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2025年3月3日(月)
長生きハウス!住まいは開放すると広くなる?
厳しく長い冬が去り梅の季節となりました。春と思いきや今度は猛烈な花粉の猛威と森林火災、更なる世情不安そして株価?と、どうもうららかな春とは言い難いようです。
住まいは空けると広くなる
当たり前のことのようですが日ごろから壁に囲まれて暮らしていると余り感じない広さ感覚が、壁の一方でも空けるとたちまち広くなる実感をお持ちの方もいらっしゃると思いますが。
当然のことにその一つが視覚の広がりですが、何よりも大きいのが広がる景色や光、さらには音に至るまでのすべての感覚が広がりを持つからです。まさしく古来わが国の住まいの開放感なのです。
もともと多湿の国の住まいは屋根と柱だけの傘の家でした。その暮らしに慣れた人も多いのです。しかし密集する都市に住むようになり、高層ともなると、四方を壁に囲まれた住まいになります。途端にその空間の掌握が当たり前となり、あまり違和感も感じなくなっているのかもしれません。しかし都市の家では簡単に開放することはできません。そこで・・・
空間の一部を“抜く”と倍ほどの広さになるのです?
マンションなどは簡単に隣との壁を壊すことはできませんし、窓も大きく広げられません。しかしこの開放感はこのコラムでも何度もお話した虚像を利用した「錯視」と視線の対角移動「ダイアゴナル効果プラン」です。
要は部屋の片隅のタンス等と壁の隙間に鏡を立てると、手前の壁が写り込んで、まるで奥まで部屋が続いて行くように錯覚して、大きな広がりを感じさせるのです。これこそが空間の“抜け”なのです。
さらにこの広がり感をプランの際に、次々対角線上に視覚の繫がりを展開すると家全体に広がりを持たせることができるのです。これこそがわが国の住まいや寺院の配置パターンで、桂離宮などのプランにも見られように、内部と外部の景色が変化して変わるドラマチックなプランニングとなるのです。

空間に“穴を空ける”中庭・坪庭の威力
さらに室内に大きな空洞を空けることで視覚が広がり明るくなり戸建てなら風も入り隣の部屋を中庭を通して季節も感じられる情緒あるプラン展開となるのです。
この中庭プランはおなじ敷地でありながら大きな庭を室内に取り入れることができ、密集地でも明かりや通気を取り入れ、さらには四季の粋な演出も可能となるのです。まさに都市住宅でも、風通しの良い京都の町家の文化が生まれたのです。
こうして今の住まい、都市の狭小住宅でも工夫することでどんどん広くなりしかも生活に変化も得られ愉しい長生きハウスとなるのです。マンションのベランダの一部を小さな坪庭なんてのも粋ですですね。ちょっと考えて見るだけでも楽しいものです。

そこで・・次回は『住まいにわが歴史わが家の文化を!』です。お楽しみに!
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