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建築家 天野 彰 「木の住まい」が一番(2)木は活きていて暖かい!

はじめに

あれよ、あれよと言う間にトランプ政権が生まれました。世のそうなるべきだ、だれもが時のイデオロギーでそれが好ましいと思って選ばれた今までの大統領とは違い、政党も、長きにわたる人種差も、ガラスの天井と言われる男女差でもなく、まったく違うイデアで、まるで血液型か遺伝子差の様な本人も自覚さえない不思議な力によって選ばれるのだ、と言う事実に驚いているのです。

まるで私たちの家の設計の大きな疑念でもある「木の家が欲しい」などと言う、もともと単純で不条理な設計要望の中で、住宅政策を押し進め、急激な住宅開発を推奨し、優遇した行政の規制と企業の生産コスト優先の規格型ユニットハウスやツーバイフォー住宅が当たり前のロジックとなっていることに不満を持ちながら住む居住者たちのようです。考えてみれば一戸建てを持てる人自体を、本来羨やむマンションなどの集合住宅、さらには賃貸のアパート、木賃アパートに至るまでのあらゆる住む人の不満など、その額や広さなど段階は様々なれど、これらのそれぞれが持つ不満を一挙に束ねれば今回のような大きな力となるのかも知れません。だからと言って、すべての家が「木の住まい」となるはずもなく、第一「なぜ木の家がいいのか」などと言うそれぞれの想いの基本的な確たる正解もないのです。

まさしく木の家の良さとは、その構造からは木の持つ撓い(しない)と粘りで、さらには木と木を繋ぐ仕口の柔軟な結合伝統技術であり、軸組み本来の単純な柱梁でありさえすれば、数百年以上持ちこたえるものながら、実際の住まいは大壁となり、さらには断熱材で包み込み、しかも防火のためにモルタルやサイデイングで被覆するなど通気が悪くなり、早くに腐朽する危険さえあるのです。また本来の木が持つ細胞組成が水分を吸放出し、室内環境や住む人に心地良さを与え、実際に醤油など醸造の樽を木にすると、その発酵は自然なものとなり適度な撥水のせいか、上質な旨みのある醤油となるのです。これらの科学的根拠は研究段階でありながらも、事実として木は生きていて暖かさを感じるのです。

写真1:2002年11月30日醤油醸造木樽増設(設計:天野彰)
写真1:ギネスブックに載った500tの醤油醸造木樽|大分県臼杵市(設計:天野彰)

イラスト:仕口(画:天野彰)
イラスト:木造軸組みの木と木を結ぶ「仕口」のイメージ(画:天野彰)

しかしながら、こうした組成が防水や被膜塗膜や仕上げ材などで疎外されると木の持つ組成の良さのみならず、かえって木そのものまで腐らせる可能性もあるのです。防火耐火さらには洋風の外装やインテリアなどで、本来の軸組本無垢の「木の家」良さなどなかなか困難なものです。しかしこれが、国内はもとよりアジア各国の富裕層に羨望され(形だけのものか)、大人気となっているのです。

写真2:木造軸組み本瓦漆喰壁、無塗装木の内装仕上げの家
写真2:木造軸組み本瓦漆喰壁、無塗装木の内装仕上げの家|下呂N様邸(天野彰)
写真3:老後の「裸の桧の家」
写真3:老後の「裸の桧の家」|大垣Y様邸(天野彰)

こうした背景から、今改めて軸組みと漆喰壁の本格的木の住まいが求められ、都市では防火制限の及ばないところでは本来の木造軸組み構造の「木の住まい」が可能であり、さらには木材が組成を損なわず不燃となれば“裸の木の家”が都市にも建てられ、さらには高層マンションやオフィスの内装材や家具にもなり、木の組成を生かした心身ともに快適な空間が可能となるのです。今このような研究や試みが進み、不燃はおろか強化防腐効果も期待されているのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

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