住宅関連記事・ノウハウ
子供部屋の設計
<子供スペースのスペシャリストに聞く子供部屋設計>
子供部屋というのは、家をつくる上で大きなテーマです。
子供部屋単体で考えても意味のないことですし、子供部屋が引きこもりの原因!などと
安直に済ませることもできません。
『個室がなければ問題が生じないのかといったら違うでしょう。
家で1人にならなければ、子供は外に1人になれる場所を求めるかもしれません。家全体で考えた時に、
子供を育む空間としてどうあるべきか。そんなところから考えてみましょう。』
と、今回子供部屋の設計について教えてくれたのは、建築家の高橋孝栄先生。
いくつもの子育て住宅を設計してきた、子供スペースのスペシャリストだ。
<子供部屋は必要か、不必要か>
『まず、子供部屋の必要か不要かについては、“必要”と考えています。
ただし、小さい子供には個室は不要です。
個室が必要なのは、勉強に集中する受験の時期と、自己の内側の問いかけが出てくる思春期。
1人になれる場所として、3畳も用意すれば十分なのです。
あまり広くて居心地が良すぎると、そこから出てこなくなる(=引きこもる)のですから、
鍵は必要ないし、広くても4.5畳くらいが妥当なのではないかというのが私の考えです。
個人で管理すべきものと共有するものの区別ができていれば、その広さで十分なはず。
また、子供が巣立った後にもその程度の余白だと使い勝手がよいのです。
衣裳部屋、ゲストルーム、書斎など、あまり広くても持て余してしまいますから。』

吹き抜けに面したファミリースペースの奥に配された子供室。仕切りは閉じ加減を調節しやすい引き戸で。
上部のガラスの引き違い窓は、通風確保と気配を伝えるためのもの。
『子供部屋は、今は共有スペースとして使え、将来必要に応じて仕切れるようにつくりました。
だから広い必要はないし、基本的に扉は開けっ放しにと考えています。』
『また、大人のコミュニケーション能力不足が話題になる昨今。我が子にその力をつけさせたいのなら、当たり前ですが、まずは家族でしっかり会話をし、人の集まる機会を増やすことです。人と交流を重ねるうちに、子供の会話やふるまいに他者への配慮が出てきます。家は子供の社会性を養う重要な場所なのです。だからこそ家には、人との交流のしやすさが望まれます。
たとえば、人の気配を感じる空間、縁側、お母さんの存在を感じながら子供が遊べる間取り・・・。
ふすまを開ければ見渡せる古民家のようにおおらかな家の中に、適切なバランスで、年齢に応じた子供部屋を設えたいものです。』
『子供部屋は成長に併せて、緩やかに閉じて、また緩やかに開く空間が望ましいです。』
なるほど、可変性を持たせておくということが重要なのですね。
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