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建築家 天野 彰 「家のチカラ」住まいによって社会が変わる?!

今あなたはどんな家に住んでいますか?これはまさしく「家相」でもなく。占いでもなく、その家によってあなたの人生あるいは健康、性格までも変わってしまうとしたら驚くはずです。しかも現代はその家によって街が変わり都市が変わり。さらに社会までもが変わろうとしています。

今100歳までボケない家づくりと言うテーマでこれからの時代の家づくりについての本を書いています。その過程で改めて痛烈に感じることは、今までの家づくりがまるで一個いくらと言う感覚で建てられ?買われていることです。呼び名こそ一戸ですが、マンションともなると、つくる方も売る方もそして買う方も一ついくら感覚で時には投機目的の売買や、賃貸はもとより今や民泊用の家とまで成り下がっているのです。食う寝るところ住むところと常々述べている通り、家は住むためのもの家族人生を育むところのはずでした。しかしその家に今や家族はいなくなり、夫婦さえもいなく、老いた年寄りが一人ポツンと住み空き家となり徐々に住宅街は暗く歯抜けとなり街は活気を失いつつあるのです。

しかし気になるのはそのスピードが急激に早まっていることです。このことこそ我が国の高齢化のスピードとほぼリンクしているのですが、煽るのがマンション業者や住宅会社の焦りです。加えて外国資本の投機物件となり、古いアパートまでが民泊用として買い漁られ、住まいはモノ化しているのです。住みやすい住宅地は今やゴーストタウン化し、その家々は老朽化して手を加えるチャンスにも恵まれないのです。このことが私の狭楽しく住む・二世帯含み住宅や契約同居そして減築の提案ともなったのです。このコラムでも何度も取り上げ来た夫婦だけの広すぎる家となること、都市が拡散し都心部が歯抜けの過疎地化することを想定した提案、いや私の叫びだったのです。

どうせ子どもたちはアッと言う間に育って出て行き、老いて身に余る大きな家、郊外の遠い家となることを防ぎ、今の2LDKを最大限に狭楽しく有効に使う。どうせ広く建てるならいずれ二階を人に貸すことができ、願わくば子ども夫婦が帰って来られる二世帯含みプランの家とするなど広すぎる家を建ててしまったなら減築し、子夫婦ならぬ他人の若い家族と一緒に住む賃貸同居とし、老いて経済と火急の備えとすることなどです。

こうして家の建て方、住まい方、リフォームのしようによっては、わが人生、社会をも変えることができると思うのです。

狭楽しく住む(表紙画真鍋博氏:筆者 天野彰)/イラスト 二世帯含みプラン"
狭楽しく住む(表紙画真鍋博氏・筆者 天野彰)/イラスト 二世帯含みプラン

1 住まいによってあなたの性格や人格まで変わってしまう?!

住まいによって性格や人格が変わると言ったら驚きになると思いますが、残念ながら私が数多くお手伝いしてきた家づくりやリフォーム、住まいのアンケート調査などによって本当にそのように思える事実が多いことが分かるのです。私ども建築家による壊すべきか生かすべきかあなたの住まいなる調査のアンケートで、一度わが家を見て欲しいとの呼びかけの書き込みに誘われ訪問したことがあります。すると、家の中から「何のご用?」とばかりの怪訝な様子の奥さん。聞けば住まいのことなどを主人が考えるはずがないと言う。ただただ唖然とする私たちのとろにちょうどご主人が帰って来られ、いきなり、「いかがですか?壊した方がいいでしょう?」「建て替えた方がいいでしょう?」とご主人。はあ?とキョトンとする奥さん。

その後、ご夫婦二人のお話しを聞いてみると住まいのことなど今まで互いに話し合ったことなどないと言う。まさか主人がそんな相談をするなど、夢にも考えたことがないとも言う。一方的なご主人の相談であったことが判明。

家づくりは家族で検討することが重要

しかしこのようなことはこの夫婦に限らず、住まいに関してはこうした例が多いのです。特に夫婦どちらかが一方的に問合せをしてくる例は多いのです。しかしこのことがきっかけで、奥さんは子どもたちのために部屋を与えようと増築を考えていたらしく、夫は先々のことを考えて二世帯住宅への建て替えを考えていたと言う。こうして夫婦改めて増築にするか(生かすか)、建て替えにするか(壊すか)を考えることになったのです。最初は眉をひそめるばかりの奥さんも次第にご主人の話にうなずくようになり、夫もお前は黙っていろとばかりの態度から、お前はどう思う?などと、奥さんが思わず夫の顔を見るほどの変わりよう。

こんなことから結局夫婦総意の上二世帯含み住宅の建て替えとなったのです。子どもたちはそれぞれに広い部屋を得られ、夫婦は将来二世帯か賃貸アパートとして収入も見込める新築計画となり大満足。

家族で話し合い進めることで、希望を持った家づくりに繋がる

こうして念願の家が建ち、一年ほどして訪問すると、眉間に皺ばかり寄せていた奥さんは見違えるほどにこやかで明るくなり、しかめ面ばかりの主人がまるで人が変わったようだわと。なるほど。希望を持った将来のある家づくりは人の心を和ませるのです。

「二世帯含み住宅」のO邸外観(設計:アトリエ・フォア・エイ 天野彰人)
「二世帯含み住宅」のO邸外観(設計:アトリエ・フォア・エイ 天野彰人)

2 家は財産である前にわが家族人生を育むところ

たかが住まい、家を持つことは資産、財産づくりで、今や一戸どころか1個いくらとなり下がっているような住まいですが、忘れてはいけないことはそこに住む人や家族の人生があると言うことです。

奥様を亡くされポツンと家で過ごしていると言う友人を、リフォームでも勧めたらどうだろう?と紹介され、伺ってみると、なるほど暗くて異様な家のリビングで、奥さんがお元気の時そのままと思われる子どもを送り出した大きな家に、初老のご主人がおられた。リフォームなどで、とても片付ける気力もないと言う。そこで、「思い切ってこの家を建て替えたらいかがですか?」 と提案したのです。

「えっ?」とばかりの顔をしておられていたご主人だが、友人や子どもたちにも勧められ、とにかく身一つでその家から出ることとあいなり、あれこれと片付ける必要もなくあっさりと解体し、建て替えることになったのです。

思いきって建て替えた家(画:天野彰)
写真 思いきって建て替えた家(設計:天野彰)

今の家に左右されるより思い切って新天地をつくる!

友人によると、もともと芸達者でお付き合いの良い人らしく、これほどまでに落ち込むとはとても思えなかったと話す通り、設計の打ち合わせの後半にはかなり前向きとなられ、キッチンなどの住設の選定などでは積極的にショウルームに足を運び笑顔も見られるようになり、ついに竣工の席では得意のピアノの演奏をご披露されるほどになられていたのです。

そして新居の一年点検ごろにお邪魔してみるとなんとそこには新しい奥様の姿も見られ、見たこともないに明るい笑顔と笑い声が聞けたのです。
「いやー、家のパワーとはすごいものだねー」 と、ご満悦。

なるほどこれほどまでに家を建てることで劇的に人生が変わるとはさすがに思えなかったのですが、考えてみればこのようなことと思われる建て主の変化が多いことも事実なのです。

今の家をベースに実家に別荘代わりの木の家に建て替える(設計:天野彰)
写真 今の家をベースに実家に別荘代わりの木の家に建て替える(設計:天野彰)

3 住まいで使わない脳を刺激して、ボケを防止?

100歳過ぎてもボケない家なる本を書いています。どうして家によってボケないかと言うと、今までの平生の生活では使ったことがない脳を刺激し、想像し、意識を活性化することによってボケることなくむしろ若返る人もいるのです。家は住むための箱ではなく、人の生活そのものの入れもので、人生の場面でもあるのです。しかしその場はあるのが当たり前でただそのことに気が付かないでいるだけなのです。

住まいの計画による変化が脳を活性化させる

この脳の活性化は家づくり、いやリフォームをしようと思った瞬間から劇的に起こります。何よりしぶしぶでもショウルームなどに奥さんに連れて行かれ外に出掛けるだけで家の中に籠っていた気分が変わるからです。しかも何よりも今まで扱ったことがない額の金額について考えることになるからです。こうした変化は脳科学の専門家も大いに脳が活性化すると言うのです。病理学やリハビリの専門家も目的を持って移動することや、希望や夢を持つこと自体が体や神経を活性化させると言う。特に四方、上下に囲まれる空間は、その色調さらに素材によって大きく影響され、身体ばかりでなく、人の心や神経そして脳に影響すると言うのです。果たしてその空間、あるいは家のつくりようとは一体何でしょう?

空間に刺激を与える家づくり

まずその空間の大小や色調は当然として、立体感そして住む人自体の動線です。まさに空間は上下四方なのですが、動くことによって住む人の目に刻々と入ってくる光景や光線、さらには次々変化する肌ざわりや音や風と、五感を揺るがす刺激だと思うのです。まさに住まいの設計は音楽やドラマづくりと同じだと思うのです。階段一つにしても踊り場があって家の中をスキップし回る。天井が斜めでその勾配から刻々と光が入ってくる。私はどんなに小さな家でも中庭や吹き抜けをつくるのです。そう上下左右から光が入り情景が変わるからです。

中庭に夫婦の植樹 Y様邸/一坪ながら開放的で明るい中庭家中が見渡せる W様邸(設計:天野彰)
中庭に夫婦の植樹 Y様邸/一坪ながら開放的で明るい中庭家中が見渡せる W様邸(設計:天野彰)

時には平坦な部屋に小上がりの段差を設けて空間に刺激を与えたり、足元を透明にしたりもします。あえてコーナーを設け動線を曲げたりカーブしたりもします。まるでバリアフリーの真逆のように思えるのですが、それは酔狂を求め奇をてらうことではなく、平坦な中にあえて日常に刺激を与え、住む人の意識が活性化することを期待するからです。まさに脳のリハビリとも言えるのです。

イラスト 梁をカガミで透明に(画:天野彰)
イラスト 梁をカガミで透明に(画:天野彰)
イラスト 都会の中の山小屋木の家 中庭でバーベキュー(画:天野彰)
イラスト 都会の中の山小屋木の家 中庭でバーベキュー(画:天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

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