住まいのみなさまがチェックリスト形式ではい・少しだけ・いいえなどの回答を選んでいくしくみ。
すべての回答を集計すると、お住まいの家が健康面からみてどれだけ配慮されているかを診断するツールなのです。すでに蓄積されているデータベースに基づき、自宅の健康配慮度合いを全国平均値と比較する機能も備えるとのことです。開発を手がけたのは国土交通省の健康維持増進住宅研究委員会。同委員会が8月に上記URLにて公開する、とのことです。
2 将来的な不健康リスクも下げるために
同委員会ではチェックリストによって問題点を把握した次の段階として住宅の健康維持増進に役立つ対処方法を提示する健康維持増進住宅構成要素マトリクスの作成、ならびにその対処方法を新築・リフォームにおける手法まで落とし込んだ設計ガイドラインの作成を2011年内に公表できるように編さん作業を進めているそうです。
このガイドラインでは、住宅の省エネリフォームやバリアフリー・リフォームをはじめ、自宅介護への備えなどの高齢期対応をはじめ、子育て期にふさわしい住まい、快適な睡眠・静養、さらにはコミュニケーション・交流や自己表現、運動・美容といったあらゆるライフステージ・ライフスタイルに応じたニーズを各々の構成要素(例えば天井の高さや住宅設備、家具・家電から外部空間まで)の設計ガイドラインとして基本・推奨・選択という優先順位づけを行いそれぞれの対処を設計に反映していく計画を進めているとのことです。
このガイドラインが目指している方向を、たとえば省エネリフォームの費用対効果を見極める方法として使ってみるのはいかがでしょうか?いままでの省エネリフォームの費用対効果見極め方法は、光熱費がリフォーム前と比較してどの程度下がったのか?という程度の見極め方法しか思いつきません。バリアフリーリフォームについては、極端な話身体に障がいが起きてみないとわからない見極めしかできませんでした。しかし、自宅の健康配慮度合いを全国平均値と比較する機能の今後の可能性を予測すると、今後は自分自身の将来への健康に対する好ましい影響度を評価できることをはじめ、上記パンフレット6ページ目にも記載されている『健康チェックリストの総合スコアと有病率の関係(6,000件のアンケート、JSBC調査)』から観た、省エネ住宅の新築、省エネリフォーム、バリアフリー・リフォームによる医療費削減効果をも見逃すことはできません。
設計ガイドラインの基本・推奨・選択は、当然建築・リフォーム予算との兼ね合いや敷地条件など、いろいろな要素によってすべて完璧にこなすことはできませんが、できれば国土交通省『健康維持増進住宅研究委員会』やCASBEEをよく知るハウスメーカー、工務店、建築家といっしょに家づくり、リフォームに取り組むことができれば、将来的な不健康リスクも下げられることは間違いない、と考えるのが自然なことです。
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