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建築家 天野 彰 都市での防災思想~都市の住まいに求められる思想とは

都市での防災思想~都市の住まいに求められる思想とは

これからの住まいには一体何が求められているのでしょう?誰もが持家を望むのでしょうが、密集する都市の住まいは地価が余りにも高く、とても一戸建ては無理です。結局集合住宅となり、しかも分譲マンションと言う、区分所有の権利が生まれたのです。それも高層の方が戸数が増えて土地コストの比率が下がり比較的割安となってマンションブームが続いているのです。

一方で一戸建てに住む人は家が老朽化して今後の耐震強化とそのついでに快適水回り設備のリフォームに関心があるようです。ここにきて消費税増税もありにわかにリフォームブームとなっているのです。しかし、本来都市に住む基本とは、住まいづくりの根底となる思想とはいったいなんでしょう?人が密集すれば当然被害のリスクも高まり各家は狭く、しかも家族は勝手気ままに暮らせバラバラとなる。これが都市の生活、都市の住まいとなるのです。3.11のあの悲劇的な大災害も三年が過ぎ、いまだに被災地では多くの人が辛い現実の中におられます。しかし今何よりも最優先すべきはインフラを含めたトータルな防災強化でそれも各戸の耐震のみならずあらゆる災害を想定した都市型防災対策が必要なのです。そのリフォームの前にまず「防災の意識」と「防災の思想」を持つことではないでしょうか。

人々が密集すれば各戸は当然狭くなります。狭い!とにかく狭いので限られた住まいの中でいかに広く住むか?そしてその狭さを生かすことはとにかく立体的に住む?!物はもとより人も積み上げるなどです。さらに何よりもその狭くしかも高層の都市住宅で家族がどう住むか?家族の未来を考えることが住まいに求められるのですが次回、次々回にお話しします。

そこで、まず都市型の「防災の思想」とはいったいなんでしょう?あの津波の衝撃でついひるみがちとなる防災意識ですが…、阪神淡路で起こった都市の直下型地震の破壊もさることながら、液状化で地盤がぐちゃぐちゃとなり、道路はもとより上下水やガスのインフラが寸断されました。さらには最近多発するゲリラ豪雨。そして豪雪などの異常気象対策も必要です。原因はすべては都市の密集化で、昔から江戸や京都の街では大火災が怖れられていたのです。ここであの卯建(うだつ)を考えてみましょう。そうです「卯建が上がる」と言えば、めでたい出世をたとえた表現です。まさしく裏通りから街道の表通りに店を出すことで、卯建の「卯」とは、写真のようにうさぎの耳のように隣家からの“もらい火”を防ぐ防火壁で、古来密集する都市の家にとって、防災防犯の知恵と言えるのです。

もらい火を防ぐ防火壁、卯建
写真:防災防犯の知恵 もらい火防止の防火壁【卯建】(天野彰)

これこそが本質的な防災の原点で、誰もが経験した苦い体験から生まれた「知恵」と「意識」で、“必然的な”都市で暮らす人の「防災思想」なのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

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