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建築家 天野 彰 「暑い!」改めて涼味を味わいしましょう

はじめに

こんなに世界が灼熱の異常気象になって、化石燃料による地球温暖化のせいだと言う政治家は今はいない、ハワイ、ロスに続きカナダや南欧のスペイン、フランスの山火事に対してこのことが起因するのではなどとはマスコミも誰も警鐘すらもしないのです。

考えてみればあのMAGAの「掘って、掘って、掘りまくれ!」で始まったどこぞの王様の誕生以来のことだったような気もするのですが。今となってはRのU侵攻や大国の覇権が起こり始めたのもこのコロナ後の大きな断層にあるかのように思えてなりません。今さら誰のせいと言っても取り返せませんが、地球人のひとり一人が温暖化を防ぐことです。

わが国にはゆるぎない文化があり、幾度かの危機を凌いで来た

温暖化を啓発活動と考えるか地球の叫びと捉えるかですが、すでに世界人にはマナーと定着しているはずです。こんな中で、暑い夏が来るたびに筆者が思い出すのは「徒然草」です。しかもなぜか蒸し暑い京都にあえて目が向くのです。

「夏を旨とすべし」の自然優先の思想に心がほだされたからでしょうか。日本の住まいや暮らしの原点を知るためにいろいろな古典や家相学などを読み漁った中で、わが国の偽らざる本音の生活や世相を適格に言い著しているのがこの一言につきると思うのです。まさしく何百年にもわたって人々が読み継いで来ている事実からみても、それが日本人の生活の知恵として疑わないからです。近年においても明治維新、そして戦後と、急激に近代化が進み「衣食住」のすべてが西洋化されハイテク化されても、日常の生活や行事は四季の折りなしの中で営われているのです。

「衣」の装いも「食」の豊かさも、さらには「住」の設えも、まるでDNAのようにすべては日本であり、湿気対策の上にすべてが成り立っているのです。今都市化されコンクリートの集合住宅のモダンなインテリアとなっても、なぜか「裸足の生活」であることです。

度々の戦禍や経済恐慌、さらにはあらゆる災禍にもじっと耐えて来た歴史です。たった今も40℃に迫る暑さの中で熊本の被災者は水も電気もない中で誰もあたふたとした素振りも見せずじっと耐えておられるのです。

クーラーの歴史のない欧州の酷暑の凌ぎ方

思いもかけずヨーロッパもこの夏は猛暑に襲われ、もともとエアコンも扇風機ものない石の家は室内を冷やすことに奔走させられているのです。冷蔵庫にある凍ったペットボトルを身体に押し当てたり、壁飾りのセンスで急遽扇いだり、急場のエアコンも排気ができず結局窓から熱い空気を押し出しても熱気が戻って来てしまうという。
筆者自身も暑い欧州の夏を何度か経験しましたがなにせ空気がカラッとしていて日陰にさせえ居れば何とか過ごせ、夜は寒いほどの日もあったのです。やはりここは湿度のなせる酷なのです。

わが国の家も断熱と気密性の高い石の家ならぬ、べニアの「箱の家」で、柱と屋根だけの「傘の家」がどうしてこうも急に、つるッとした扁平な「壁の家」となってしまったかと不思議です。もしこのありさまを兼好法師が観たらどう言うか。

「夏を過ごす」ことは大きな課題です。クーラーも無かった古来先人たちの知恵を今の自分たちなりの暮らしに想像してみるのです。自身で全天候型の家を工夫して(思うだけでも)自分で守るのです。あえて「夏を快適に過ごそう!」と考えるのです。その気持ちだけで、この先電気が停まり、年老いても頑丈なメンテナンスのいらない家となるのですが…。

イラスト:夏の住まい(イラスト:天野彰)
イラスト:夏の住まい(イラスト:天野彰)

暑さには「衣」の装いも「食」の豊かさも、「住」の設えも、アニメさえも、まるで日本のDNAのように古きカタチであり、夏の暑さと湿気対策の上にすべての生活やドラマが成り立っているようです。それこそがインバウンドの驚くところであり魅力なのです。

実は今、夏も冬も扇風機や換気扇が見直されています。エアコンの冷気や熱風をうまく送り、拡散させることにも使われるのです。こうして風は部屋中を回り巡るのです。
暑い日も陽が落ちたら庭や道路に水を撒き、窓を少し開けて寝れば涼しくなるのです、これが「蒸発潜熱」です。最近では見られなくなったタライに浸した水とタオルでスイカを冷やしたあの情景(写真)の原理です。

「蒸発潜熱」の家のようなスイカ
「蒸発潜熱」の家のようなスイカ

これを応用しベランダや窓際に濡れたタオルやバスタオルをかけそこから風を取り込むと“涼し気”な風が入り込むのです。そんな情景を脳裏に浮かべながら部屋のどちらかの窓を少し開け、この隙間からやや冷えた?風が入りこむ場所を探すのです。それが「涼味」です。

寝室が2階にならやや安心ですが、網戸の外側に雨戸用シャッターをつけるとスラット(格子板)に5ミリほどの隙間ができ自然の風が入ってくるのです。最近は窓用半開き固定のロックも市販されています。こうしてクーラーとは一味違う風がどう吹くのか。わが家でちょっと探してみるのはどうでしょう。

しかし昨今の30℃近い熱帯夜は別ですね。いったん冷房に頼った身体は元には戻りません。被災地にも大きなテントドームを持ち込みそこに大型のエアコンで思いっきり冷やしてあげたいものです。
次回は何はともあれ湿気対策です。

写真:市販の防犯用隙間用(半開き用)ロック
写真:市販の防犯用隙間用(半開き用)ロック(写真:天野 彰)

建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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