住宅関連記事・ノウハウ
2025年11月29日(土)
「夫婦の寝室」のあり方
はじめに
長い人生から見ますと子育てなどあっと言う間に済んで彼らは出て行ってしまいます。家づくりは子どもを忘れ夫婦の家を考えることが得策です。住まいのプランニングをしていて、何度も打合せをしてきて、実施設計に移ってから大幅なプラン変更を余儀なくされる問題点が3つあります。
1つ目がお金です。行け行けどんどんで面積や設備が増え、予算が沸騰して最終の予算をどうするかです。
2つ目が家相です。突然親たちから玄関が鬼門に入っている
などと、プランのやり替えの要求があるのです。家相なんてナンセンス
と言っていた若い建て主も、家相に従わなければ資金援助をしない
などと親からの経済封鎖
で、この件あっさりチョン!とあいなるのです。結局プランは一からやり直しとなるのです。
3つ目は、厄介で不可解なのが夫婦です!ま、家づくりでは当たり前のことなのですが、これが当初お互い言い出しにくくて、と言っても、これは建て主夫妻と設計者である私どもとの間のことなのですが、これが夫婦の寝室
のあり方なのです。
バストイレは創造的空間
バストイレ空間の重要性
住まいにおいてバスルームは狭い空間ですが、トイレや入浴をすることは今までの生活や思考の流れをリセットし、ときには人生を大きく変えることさえあるのです。実際に議論の最中や事態が窮地に落ち入ってもトイレタイムやバスタイムを取るとびっくりするほど考え方や状況が変わることもあり、日常生活からわれに帰り、未来を見すえ、さらに過去を振り返ることが出来る不思議な空間でもあるのです。狭い個室によって自身が開放されて邪念がなくなり、すべての神経が集中されて新たなアイデアや創造を生み出すからです。特にトイレはこれからの人生をも変えかねない重要な思考の場となることが多いのです。このトイレを単に用を足す
だけの空間にしてしまわず、清潔でゴージャスなサロンにするのです。

バストイレ空間の活用
浴室の脇の洗面脱衣室がヒントです。洗面であり、洗濯室の機能しかないのですが、この空間こそリビングの一部と見間違えるほど広く快適なサロンとするのです。鏡も壁一面の大きなものにし、ここにトレーニングマシーンも置いて健康で美しい体を“創る”のです。これはもしかの介護の際も広く安心です。バストイレはまたの名を「化粧室」とも「パウダールーム」とも言われます。トイレのコーナーを小さな化粧台にして壁面を鏡にするだけで広々とします。トイレとバスルームそして洗面脱衣室をエッチングのガラスの仕切りにして、開放的にし、化粧カウンターを大理石などとし、間接照明で柔らかな光と心地よい音楽でリラクゼーションサロンとなるのです。家族も来客もトイレやパウダールームに行くのが楽しみとなります。
狭い家こそバストイレを広く贅沢に
狭い家こそバストイレを重視
狭いマンションやアパートこそ、このトイレ空間やバスルームを第一に考えることが大切です。その反対にどんなに大きく立派な家でもこのトイレが貧弱だと、豪華な家もそこに住む家族も貧弱に見えてしまいます。しかし実際は狭いマンションだからトイレも狭く玄関も狭い。従って仕上げや設備もそこそこでいい、と言うのがマンションやアパートの設計の考え方です。最小空間であるビジネスホテルなどよい例でそのコストから経済効率優先で、うんと安普請につくり、ついには耐震構造までを偽装するような悲しい現実もあるのです。
ビジネスホテルを例に
この経済感覚がとんでもない間違いなのです。同じビジネスホテルでもトイレや浴室などの設備を極力広くしゴージャスにし、ベッドも硬いしっかりしたものとすると宿泊費が2、3千円高くなってもいつも満室となること請け合いです。マンションも賃貸のアパートも建売りなどの小住宅も同じです。わずか一坪もない玄関や浴室・トイレをどれほど贅沢にしたところで狭いがゆえに施工費も一戸あたり4、50万円と変わらないはずです。これで高級ホテルの豊かさになれるのなら安いものです。
過剰設備ではなく本物の素材を
しかし、かと言って過剰設備にするのも問題です。最近のマンションや展示場では、テレビがあったり、電話を付けるなどの設備が目立ちますが、やはり狭く、仕上げもクロスやプラスチックの域を出ていないのです。せめて本物の素材を多用し、豪華な御影石や大理石などの石張りとし、壁も自然の珪藻土や檜貼りなどにしたいものです。珪藻土の無垢のパネルも発売され、湿気や臭気対策も心がけたいものです。
マンションでもバストイレのリフォームは可能
リフォームの可能性
マンションでは水回りなどのリフォームは難しいものとされてきましたが、最近は設備機器のメーカーなどがリフォーム界に参入して、新しい機器やシステムなどを開発し、かなりのことができるようになりました。空間を広くしたり、ユニットバスに取り替えたりなど斬新なリフォームも可能となりました。マンションなど集合住宅の場合はトイレの太めの排水管(直径10センチほど)がコンクリート床(スラブと言う)を貫いて下に落ちて行き、これが階下を通って流れているのです。従ってこの配管自体をやり直すことは不可能なのです。トイレの配管の位置さえ大きく変えなければ便器の交換や浴槽は床上で可能なのです。最近は便器がコンパクトされ、その分空間も広々とできて斬新となり、リフォームも可能となっています。


高齢化に対応したリフォーム
これからのサニタリーのリフォームはただ機器を取り替え、仕上げや空間を贅沢にするだけでなく、老いに対処して温かく、そしてやさしいリフォームとし、いざ倒れたときなどの緊急時の通報や、ベッドからトイレまで自力でベンチを伝って行けるよう、ベッドルームとの位置関係など全体配置を考えて行なうようにしたいものです。

夫婦の寝室
のあり方夫・婦寝室
は夫寝室
と婦寝室
設計終盤に起こる問題
あのー、二階の間取りがちょっと
で始まり、もう一つ、部屋が欲しいのですが
となるのです。奥様からのもう一つの寝室
の要求です。これが案外設計の終盤になってから出るから厄介なのです。たいていのご主人方はな、なぜだ?
となるのですが、明らかに部屋を別々にして欲しい、と言う奥さんが多いのです。理由は奥様の安眠のためなのですが、住まいの設計でこうもリアルな話題となるとやりにくいものです。この件、ある程度は分かっていても、こうして、ご主人と奥様の別々の寝室にしました
などと言うわけにもいきません。
夫婦の寝室の要望
あるとき奥様の要望を誤解して、このもう一つの寝室
を提案しましたら、あら?どうして?私たちは一緒よ!
などと肩すかしに会い、なんともやるせない思いをしたこともあるのです。以来、この“犬も食わない”夫婦の寝室をどうでもいいことですが、ご主人のいびきで
などとやんわり他の家の例などを上げながら話を進めるのです。設計する当方にとっては、とてもどうでもいいこと
などではありません。あとで夫寝室
婦寝室
の要求などがあると、2回も実施設計をすることになりかねないのです。
離れすぎない夫・婦寝室
夫婦別室の理由
夫婦が別々の部屋で休む、その理由が、いびきや寝言がうるさい(騒音)。寝る時間と起きる時間が違う(時差)。そしてクーラーをつける、つけないなどの互いの温度が違う(温度差)で、意外や意外、子どもが成長して出ていくとそこにどちらかが移って夫婦別室になってしまうことが多いのです。この夫寝室
婦寝室
は廊下などを隔てていると、もし深夜突如心筋梗塞などを起こしたり、賊などが侵入するなど、お互いになにかあったときに気が付かないなどの悲しいことにもなりかねないのです。そこで夫・婦寝室
の提案です。

夫・婦寝室
の提案
夫婦寝室
ですが夫・婦
の間の・
がミソです。この夫・婦寝室
は時々夫/ 婦寝室
ともなるのです?/
は夫と妻とのベッドの間の隔て(へだて)です。隔ては簡単には分厚いカーテンでも良いし、大きなカーテンレールを天井に取り付け、じゅうたんをタペストリーのように吊るしてもいいのです。こんなことでお互いのいびきや時差も何とかカバーすることもできるのです。もちろん本格的に襖(ふすま)や引き戸を立てて、温度差までもしっかりコントロールする隔てもできます。夫婦の寝室を冷たく別室にすることなく・
から/
の臨機応変の隔てで互いのプライバシーも万全となるのです。

夫・婦寝室
で帰って夫婦仲良く?!
夫婦が離れて寝るリスク
もともと夫婦の寝室が1階であったり、なぜか夫は早い時期から一階の和室で寝起きしているご夫妻が多いのです。そんな1階と2階に別れて寝ていた夫婦がある日、今日は休みとは言え、なかなか起きてこないと1階の夫の部屋に行って震撼としたと言うのです!寝ているのとまったく変わらない状態で冷たくなっていたと言うのです。再三にわたる心臓マッサージなどの甲斐なく帰らぬ人となってしまったのです。そう言えば明け方なにか物音がしたような、胸騒ぎがしたような
と、こんな小さな家で、なんで…?
と泣き崩れる奥さん…。確かに夫が隣りか、せめて2階の部屋で一緒に寝ていれば苦しむ声や音が聞こえていたかも知れないのです。いずれにせよこのようなリスクが高まる年頃に夫婦が離れて寝ていること自体が危険です。実際に1、2階で別々に寝ていて侵入者があり、妻が危害を受けた例もあるのです。
家づくりは夫婦の試練
こうして家づくりは夫婦が試されるときでもあるのです。先のようにおまえ、そんなことを考えていたのか?
で始まる家づくりやリフォームは、夫婦のホンネのぶつかり合いとなり、結果夫婦が住みよい家となるのです。住宅雑誌などで情報を仕入れる妻と、仕事が忙しく置き去りにされる夫が、妻に任せています。
などと言っていては、将来住みやすいホンネの家にはなりません。家づくりはまるで夢と現実のせめぎ合いともなるのです。そんなときこそ建築家は、家の設計はもとより、犬も食わない夫婦喧嘩
の仲裁役となるのです。

夫・婦寝室(天野彰)

夫・婦寝室
という選択
イラストや写真のように引き込み式のふすまで互いのベッドを仕切ったり、夫は和の座敷、妻はベルサイユ宮殿のベッドルーム?となるのです。これなら寝室は一部屋ですみ、時差も温度差も気になりません。どちらか風邪を引いたときにも仕切って寝られて便利です。あるとき、いやぁ、すーと、ふすまが開いてね。妻に呼ばれてどっきり!
ですと。やはり犬も食わない
方が良かったかも知れませんね。
ハウスネットギャラリーのサービス一覧
関連記事
おすすめ特集
人気のある家をテーマ別にご紹介する特集記事です。建てる際のポイントや、知っておきたい注意点など、情報満載!
注文住宅のハウスネットギャラリー




















