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24時間換気システムの仕組みは?種類ごとの特徴・点検の目安についても解説
24時間換気システムは、住みやすい環境を維持するために欠かせない、重要な設備。新しく建てられた家には、必ず24時間換気システムが設置されています。
この24時間換気システムを使って適切に住居内の換気を行うことで、トイレや生ゴミなど、家のなかで発生する不快なニオイはもちろん、結露やカビを防止する効果も期待できます。加えて、24時間換気システムを付けっぱなしにしても、かかる電気代は、高くても月あたり数百円程度。
しかし、24時間換気システムのフィルターが汚れていたり、部品が破損していたりする場合は、うまく機能しない恐れがあります。
よって、快適な生活環境を維持するには、日頃から24時間換気システムの定期的な掃除や点検を行うことがポイント。24時間換気システムを上手に活用して、快適な生活を送りましょう!
24時間換気システムの仕組みは?
最初に24時間換気システムについて、簡単に説明します。
24時間換気システムとは、住居全体の空気を入れ替える換気システムのことを指します。ほとんどの方は、換気扇というとキッチンや浴室、トイレなど「換気扇を回したら浴室やトイレだけ換気される」というイメージをお持ちです。
この換気は「局所換気」と呼ばれます。
24時間換気システムは局所換気とは違い、1つの換気システムで全部の部屋を換気できる仕組みになっています。現在の住宅は、すきまだらけの昔の住宅と違い、断熱性能の向上にあわせ気密性能が高く、ドアや窓を閉め切ると汚れた室内の空気が外に排出できにくくなったことで健康被害が問題となりました。それを解決するために、2003年7月1日施行の改正建築基準法により、「24時間換気システム」の設置が義務付けられたのです。
つまり、2003年以降に建てられた家なら必ず24時間換気システムがついています。この24時間換気システムを稼働させると、部屋をまたいで空気が通る換気経路を通じてすべての部屋が換気されます。2時間ほどで室内全体の空気が入れ替わります。
具体的に説明すると、屋外から取り入れられた空気は、ドアの隙間や廊下を通ってリビング・寝室・浴室・トイレなどを経由して流れていきます。新鮮ではない室内の空気は、部屋ごとの換気扇やダクトなどから室外に排気されます。
したがって、居住者が窓やドアを開けるといった換気対策を行わずとも、常に室内の空気が換気されるのです。
24時間換気システムのメリットは?
シックハウス対策
なぜ、24時間換気システムの設置が義務付けられたのか。
その理由は、空間の清潔さを保つことで、居住者の健康を維持することです。
汚れた空気や、ニオイだけではなく建材や家具から放出される化学物質や空気中に漂うアレルゲン(アレルギーの原因となる抗原)が原因で倦怠(けんたい)感・めまい・頭痛といった症状が引き起こされる「シックハウス症候群」という言葉を聞いたことがあるのでは?それを解決することを目的に義務化されました。
つまり、改正建築基準法で24時間換気システムの設置が義務化されているほど、室内の空気を清潔に保つことは健康にとって重要と言えます。
最近では、新型コロナウイルスの感染リスクを軽減させるため、しっかりと換気を行うことが推奨されています。
結露やカビの防止
結露を少なくするためにも、計画的な換気は必要です。
換気ができていないと、調理や入浴はもちろん、呼吸などによって排出される水蒸気は部屋に溜まり、室内の湿度が上昇します。湿度が高いとカビ・ダニなどが繁殖してしまうため、こちらも健康に影響を及ぼす可能性があります。換気をすることで室内の湿度を適切に排出でき、カビやダニの繁殖を抑える効果はもちろん、トイレのあとや生ゴミなど家のなかで漂うイヤなニオイが部屋にしみ付くのを防ぐ効果があります。
24時間換気システムの種類と特徴
24時間換気システムは、おおきく分けて3種類あります。
ファン(機械)で給排気をするか、換気口を通して自然な給排気をするかということで分けられています。
第一種換気方式【性能:高い 購入・設置費用:高い ランニングコスト:高い】
・給気:ファン
・排気:ファン
給気・排気の両方に機械を使うので換気効率は最も高く、全館冷暖房もまかなえる換気システムもあります。ただし、システム本体や工事費用が高額で、他のシステムと比較して月々の電気代やメンテナンス費用などのコストがかかります。
第二種換気方式【性能:高い 購入・設置費用:高い ランニングコスト:高い】
・給気:ファン
・排気:自然
機械で空気を取り込み、排気口から自然に空気を排出します。室内の気圧が高まることから、住宅で採用されることは少ないシステムです。
第三種換気方式【性能:まあまあ 購入・設置費用:安い ランニングコスト:安い】
・給気:自然
・排気:ファン
機械で空気を排出し室内の気圧を下げることで、給気口から自然に空気を取り込みます。第一種換気システムと比較してシステム本体や工事費用TPが廉価であること、自然吸気であることから月々の電気代も安価でメンテナンスが容易であることから多くの住宅で採用されている方式です。
24時間換気システムは止めてはいけない?
24時間換気システムは常につけておかなければなりません。
しかし、悪天候の日は雨や雪の侵入が心配だったり、昨今の電気料金高騰をうけ、ずっとつけていることで電気代が高くなるのではないかと、不安になっている方も多いのでは?
まず、24時間換気システムの電気代の相場は、地域や電力会社、料金プランによって異なりますが、おおよそ月間で約100円~700円程度。年間にしても約1,200円~8,400円程度です。
となると、トイレや生ゴミなど、生活するうえでどうしても避けられないニオイが月100円程度で解消できるのであれば、24時間換気システムを使わない理由はありません。
続いて、24時間換気システムを使ううえで気をつけるべきことを解説します。
良く聞かれるのが、雨の日や寒い日、雪の日は給気口を閉じてもよいがとうか?という質問です。天気が悪い日や、外気がとても冷たい日は、給気口から雨や冷気が入ってきそうで閉めておきたくなる気持ちはよく分かります。もちろん、台風などの暴風のときは、雨が打ち付けられて室内に入ってくる可能性もあるので閉じても問題ありません。
ただ、梅雨のように湿気の多い時期や、外の気温が低い時期に給気口を閉めっぱなしにしてしまうと、結露の原因になることがあります。雨風の影響があるとき以外は、基本的に給気口を開けておくことが基本です。
24時間換気システムの問題点と解決法
ここでは、音の問題と温度の問題について解説します。
24時間換気システムの換気扇の音がうるさい時の対策
まず、最初に24時間換気システムのフィルターの点検と清掃を行いましょう。
吸気フィルターが詰まって吸気が少なくなると、吸排気モーターに負荷がかかり、運転音が大きくなります。
また、内部にほこりや汚れが溜まっている場合は、「ボー」「ゴー」「キー」「ガラガラ」「ガガガガ」という音が聞こえるケースが多いようです。その場合、フィルターや本体を清掃することで、運転音が静かになります。ほこりやサビなど原因を取り除いても大きな音が改善しない場合は、システムが経年劣化した可能性が考えられます。モーターが劣化したことで、音が大きく聞こえているかもしれません。
それは、長年使い続けたことで、モーターの回転軸が歪んでしまったり、ファンが破損してしまっていることが原因です。
このような状態になってしまうと、日常のメンテナンスでは改善できません。部品交換や高額な換気システム本体の交換も視野に入れた、24時間換気システムの点検と修理が必要になります。
24時間換気システムで寒い時の対策
24時間換気システムを使っていてどうしても寒い場合の対策として、以下のような方法があります。
・風量調節ができるシステムでは、風量を弱くする。
・給気口の前に物を置く。
・給気口の前に暖房器具を置く。
・給気口に紙を貼る。
・少しだけ止める。
などの方法があります。
「給気口の前に物を置く」「給気口に紙を貼る」方法ですが、給気口から入ってくる冷気が直接、体に当たらないだけでも寒さを軽減できます。どうしても寒い時は「少しだけ止める」方法もありますが、ずっと止めてしまうと、湿気やカビ、シックハウスの原因になりますので注意しましょう。
24時間換気システムの点検の目安は?
第1種、第3種とも共通しているのは「フィルターの清掃・交換」。
フィルター交換は、各家庭の自然環境、使用状況により異なりますが、おおむね3ヶ月に1回の点検、1年に1回のフィルター交換が目安。
3ヶ月毎の点検時は、掃除機等を使いながらフィルターに付着した汚れやホコリを掃除して、目詰りの有無をチェック。汚れがひどい場合は、中性洗剤を使用して洗えば再利用することもできますが、カビの発生を防止するため、十分に乾燥して水分を完全に除去した状態で設置します。
・第1種換気方式の場合、10年に1度程度の間隔で熱交換器エレメント交換、ダクトの汚れがひどい場合にはダクトの清掃も行う必要があります。
・第3種換気方式の場合は、排気口内の換気扇部分にもホコリが付着するので3ヶ月毎の点検時にあわせて清掃をしましょう。
修理・交換の費用目安は?
24時間換気システム本体の交換は、取付費も含めた費用目安は15万円~25万円ほど。故障した箇所によっては一部の部品交換で直る場合もあります。
目安価格 | |
---|---|
モーター交換 | 10万円程度 |
フィルター交換 | 数百円~1万円以内※目安 |
※換気システムの種類やメーカーによって金額は異なります。
しかし、部品をメーカーが所有する期間は6~9年前後と決められており、故障した時期によっては交換部品が無い場合もあるため、交換部品がなくなってしまった場合は買い替える必要があります。また、24時間換気システムの寿命は10年程度。設置年数が古い場合や、修理費用が高額になる場合も買い替えをおすすめします。
24時間換気システムは、日々の快適な暮らしを守る必須設備
24時間換気システムは、住みやすい環境を維持するために欠かせない、重要な設備であることをご紹介してきました。
現在では、新しく建てられた家には必ず24時間換気システムが設置されています。適切に住居内の換気を行うことで、トイレや生ゴミのニオイなど、生活するうえで耐えられない不快なニオイはもちろん、結露やカビを防止する効果も期待できます。加えて、24時間換気システムを1か月稼働し続けていたとしても、かかる電気代は、高くても月あたり数百円程度。この程度であれば、電気代を気にすることなく、24時間連続で稼働できます。
しかし、フィルターが汚れていたり、部品が破損していたりする場合は、24時間換気システムがうまく機能しない恐れがあります。そのため、ずっと快適な生活を送るために24時間換気システムの定期的な掃除や点検を行うことをおすすめします。24時間換気システムを上手に活用して、快適な生活を送りましょう!
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