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本格的なテレワークに適した住まいの課題!間取りとは
【1】テレワーク体制に伴う住まいの課題
あらゆる企業で本格的なテレワーク体制への切り替えが進んでいくなか、テレワーク体制に伴う住まいの課題が明らかになりました。
【2】テレワークにおける課題2点
- ・仕事とプライベートの切り替えの難しさ
- ・仕事に適したスペースの確保
テレワーク体制に伴う住まいの課題における調査結果として、以下の調査結果が参考になります。リクルート住まいカンパニーが2020年4月に実施した「コロナ禍を受けたテレワークの実態調査」からポイントをご紹介します。
【3】サマリー
- ・テレワーカー(仕事時間の10%以上をテレワークで実施している人)の71%は新型コロナの影響でテレワークを開始
- ・テレワークに際する不満として、6歳以下の子どもと同居する既婚者では「子どもを見つつ仕事可能な環境(部屋・スペース)がない」「一人で集中をするスぺースがない」ことを不満/不便を感じる項目として挙げる割合が他家族構成の方に比較して高い
- ・テレワーカーのテレワーク実施場所としては、リビングダイニング(ダイニングテーブル)が55%と、昨年11月調査時に引き続き最も多い
- ・テレワークの実施に当たり、仕事に適した環境に整えている割合は40%
- ・引き続きテレワークを行う場合、 テレワーカーの48%が間取り変更を希望し、24%が現在の家からの住み替えを希望
- ・今後もテレワークを継続したいテレワーカーの割合は84%
- ・割合は少ないものの子ども部屋・お風呂・トイレ等でオンライン会議を実施しているテレワーカーもいる
コロナ禍により、やむにやまれずテレワークに切り替えた方々が多いなか、仕事場に適したスペースがないこと、資料、PCなどの設置場所や収納がないこと、そして、オンとオフの切り替えが難しい場所しかないことに不満/不便を感じる方々が多いことがわかります。それほど、ほぼ強制的にテレワークをしなければならなくなった状況のなか、突然テレワーク体制にならざるおえなくなった方々が、家のなかで仕事場に適した場所を確保することに四苦八苦している様子がうかがえます。
切実な問題であるワークスペースが足りないという問題よりも、お風呂やトイレなどでオンライン会議をせざるおえないほど、仕事とプライベートの切り替えで悩む方々がいるという、ワークスタイル上の課題があります。テレワークに適した住環境とは今後、本格的なテレワークに適した住環境を検討する場合、外せないポイントとして、以下のような間取りを検討することが大事です。
- ・個室=書斎などの専用のワークスペース
- ・半個室を緩やかにLDKなどにつなげた、独立したワークスペース
- ・ロフトやスキップフロア=個室と半個室に近いイメージで使う
- ・共用スペース=LDKや寝室の一角をワークスペースとして兼用
今後、あらゆる業界で自宅を仕事場として使わざるおえないライフスタイルが普及していくことが既定路線になりそうな状況のなか、注文住宅はもちろん、マンションも含めた家づくりも、仕事場の確保と同様、仕事に集中できる空間づくり、時間の使い方などの工夫が可能な住まいづくりが必要と考えられます。
【4】テレワークに適した間取りとは
- 書斎などの独立ワークスペース
- 書類作成や調査、執筆など、集中できるワークスペースを確保する場合、書斎といった個室を検討する必要があります。注文住宅で戸建を新築するとき、テレワーク環境を充実させたりフリーで活動する場合は、ほぼ個室が必須です。個室であれば、オンライン会議のときに家族の話し声や生活音を気にすることもなく、会議に集中できます。話すときはもちろんオンライン会議で注目される生活感を感じさせないリアル背景も用意できます。テレワーク用の個室は、食事・睡眠といった生活空間と分けるのが理想ですが、可能であればLDKや寝室近くに個室を配置すると、家族との自然なコミュニケーションがとりやすくなります。
- LDKにつなげた独立ワークスペース
- 現実的な問題として、個室を確保するのが難しいことが多々あります。その場合、LDKや寝室の一角にデスクを設置し、テレワークするための半個室を設ける方法があります。もちろん専用個室ほどの遮音性は期待できませんが、家具やカーテンなどを間仕切りにしたり、デスクの向きを工夫、間仕切り壁をつくる、LDKと雰囲気を変えて落ち着いた色合いの壁にする、資料やオンライン会議用ヘッドセットなどのテレワーク関連の道具を片付ける収納棚などをつくることで集中しやすい空間になります。また、仕事の合間に息抜きする趣味の部屋も兼ねると隠れ家のような空間が確保できます。テレワークは、オンとオフの切り替えがたいへんなので息抜きしやすいように、いろいろ工夫してみることをおすすめします。
- ロフトとスキッププロアをワークスペースに
- LDKにつなげるワークスペースのひとつの考え方として、縦方向の空間であるロフトやスキップフロアを使って半個室のような空間にすることもできます。ロフトではより個室に近づけるために、LDKに面した仕切る壁を適度に配置して、こもりやすい空間にすると良いでしょう。スキップフロアであれば、壁まではいかなくても目隠し程度に仕切りを高くするなどの対応は可能です。双方とも適度な距離を保てるため、家族の気配を感じながら仕事に集中しやすい環境になります。
- 部屋の一角をワークスペースに
- 個室・半個室・ロフトもスキップフロアも難しい場合、LDKの片隅に共用ワークスペースを設置する方法があります。共用ワークスペースを設置する最大のメリットは、家事や子育ての合間に仕事にとりかかることができること。小さい子供がいる時期はリビングで仕事。いずれオフィスに復帰する予定の方に向いています。もちろん、オンライン会議における家族への遮音性の問題はもちろん、家族に嫌われる仕事してるぞオーラ、オンライン会議中に気になる家族の会話・生活音やプライベート空間を消し去ることはさすがに難しいことです。対策として、オンライン会議など声を出す仕事や締め切り間近の追い込み時期は家族と過ごす時間をずらす、PCの向きやカメラの配置を工夫、ヘッドセットのマイクではなくスタンドマイクを使う、バーチャル背景の選び方を工夫することで、家族から苦情が来ることは少なくなるかもしれません。
【5】生産性を高める工夫
オフィスでは阿吽の呼吸・一を聞いて十を知る、といった無意識のうちに頼っている言外の情報交換が、テレワークにおいては大きく制限されます。そうなると、大半の方々がテレワークに移行すると
- ・どうしたらいいのかわからず右往左往する
- ・気合いが足りないのでオンライン飲み会で解決」といった根性論に走る
- ・テクノロジーやトレーニングに投資して解決しようとする
上記のような問題をどう解決するか、という点に関心が向きがちですが、屋外の騒音だけは室内で対策しようにも多額のコストがかかるため、住み替えが前提となってしまいますが、屋外の騒音以外の問題であれば、ちょっとした工夫で仕事の効率を高めることができので参考にしてみてください。
- 仕事の効率をあげる工夫
- 仕事に集中したいときは周辺環境を切り替えが大切です。
- 仕事に集中するときは、個室に移動する、ロフトに上がる、庭などを通って仕事部屋に向かうなど、周辺の環境を切り替えましょう。半個室の場合は、家具やカーテン、間仕切りを使って周囲の視界を遮り独立した空間に仕立てる方法が有効です。
- デスク廻りのカラーリングは、ダーク系が基本
- 仕事場所は、プライベート空間と隣接していても、ダーク系の色合いで家具や壁、床の色味をそろえると、仕事に集中しやすくなります。
- 照明の色味と配置は妥協なく検討
- 仕事で集中できる照明の色味は、昼光色や昼白色。リラックスできる色味の電球色ではありません。適度に自然光も取り入れるようにすると、より快適な空間になります。なお、照明の位置は、仕事の内容によって適した器具や位置が変わります。作り付けのデスクなど固定した家具を設置する場合は、住宅会社に仕事内容を踏まえ要望をしっかり伝えましょう。
- 扉のない棚とピン止めできる壁面で、資料の出し入れと整理を楽に
- 机のまわりに資料棚を置くと、間仕切りや引き出し代わりに使えます。棚の色味はダーク系に揃えることで、オンとオフの切り替えもしやすくなります。ちょっとした資料をピン止めしたり並べて見られるような場所があると、より便利です。
- 席を立たずにプリンタ、スキャナを使うため、コンセントの配置と数をしっかり検討
- 仕事部屋にプリンタ・スキャナを置く場合、電源と通信の配線を多めに想定したコンセントの数・位置決めはもちろん、有線 LANジャックなどを設置して無線 LAN回線(Wi-Fiなど)などから想定される情報漏洩リスクに備えましょう。場合によっては、光回線(有線)への切り替え、並びにセキュリティ対策のしっかりしたルーターへの交換も考えておく必要があります。
- 家族との無用な諍いを減らす工夫
- あわせて、テレワークでは職住が接近しすぎていることから、家族との生活時間が重なり、家族との間で無用な諍いが起きる可能性があります。テレワークの時間と家族との生活時間の切り替えを少しでもうまくできるように工夫してみましょう。
- 仕事時間と生活時間をずらす
- オンライン会議中に家族との会話があまり漏れないよう、あわせて家庭内オンとオフの切り替えをしやすくするため家族との生活時間を踏まえ仕事時間を設定しましょう。仕事時間をオフィスワークと同様な時間に設定するか、時間の制約をうけない時間帯にするか、仕事の内容によって大きく変わります。オフィスワークでもテレワークでも、求められる成果は変わりません。より生産性が高いスタイルについて、いろいろ検討してみましょう。
- 仕事の合間に家事を効率的にこなす
- 仕事の合間でも、家事はこなさなければなりません。特に日々の食事準備が、負担に感じる方々が多いようですが、仕事の合間に効率的に料理ができるお勧め道具とは《圧力鍋》。圧力鍋であれば、いったん加熱して調理を始めたら、あとは火を止めても余熱で調理できるので、仕事にも他の家事にも集中できます。テレワークと聞くと、IT機器などの整備に関心が向きがちですが、調理器具や調理家電、洗濯機などの工夫で時間を確保する考え方もおすすめです。
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