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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 夫婦の家「LDKは夫婦の創造的な場?!」

1 家族の暮らしではなく「夫婦」の暮らしを中心に家づくりを考える

家も家族も「核」である夫婦が最優先なのですが、その肝心の夫婦でさえ一つではなく、夫婦を形成する大きな要素の夫と妻の別々の力、すなわちベクトルと考えるのです。それが効果的であれば夫婦はモーメントを持って快適に回り始めるのです。単純に夫婦は一つ、家族も一つとなどと言うような安穏とした希望的気構えで家を考えるとプランづくりに大きな「歪」が生じてしまうのです。今そんな家づくりで「夫婦の問題」、は「親子の問題」が取りざたされているのです。

家が必ずしも原因とは言えないのですが、実際に家の設計をしていますと何やらそんなことが原因だと思える事態にたびたび遭遇するのです。その最たる問題が親と子の同居だったり、老いて夫婦二人だけの生活となると大きな歪となり、ついには“崩壊”することさえ在り得るのです。なんとこれは地震より怖いことなのです。まずはその核である夫婦の心と体の動きの中で、互いの共通点、そう最大公約数を見つけ出すことなのです。なんてことはありません。今の生活を観て家の間取りをちょっとリフォームするだけで可能なのです。住まいは夫婦が学び、遊び、創作する場なのです。そこに夫婦がいつも居る場が大切なのです。子どもたちはその夫婦の背中を見て育って、会話や作業を見て学ぶのです。

住まいは子ども部屋のせいで狭くなり豊かな発想もなくなる?

子育て優先の2LDK、3DKなどと呼ばれる分譲マンションや建売り住宅などの定型の間取りに住んでいると子育てはおろか家族の住み方・生き方までもが定型のものとなって、何の発想もなく子どもたちに工夫する力を教えることもできないのです。しかも自分たち夫婦も会話や楽しみや夢や発想も生まれないと言うのです。

今の定型的なLDKの子ども部屋を半分にLDKを広く
今の定型的なLDKの子ども部屋を半分にLDKを広く(画:天野彰)

おおかたの2、3LDKのプランはベランダ側に寝室や子ども部屋などがあり、肝心のリビングやダイニングなどは部屋の奥となって、昼なお暗く解放感もないからです。このLDKが明るく開放的になれば常に親たちが居て親たちが団らんし、働く姿を子どもたちが常に見ることができるようにするのです。狭いDKに大きなテーブルをつくり、妻も夫も調理や趣味、勉強に集中できるようにし、家族みんなのデスクにすれば「夫婦の時間」もできて互いの仕事や趣味に関心を持つようになるのです。

こうして子どもたちも大人への関心はもとより、それぞれの発想が生まれ、創造力の育成にも役立つのです。

DK1つのテーブルにしてみんなのデスクA様邸
DKを一つのテーブルにしてみんなのデスクA様邸(設計:アトリエ4A)>

2 LDKをLとDKに分けることで夫婦の時間が保たれる

ではただでさえ狭いLDKを夫婦のためにどう分けるのでしょうか?一般的にはKだけを分けてLDとK、すなわちリビングダイニングにすることが多いのですが、今度はKが閉鎖的となり、主婦が孤立してしまうのです。そこであえてLとDKとに分けるのです。これで憩う時も食事の時も家族や夫婦が常に一緒に居るようになるのです。これで食べる時も居間に居る時も夫婦、親子に一体感が生まれ、しかも作業中は落ち着く事ができるのです。

使える家具で仕切ることで、狭い空間も無駄なく使う

しかし分けると言っても、しょせん狭いLDKをいったいどう分けるかですが、LDKの真ん中に大きなハッチ式家具をでんと置いて仕切るのです。これを“装置壁”と言い、私が例える生命維持装置、ならぬ“生活”維持装置とするのです。この天井までのハッチが台所側では主婦のすべての収納となり、狭いながらも妻の空間とすることができるのです。そのDK側には食卓を置きます。すると食事の時は夫はもとより家族も“妻の空間”に集まってくるのです。

イラスト:お馴染み「生活維持装置」ならぬ両面ハッチ家具(画:天野彰)
お馴染み「生活維持装置」ならぬ両面ハッチ家具(画:天野彰)

その反対にL側はまさしくリビングで、同時に夫の書斎や仕事部屋となるのです。図のようなハッチに仕込まれた戸を手前に開いてそれがデスクとすれば。造り付けのライティングビューロウとなり、普段はパソコンや危険な塗料や道具が納められ、プラモデルづくりなどの遊びの場となるのです。これがのちに「オヤジデスク」としてわが設計の家のどこかの壁の中から登場するのです。

写真:リビングの初代ハッチ式装置壁と現代の「オヤジデスク」
リビングの初代ハッチ式装置壁と現代の「オヤジデスク」(設計:天野彰)

狭さを楽しむため、家具としてだけではなく設備も盛り込む仕切り

このハッチにオ-ディオやTVなども組み込み、リビング装置にするのです。これこそが狭苦しいではなく「狭“楽”しく」住むことです。これが今でも私の住まいの発想なっているのです。このLD+Kはリフォームの際には大きな引き戸にして開閉可能にする“可動間仕切り”も有効です。もっと簡単にはアコーデオンカーテン、いや厚手のカーテンでも可能なのです。

3 子育てではなく夫婦育て

マンションなどの狭いLDKとは実は名ばかりで実際は大きなKなのです。キッチンで調理をすると、そのまま煙や匂いが充満し音が部屋中に響き、全体がKになってしまうからです。奥さんも家族や夫に気づかって調理をするのは楽しくありません。

LDKをLとDKに分けることで夫婦の時間が保たれる

ではただでさえ狭いLDKを夫婦のためにどう分けるのでしょうか?一般的にはKだけを分けてLDとK、すなわちリビングダイニングにすることが多いのですが、今度はKが閉鎖的となり、主婦が孤立してしまうのです。そこであえてLとDKとに分けるのです。これで憩う時も食事の時も家族や夫婦が常に一緒に居るようになるのです。これで食べる時も居間に居る時も夫婦、親子に一体感が生まれ、しかも作業中は落ち着く事ができるのです。

使える家具で仕切ることで、狭い空間も無駄なく使う

しかし分けると言っても、しょせん狭いLDKをいったいどう分けるかですが、LDKの真ん中に大きなハッチ式家具をでんと置いて仕切るのです。これを“装置壁”と言い、私が例える生命維持装置、ならぬ生活維持装置とするのです。この天井までのハッチが台所側では主婦のすべての収納となり、狭いながらも妻の空間とすることができるのです。そのDK側には食卓を置きます。すると食事の時は夫はもとより家族も“妻の空間”に集まってくるのです。

イラスト:お馴染み「生活維持装置」ならぬ両面ハッチ家具(画:天野彰)

その反対にL側はリビングで、同時に夫の書斎や仕事部屋となるのです。図のようなハッチに仕込まれた戸を手前に開いてそれがデスクとすれば。造り付けのライティングビューロウとなり、普段はパソコンや危険な塗料や道具が納められ、プラモデルづくりなどの遊びの場となるのです。これがのちに「オヤジデスク」としてわが設計の家のどこかの壁の中から登場するのです。

写真:リビングの初代ハッチ式装置壁と現代の「オヤジデスク」
リビングの初代ハッチ式装置壁と現代の「オヤジデスク」(設計:天野彰)

4 子育てではなく“夫婦”育て

実際には新旧合わせいまだに子育て優先のような住まいが多い。マンションや建売住宅など判で押したような2LDKや3LDKのプランとなるのです。

もともと日本の家とは家で名実ともにお家で、家族の居る場の象徴、先祖を崇めともに生き、そして子孫繁栄の為のものなのです。夫婦を育み”老いをいたわる場、すなわち寝戸(いへ)=「いえ」とも解釈できるのです。近代建築ではフランスの建築家ル・コルビジェが、住まいは「住むための機械」とまで言ってのけるほど!今の家は2LDKや3LDKなどの呼称のものとなったのでしょうか?肝心なことは個室の2や3の数ではなく、LDKのリビングダイニングとキッチンが最優先なのです!家族とともに憩い遊び、料理を楽しむことが一番で、トイレやシャワーなどの水回りや収納の機能も優先されるべきなのです。

かつての「家」は格式と精神性が優先され、主婦の生活機能などは二の次で、夫婦の生活や子育てさえ見えて来なかったのです。それが近年急激に子育て優先の家となり、壁できっちり囲まれた「子ども部屋」も増えて、細かい間取りの家となったのです。しかし子どもはあっと言う間に育って出て行き、夫婦はたちまち方向性を失ったかのようになりポツンと寂しく残るのです。子どものためにと頑張った親にすれば失望も大きく、改めて今までの夫婦の時間とは何だったのかと恨まれるのです。

「子育て」ではなく「夫婦の家」をプラニングする

これから家を建てる人やリフォームをする人は、「子育て定型」のプランから放れ、人に任せるのではなく、わが夫婦だけの生活スタイルや、これから先の長い暮らしを想像して、オリジナルなプランニングをすることです。その一つがリビングを“学習塾”にするのです。子どもたちはすぐに育って出て行くことを想定して、夫婦2人だけの生活になったときのためのリビングダイニングにするのです。

会社人間だった夫も突如、毎日家に居るようになり、夫婦が朝から晩まで顔をつき合わせて暮らすことなど、お互いが慣れません。そこで一念発起、今まで子育て優先のような子ども部屋を思い切って縮め、LDKを大きくしそこに大きなテーブルを置くのです。そう、これが私が常に提案しているジャンボテーブルです。

お馴染み「ジャンボテーブル」とそのプラン(画:天野彰)

このテーブルの端には流しやレンジも付け、料理教室のようにするのです。写真と図はわが家のLDKのリフォーム例ですが、ステーキハウスです。ここで友達や近所の人たちと一緒に料理や菓子を作ったり、花や陶芸などいろいろなことを教え合い、得意とする絵や習字など近所の子どもたちに教えるのです。夫も英会話や経理などのキャリアを活かし塾も開設?するです。わが家を学習塾にし、ここで子どもも一緒に勉強し、さらに夫婦が生涯働ける職場にするのです!

5 仲良し夫婦の家のお話

子育てをはじめとする教育の問題が今年度は特に目立った社会問題となったのではないでしょうか?しかしこのことは家族、取り分け夫婦の問題が原因と思えてならないのです。住まいで夫婦は常に一緒に居るのか?なぜ夫婦は分かれてしまうのか?かつて某紙サイトコラムで行った調査では夫婦は一緒に寝ているどころか、一緒に居る時間も少なかったことが伺われたのです。しかもそれらはすべて子育て、子ども部屋優先に起因するもの。これでは「住むための機械」どころか「子育ての機械」です?

これも子どもの教育、さらには子ども部屋のために夫婦は残された狭いLDKの中でさらに狭苦しいのです。夫婦が互いの存在、自分の存在が疎外され、気が付かない間に夫婦が互いに“邪魔”になっていた?と言う。夫婦の存在とそのヴィジョンが見える住まいになっていないのです。鼻を突き合わせていると息苦しい!互いの場を分け一緒に居る場を創る

鼻を突き合わさずしかも一緒に居る?まるで謎かけのようですが、そこでまず夫婦一緒の互いの書斎は、ハッチの向こうとこっち側はわずか50センチほどの距離でガラリを開けると互いの息づかいも聞こえてくるほどで、家事は分けても、夫婦がいつも姿が見えて一緒に居る場となるのです。DKの隅に夫婦互いのデスクカウンターを設け夫婦仲良し書斎をつくるのです。常に夫婦一緒に居ながらも台所に専念もできる。これは一戸建てでも離れたところに書斎をつくるよりも暖かく、お茶も出る何よりも家族とりわけ夫婦が近いところに居られる場所です。

イラスト:DKの書斎家事「夫婦仲良しカウンター」プランとイラスト(画:天野彰

夫婦の互いの寝室を最優先するのです。愛の巣である家の寝室こそ夫婦の核心です。

先のアンケート調査での夫婦の寝室は深刻で、子どもが出て行ったあとは、夫婦の多くは子の部屋に移り、まったく別なところで寝ていることが多いと言うのです。これでは身体的異変突然の地震や土砂崩れなどの災害を考えたらぞっとします。

そこで夫婦の寝室を最優先するのです。二人の子どもには6畳を分割したり、3人の子どもでも6畳と押入れを利用して、机やベッドを仕込んだ造りつけの家具収納で分けそれぞれのブースをつくり三つに分けるのです。ちょっと厳しそうですが、子ども部屋が狭いと勉強が終わったら子どもたちはすぐにリビングに出てくるようになるのです。子どもたちに規律ある生活を教えることができて夫婦の確立ができるのです。

夫婦も1つではなく夫と妻2つの寝室が欲しい?「夫/婦寝室」!

寝室は確かに夫婦の部屋ですが、この6畳一間の寝室さえいざとなれば、夫と妻、「夫/婦寝室」が可能。

なるほどいくら仲の良い夫婦でもいつまでもダブルベッドとはいかず。夫と妻、男と女の個であり、しかも仕事や子育てで寝る時間も違い、冷暖房の好みの温度も違い、さらにはいびきや寝言に苛まれ寝不足になったりもする。しかも寝る時間も違うのです。夫婦にも時差や温度差があるのです。たとえ6畳ほどの寝室でも、二人の間に衝立を置いたり天井に頑丈なカーテンレールを付け厚めのカーテンで仕切ることも可能です。入院の相部屋のベッドのように、これだけで互いのプライバシ-がかなり保たれ、いびきも和らぎクーラーの温度調節もできるのです。

イラスト:「夫/婦寝室」プランとイラスト(画:天野彰)

新築やリフォームのチャンスがあればこうした2つになれる1つの寝室が理想なのです。間の可動仕切りは防音効果がある引き戸にし、二つの冷暖房を配すれば、夫婦それぞれの好みのプライバシーのある寝室が可能となり。開ければ時には1つになる、夫婦別々の一つの寝室「夫/婦寝室」となるのです。こうして親が極力一緒に居ることが、互いの安全そして子どもの健全となるのです。ぜひこの冬季休日に実行されたらと思います。

6 住まい、も少し色っぽくしたら?!

今の住まいに色気があるのでしょうか?久しぶりのこの正月休み夫婦水入らずの時を過ごされていかがだったでしょうか?

今の家は遊び心に欠けている?日本の伝統が失われている。

ハウスメーカーや建築家などの設計者は生真面目なのか?狭小住宅だからか?ローコストのためか?遊び心がなく面白げがない。“愛の巣”であるはずの家は色気がなく面白くありません。かつて私たちの家には大工や左官さらには庭師たちが醸し出す匠の風情、そうそれらには色気がありました。海外の建築家仲間たちと話す時、日本の絵画や文学から見る風情はなぜか艶っぽいはずなのに実際の今の家は近代建築でクールに空虚で空しい」などと言われることが多いのです。

なるほど彼らが目にした歌麿や広重そして国芳や国貞の浮世絵に見る江戸の風情は確かに艶やかで色っぽく奥の深い凝った演出がされたものが多いのです。その背景にある街や住まいに限らず、庶民の生活そのものには遊びが優先されあらゆる芸術文学そして武芸にまでも営々と美が追及されていたのです。それが急激な近代化の波に押し流されてしまったのかもしれません。

そのため継承すべき文化は剥ぎ取られ、あっと言う間にそれらが高層化され、持ち家政策に鼓舞されて狭小住宅となり、今日の工業化されたハウスや分譲住宅となっています。彼らの厳しい指摘は、今の日本は伝統とは名ばかりの付け足しの継承的模倣が多く、真の伝統文化が失われてしまっている」彼らが期待してきた価値観はそのことかも知れないのです。

確かに桧の家を代表する日本の家、木舞や漆喰の左官壁、本物の木組の素材感は日本人の心の底にあり、家族、その夫婦、そしてその原点の男と女の健康と美、そしてあの潤いのある“色気”が心地よく醸し出されていたのです。

LDK浴室までも透明に(画:天野彰)

子が巣立ち夫婦の家をつくる際には、色気を大切にする

今、子どもたちが育ち出て行って、改めて夫婦と男と女を見直してリフォームをしたいものです。その健康と美、そしてその“色気”が醸し出される家、特に浴室や脱衣室。寝室、間仕切りの壁も変化のある開閉式にし、ムード照明や間接(建築)照明、鏡さえも多用して、広々と開放的空間ムードのある「夫婦だけの空間」にするのです。

これこそが色気の原点で、美容や健康で長生きの住まいとなるのです。

中庭にオープン浴室(天野彰)
写真:中庭にオープン浴室(設計:天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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