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建築家 天野 彰 世相変化の家(3)

はじめに

6月15日より開催予定の第 26 回 R&R 建築再生展で、私が提唱するのは、明日、大災害が起こるかもしれない、ウイズ・コロナの時代、避難所に行く事も困難な老人たちが多く、在宅避難ができる「防災性能」と、建物の経年変化を早める腐朽菌やさらにコロナ菌の室内への侵入を食い止める「防菌性能」そして、さらに老いが進む超高齢社会で安全にわが身をセルフ・ケアして“老いを進めない”「防老性能」の“三つの防”の「3防建築」の提案予定です。

這ってでも自立して活きる家

私が提唱するバリアフリーとは、必ずしも車いすで暮らすことではないのです。歩けなくなったらベッドからトイレ、さらには浴槽へと自分の手の力で腰をずらして移動するベンチ式の水回りや、そのまま浴室の洗い場のスノコまで這って行って寝たままシャワーを浴びる。など、究極の自立を考える姿勢なのです。


イラスト1:洗い場のスノコの上で転がってシャワー入浴する老人(画:天野彰)
イラスト1:洗い場のスノコの上で転がってシャワー入浴する老人(画:天野彰)

そうです。いわば生活自体がリハビリで、厳しい老いの時代を元気に活きる意識を養うことです。これにより意気が高揚し、介護に頼るだけではなく、住む人自らがわが身の症状に合わせ工夫し、さらに障害バリアを乗り越えて自立の生活をするセルフ・ケアできる住まいづくりなのです。

写真:ベンチのトイレと浴槽までずらして動く
写真:ベンチのトイレと浴槽までずらして動く(写真:Rさん宅:設計アトリエ4A)

セルフサポートの精神とは…狭い家に車いすは?

老いが進み、いずれ介護や入院も必要となるでしょう。が、それまで極力在宅で自立の生活をする工夫をすることです。ソフトで温かい仕上げ材を使用し、IT時代の通報センサーなどのセキュリティシステムなど、あらゆる安全策を取りながら自立した生活をするのです。

イラスト2:私が開発する天井自在走行のサポートシステム(画:天野彰)
イラスト2:私が開発する天井自在走行のサポートシステム(画:天野彰)

さらに自力で移動が困難となったらレンタルの介助補助の装置やイラストのような新時代のトランスファーやロボットリフトなどを駆使しながら、一日でも長く“わが家で活きて”行くことが大事です。

多くのバリアフリーの老人施設や車いすに頼る介護方法を見て思うのは、やはり介護する側の思想であることが多いのです。要介護のお年寄りが急激に増えて介護費削減で仕方がないことですが、要はギリギリまで這ってでも暮らせることが本人も大変ですが、老いに打ち勝つためにも良いのです。

セルフ・ケアにサポートを

ちょっと思い出してみれば、わが国のお年寄りの暮らしはほんのこの間まで畳の座敷で座布団を上手に使って背もたれにして座ったり、布団を畳んで敷き、腰を浮かせてオマルで用を足したりなど家族も大変でしたが、本人が自力で頑張って老いを暮らしていたのです。


お陰で寝たきりとなっても気丈夫で、認知症になることも少なく、入院してもさほど長くはならなかったような気がするのです。しかも不思議なことに介護がきつくても本人も家族もあまり悲壮感を感じなかったような気がするのです。現代は在宅介護や様々なケアサービスもあり大いに活用します。しかしそこに欠如やアンバランスもあり、さらなる行政サポートの仕組みが望まれます。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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