住宅関連記事・ノウハウ
2025年3月31日(月)
子育て住宅の実例!子供部屋について考えよう
スペシャリストに聞く!子供部屋の設計について
建築家が語る子供部屋のあり方
今回は、建築家のいくつもの子育て住宅を設計してきた、子供スペースのスペシャリスト高橋孝栄先生です。
子供部屋というのは、家をつくる上で大きなテーマです。子供部屋単体で考えても意味のないことですし、子供部屋が引きこもりの原因などと安直に済ませることもできません。個室がなければ問題が生じないのかといったら違うでしょう。家で1人にならなければ、子供は外に1人になれる場所を求めるかもしれません。家全体で考えた時に、子供を育む空間としてどうあるべきか。そんなところから考えてみましょう。
子供部屋は必要か不必要か
子供部屋の必要性と適切な広さ
子供部屋の必要か不要かについては、必要と考えています。ただし、小さい子供には個室は不要です。個室が必要なのは、勉強に集中する受験の時期と、自己の内側の問いかけが出てくる思春期の時期かと思います。1人になれる場所として、3畳も用意すれば十分なのです。あまり広くて居心地が良すぎると、そこから出てこなくなる(=引きこもる)のですから、鍵は必要ないし、広くても4.5畳くらいが妥当なのではないかというのが私の考えです。個人で管理すべきものと共有するものの区別ができていれば、衣裳部屋、ゲストルーム、書斎など、あまり広くても持て余してしまいますから。その広さで十分なはずです。また、子供が巣立った後にもその程度の余白だと使い勝手がよいのです。
子供部屋は、今は共有スペースとして使え、将来必要に応じて仕切れるようにつくりました。だから広い必要はないし、基本的に扉は開けっ放しにと考えています。
また、大人のコミュニケーション能力不足が話題になる昨今。我が子にその力をつけさせたいのなら、当たり前ですが、まずは家族でしっかり会話をし、人の集まる機会を増やすことです。人と交流を重ねるうちに、子供の会話やふるまいに他者への配慮が出てきます。家は子供の社会性を養う重要な場所なのです。だからこそ家には、人との交流のしやすさが望まれます。たとえば、人の気配を感じる空間、縁側、お母さんの存在を感じながら子供が遊べる間取り...。ふすまを開ければ見渡せる古民家のようにおおらかな家の中に、適切なバランスで、年齢に応じた子供部屋を設えたいものです。
子供部屋は成長に併せて、緩やかに閉じて、また緩やかに開く空間が望ましいです。
子育て住宅の実例!家中で子供たちが遊べる家
子供の成長を育む住空間の実例
- 子供がじっとしていられない遊びつくしたくなる住空間
- この家には、子供の居場所や遊び場を成立させる仕掛けがいっぱいあります。吹き抜けに垂れるロープ、テニスの壁打ちもできる屋上、そこにつながる2階中庭、回遊性のある空間のあり方や、頑丈で安心感のある構造です。元気な子供達が、子供室に留まっているはずがありません。
- 大人にも快適で子供が家中で遊べる家
- 奥様は、それまでのマンション生活で得た教訓を丁寧に家づくりに反映したといいます。お子様関係で希望されたのは
・室内のロープかハシゴ
・ホワイトボード(自由に描ける環境) - ・キッチン脇で勉強できるカウンター
- ・こども部屋前のファミリールームなどなど
- 他にも
・階段脇、有孔ボードで仕上げた壁面には、奥様が一眼レフで撮った写真がたくさん飾られている。 - ・ガレージの一部分に家族の手形、足形を残した。
- ・下足入れ下の床にはビー玉を埋め込んだ。照明に光るビー玉が人を迎え、ふっと心を和ませる。
- ・キッチン脇にも色々ひっかけられて便利な有孔ボードを採用。家族の予定などを把握するためにも、子育て家族の住宅にはこういったスペースがありがたい。
- など、随所にこだわりが詰まっている。
子育て住宅を数多く手がけてきた高橋先生の、経験をふまえたアイディアと、マンション生活で得た教訓を活かしたお施主様との二人三脚の家づくりですね。子供がいるお家づくりの参考にしてみてください!
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