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一級建築士/宅地建物取引士/既存住宅状況調査技術者 森下 明 ネクスト・アイズ株式会社建築確認申請の基本と手続き - 初めての方でもわかりやすいガイド

はじめに

家を建てたい、店舗を開きたい、アパートを経営したい。そんな夢をお持ちの方にとって避けて通れないのが「建築確認申請」という手続きです。

この記事では、主婦の方や賃貸オーナー、ご高齢の方など、建築や法律の専門知識がない方でも理解できるよう、建築確認申請について基礎から丁寧に解説します。

1. 建築確認申請とは何か?

建築確認申請とは、建物を建てる前に、その建物の計画が建築基準法などの法律に適合しているかどうかを、行政機関や指定確認検査機関にチェックしてもらう手続きです。

簡単に言えば、この建物の計画は安全ですか?法律に合っていますか?と公的機関に確認してもらい、はい、大丈夫ですというお墨付きをもらう手続きなのです。

2. なぜ建築確認申請が必要なのか?

建築確認申請なぜ・どんな時に必要?サンネイル

✅安全性の確保

建物は長期間使用するものであり、地震や台風などの自然災害にも耐えなければなりません。建築確認申請を通じて、建物の安全性を第三者の目でチェックすることで、住む人や利用する人の命と財産を守ります。

✅周辺環境との調和

建物は周囲の環境に大きな影響を与えます。日照権や景観、交通、防災などの観点から、周辺環境と調和した建築物であるかを確認します。

✅法的トラブルの予防

建築確認を受けずに建物を建てると、違法建築として行政指導を受けたり、最悪の場合は建物の除却命令が出されることもあります。また、将来的に建物を売却する際にも問題となります。

✅実際にあったトラブル事例

神奈川県の70代の男性は、自分の土地に物置小屋を建てました。小さな物置だから申請は不要だろうと考えていましたが、実際には床面積が10m2を超えていたため確認申請が必要でした。数年後、隣家との境界トラブルから役所の調査が入り、違法建築として是正勧告を受け、結局取り壊すことになってしまいました。

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3. どんな時に建築確認申請が必要か

すべての建築行為に建築確認申請が必要なわけではありません。以下の場合に必要となります。

✅新築の場合

原則として、床面積が10m2を超える建築物を新築する場合は建築確認申請が必要です。ただし、農業用の小さな倉庫など、一部例外もあります。

✅増築の場合

既存の建物に新たに部屋を増やすなど、床面積が増える工事を行う場合も申請が必要です。ただし、増築部分の床面積が10m2以下の場合は不要な場合があります。

✅改築・移転の場合

建物の主要構造部(柱や壁、床、はり、屋根、階段)の過半を変更する大規模な改修や、建物を別の場所に移す場合も申請が必要です。

✅用途変更の場合

住宅を店舗に変更するなど、建物の使い方(用途)を変更する場合も、一定規模を超えると申請が必要になることがあります。

工事の種類建築確認申請が必要な条件具体例
新築床面積が10㎡を超える建築物一般住宅、店舗、事務所、倉庫など
増築増築部分の床面積が10m2を超える場合部屋の増設、2階部分の追加など
改築主要構造部の過半を変更する場合耐震改修、全面リフォームなど
移転建物を別の場所に移す場合曳家(ひきや)工事など
大規模な修繕・模様替え主要構造部の過半を修繕・模様替えする場合柱や壁の大規模な入れ替えなど
用途変更特殊建築物への変更や一定規模以上の場合住宅から店舗、事務所から福祉施設など

古民家リノベ事例一覧

リノベ事例リノベ事例リノベ事例リノベ事例

✅確認申請が不要な小規模な工事の例

  • ・床面積が10m2以下の物置や小屋の設置
  • ・内装の模様替えで構造に影響しないもの
  • ・屋根の葺き替えや外壁の張り替えなど

2025年4月の建築基準法改正によりリフォームでも木造2階建て以上建物の大規模なリフォームについては確認申請の対象となります。

詳しくはコチラを参考に。

※ 市区町村によって独自の基準がある場合があります。迷ったら最寄りの建築指導課に相談しましょう。

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4. 建築確認申請の手続きの流れ

建築確認申請手続きの流れサンネイル

建築確認申請の一般的な流れを、順を追って説明します。

1 設計図書の作成

建築士に依頼して、建物の設計図書(配置図、平面図、立面図、断面図など)を作成します。この段階で、建築基準法や都市計画法などの法規制に適合しているかをチェックします。

2 事前相談

本申請の前に、行政機関や指定確認検査機関に設計図書を持参して事前相談を行います。この段階で問題点や不備を指摘してもらえるので、本申請がスムーズになります。

3 申請書類の作成・提出

建築確認申請書を含む必要書類をすべて揃えて、行政機関または指定確認検査機関に提出します。同時に、申請手数料も支払います。

4 審査

提出された書類が法令に適合しているかどうかの審査が行われます。審査期間は通常、法定で7日〜35日程度ですが、実際には1〜2ヶ月かかることも珍しくありません。

5 補正・訂正

審査の過程で問題点が見つかった場合は、補正または訂正の指示が出ます。設計図書を修正して再提出する必要があります。

6 確認済証の交付

審査の結果、法令に適合していると認められると確認済証が交付されます。これで正式に建築工事を始めることができます。

7 着工

確認済証を受け取ったら、建築工事を始めることができます。この際、建築現場には確認表示板を掲示する必要があります。

8 中間検査・完了検査

工事の途中で中間検査、完了後に完了検査を受ける必要があります。検査に合格すると検査済証が交付されます。

実際の手続きにかかる期間

建築確認申請から確認済証の交付まで、スムーズに進んだ場合でも通常1〜2ヶ月程度かかります。補正や訂正が必要な場合はさらに時間がかかります。工事の計画を立てる際は、この期間を考慮しておきましょう。

一般的なスケジュール例(注文住宅を新築する場合)
設計図書の作成1〜2ヶ月
事前相談1〜2週間
申請書類の作成・提出1週間
審査期間3週間〜2ヶ月
確認済証交付後から着工まで2週間〜1ヶ月
工事期間4〜6ヶ月
完了検査工事完了から1週間以内

※あくまで目安であり、規模や地域によって異なります。

5. 必要な書類と準備するもの

建築確認申請に必要な書類は多岐にわたります。主な書類を紹介します。

基本的な申請書類

基本的な申請書類
確認申請書所定の様式に必要事項を記入します
委任状代理人(建築士など)に申請を依頼する場合に必要
建築計画概要書建物の概要を記載した書類
設計図書配置図、平面図、立面図、断面図など
構造計算書一定規模以上の建物の場合に必要

※2025年4月から省エネ関連の図書も一定規模以上の建築物には必要です。

書類作成のポイント

建築確認申請の書類作成は専門的で複雑です。2初めての方が自分で作成するのは非常に難しいため、一級建築士や二級建築士などの専門家に依頼するのが一般的です。

また、地域によって必要書類や様式が異なることがあります。事前に行政機関に確認することをお勧めします。

準備するもの

建築確認申請の前に、以下のものを準備しておくと手続きがスムーズになります。

土地の権利関係の書類

登記事項証明書、土地売買契約書など

土地の測量図

正確な敷地面積や境界を確認するために必要

建築したい建物の希望・要望リスト

設計士との打ち合わせに役立ちます

予算計画

申請費用だけでなく、設計料や工事費なども含めた全体予算

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6. 専門家に依頼するメリットと費用

専門家に依頼する?サムネイル

専門家に依頼するメリット

建築確認申請は専門知識が必要な手続きです。以下のような専門家に依頼するメリットがあります。

  • ・法規制への適合性の確保:建築基準法や都市計画法などの複雑な法規制に適合した設計を行います
  • ・スムーズな申請手続き:申請のノウハウを持っているため、手続きがスムーズに進みます
  • ・時間と労力の節約:専門知識がなくても安心して任せられます
  • ・トラブル防止:申請ミスによる工事の遅延や追加費用の発生を防ぎます

依頼できる専門家

専門家役割依頼する際のポイント
一級建築士あらゆる規模・用途の建築物の設計・申請が可能大規模な建物や特殊な用途の建物に適しています
二級建築士木造・鉄骨造で3階以下、延べ面積500㎡以下の建築物の設計・申請が可能一般的な住宅の設計・申請に適しています
木造建築士木造で2階以下、延べ面積300㎡以下の木造建築物の設計・申請が可能小規模な木造住宅の設計・申請に適しています
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費用の目安

建築確認申請に関わる主な費用は以下の通りです。

費用項目金額の目安備考
申請手数料1〜20万円程度建物の規模や用途、申請先によって異なります
設計料建築費の3〜10%程度一般的に戸建て住宅の場合は5%前後が多いです
申請代行料5〜20万円程度設計料に含まれる場合もあります
各種証明書取得費用数千円〜数万円登記事項証明書や測量図など

7. よくある間違いと対処法

建築確認申請における典型的な間違いと、その対処法を紹介します。

✅申請が必要なのに申請しなかった場合

小規模な増築や改修でも、建築確認申請が必要なケースは多いです。申請せずに工事をしてしまうと、違反建築物として是正命令の対象になることがあります。

工事を計画する段階で、まず市区町村の建築指導課に相談しましょう。申請が必要かどうか、専門家に確認することも重要です。もし既に無申請で工事をしてしまった場合は、建築基準法違反是正報告書を提出し、必要な改善工事を行うことで是正できる場合があります。

✅申請内容と実際の工事が異なる場合

申請時の図面と異なる工事をしてしまうと、完了検査に合格できません。検査済証がないと、将来的に建物の売却や建て替えの際に問題になります。

工事中に設計変更が生じた場合は、必ず計画変更確認申請を行いましょう。軽微な変更であれば軽微変更届で対応できる場合もあります。もし既に計画と異なる工事をしてしまった場合は、「建築基準法適合状況報告書」を提出し、必要に応じて是正工事を行います。

✅必要な検査を受けなかった場合

中間検査や完了検査は法律で義務付けられています。検査を受けずに建物を使用すると、違反となります。

完了検査を受けていない場合でも、建築基準法適合状況報告書を提出し、遡って検査を受けることができる場合があります。ただし、現状が申請内容と異なる場合は是正が必要です。

✅申請書類の不備・記載ミス

申請書類の不備や記載ミスは審査の遅延につながります。特に敷地面積や建築面積などの数値の誤りは要注意です。

対処法

申請前に複数人でチェックするか、専門家に確認してもらいましょう。事前相談を活用すれば、本申請前に不備を指摘してもらえます。

✅予防策のポイント

  • ・工事の計画段階で、早めに専門家に相談する
  • ・必要な申請・検査のスケジュールを事前に確認する
  • ・設計変更が生じた場合は、すぐに建築士に相談する
  • ・完了検査の日程は余裕を持って調整する

まとめ

建築確認申請は、安全で法律に適合した建物を建てるための重要な手続きです。初めての方にとっては複雑に感じるかもしれませんが、専門家のサポートを受けながら、一つひとつのステップを確実に進めていくことが大切です。

特に重要なポイントは以下の3つです。

  • 早めの相談と準備:計画段階から専門家に相談し、必要な書類や手続きを確認しましょう。
  • スケジュールに余裕を持つ:申請から確認済証交付まで時間がかかることを考慮して、全体のスケジュールを組みましょう。
  • 変更があった場合の迅速な対応:設計変更が生じた場合は、すぐに専門家に相談し、必要な手続きを行いましょう。

建築確認申請は煩雑な手続きですが、安全な建物で安心して暮らすための大切なステップです。この記事が皆様の建築計画の一助となれば幸いです。※本記事の情報は2025年4月時点のものです。最新の法律や制度については、各市区町村の建築指導課や専門家にご確認ください。

この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の案件については専門家にご相談ください。

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一級建築士/宅地建物取引士/既存住宅状況調査技術者 森下 明一級建築士/宅地建物取引士/既存住宅状況調査技術者 森下 明

一級建築士/宅地建物取引士/既存住宅状況調査技術者 
森下 明
ネクスト・アイズ株式会社

ゼネコン、ディベロッパーでの設計・施工管理を経て、大手ハウスメーカーで注文住宅の営業を10年以上行い、多数の住まいづくりに携わる。
現在は、住まいを「作る・建てる」だけでなく、不動産の有効活用、相続、空き家など住まいに関る様々な問題をかつ客的な立場でアドバイスを行っている。また、一級建築士事務所の管理建築士として、戸建住宅、アパート、ビル、マンションなどの建物調査 (インスペクション)も行っている。

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