住宅関連記事・ノウハウ
子どもの顔が見える 子どもと育つ家
能登半島の地震から既に1か月半が経過しました。
240名もの犠牲者を出した大きな震災でありながら、まだその全容が明らかになっていない状態で避難生活者は増え続け、ますます寒くなる中、さらなる関連死の恐れも心配されます。連日の被災地の映像は改めてわが国の地形の在り方や活断層の実際の大地の変動がどのように街や住まいに破壊をもたらすかを示しています。あの阪神大震災や東日本とはまた違った被害も見えて来て、新たな建物の構造と基礎地盤補強の必要をも感じられます。
【1】住まいは子どもと共に育つ
破壊され、子どもの命さえ奪った住まいを見て、いったい住まいとはどうあるべきなのか?堅固で重い家よりも、テントのように軽く柔軟な家の方が適しているのではないでしょうか。
住まいの構造やプランを固定視せず、もっと柔軟に考える必要があるかもしれません。夫婦2人だけの住まいから子が産まれ、さらにもう一人と、彼らが成長していく間に徐々に家も大きくしていく、まさに家族とともに柔軟に成長して行く家です。これが理想で、実際にその都度住み替えてもいますがそのたびの引っ越しや通勤・通学の手続きや移動も大変です。
【2】体育館住宅の発想
可能なら思い切って敷地を手に入れ、まずはその半分に家を建て、徐々に増築して行くことができれば最高です。まさしく子の成長、あるいは自身の必要に合わせて広くするのです。
しかし今度はその都度の工事も大変で割高にもなります。そこで、妙案!思い切って敷地いっぱいに大きく二階建ての家を建てるのです。と言ってもそこには二階の床はあらず、梁のみが存在します。建築の確認申請のプランは二階建てでちゃんと二階の部屋も階段もあります。しかし実際には造りません。内装は断熱材を張ったむき出しの壁だけです。これは超ローコストでスカスカの家を建てることに他なりません。この広く吹き抜けの雄大な体育館のような空間のワンルームの家です。
ここでのびのびと暮らし、やがて子が成長し部屋が必要となってから初めて階段や寝室をつくります。さらに残りの床を張って子ども部屋の完成です。もし第二子も生まれず、あるいは子どもが寮などに早く巣立って行けばそのまま吹き抜けにしておけばいいのです。このように家族と共に成長する家は、家族の人生に合わせた住まいの理想形です。
【3】息をする 吹き抜けと中庭の家
二階があっても吹き抜けや一階をピロティ式の家にし、次第に壁や床をつくって行く方法もあります。強靭な柱や梁さえ造っておけば丈夫で、家族の状況に合わせて床張りや間仕切りをDIYでつくっている家族もいます。中庭や吹き抜けは常に家族の顔が見えて子育てにおいても夫婦にとっても日常の景色や気分も変わり、狭い家でも広く感じられると言うのです。まさに夫婦や家族にも息き抜きが必要で、文字通り吹き抜けは効果的なのかも知れません。何よりも風通しや採光にもいいのです。
規格型の家や分譲の完成された住まいは始めからきっちりと出来ていますが生活が固定され、案外不自由なのかも知れません。反対に建築家とあれこれ将来を見つめてつくる家は大変ですが、その分柔軟なプランとなり、予算に合わせてローコストにもつくることができるのです。これはマンションの間仕切りの壁をすべて取るスケルトン・リフォームでも同じです。
次回は「大黒柱 家には家長が必要か」についてです。お楽しみに!
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