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建築家 天野 彰 庭があって初めて夫婦の「家庭」?!~夫婦の家

1 庭があって初めて夫婦の「家庭」?!~夫婦の家

桜の咲く季節になるとなぜか落ち着きません。桜がいつ開花するか、いつ満開になるか?はたして天気は?と、真剣に見計らって花見の日取りを決め、宴会の予約をしたり、場所取りの心配をしたりするのです。

私の事務所の花見ももちろんのこと、友人や私が所属するロータリークラブや学会のメンバーなどの花見や観桜会などなどと気忙しいのです。この桜が咲くわずかな間に最も美しい満開の日と場所を真剣に探すのです。わが家系は代々花見と花火男の傾向があるようで、私の祖父や親父の好きな詩も「散る桜 残る桜も 散る桜」で、一瞬に華やかに輝き散る桜や花火にとりつかれた様に惹かれるのです。この桜の咲く季節は落ち着かず見逃したときには箱根の山に行ったり、ついには秋田の角館や北海道は函館にまで桜を追っかけて行ったりもするのです。

左:311以降やっと咲いた桜にむなしさが・・・ 右:今年の嵐の中で咲く桜高輪プリンス(天野彰)
左:311以降やっと咲いた桜にむなしさが・・・ 右:今年の嵐の中で咲く桜高輪プリンス(天野彰)

そんな私を最近桜は惑わしています。特にあの311の東日本大震災以来、その花見好き男に異変が生じているのです。あの震災直後の上野の花のためらいと、被災地に咲く桜はむなしく、いつになく白々しく感じたものです。その後の年も咲き誇る桜に何故か寂しささえ感じるのです。そしてまた今年も異常気象と内外の不安定な世情の嵐の中で立派に咲き誇る桜に元気づけられたものです。この季節は家の外の庭に目が行きます。

猫の額のような小さな庭にもベランダにも、近隣の小公園にも季節の花が咲き、その芳香が漂い、わくわくして来るのです。家づくりでも庭に目を向け、園芸雑誌や庭づくりの本を買い込み、夫婦で植えたい木や植物を選ぶ楽しみとなります。ハナミズキ、シャラ、ドウダンツツジどの木も芽を吹き花が咲きそして紅葉を楽しめるのです。妻は「この木を玄関に植えましょう。春になると薄紅のきれいな花が咲くわよ」と、夫はジンチョウゲ(沈丁花)とクチナシ(梔子)を選び、「どちらも花の香りがいい。ジンチョウゲは春、クチナシは夏に咲く」などと、マンション暮らしで忘れていた幼いころに住んでいた互いの家の庭の懐かしい季節の香りを思い出すのもこの季節です。

左:中庭に夫婦の植樹 Y様邸 右:デッキの植栽 K様邸(天野彰)
左:中庭に夫婦の植樹 Y様邸 右:デッキの植栽 K様邸(天野彰)

例え密集地での中庭でもマンションのベランダでも室内であろうとも鉢植えの植物で季節感を出し家庭菜園をも楽しむのです。次第に夫婦の好みの「庭」が出来上がって行き、子どものようにすくすくと育っていく苗に励まされ元気いっぱいとなるのです。まだ子どもの居ない夫婦にも、すでに子どもたちが巣立って行ってしまった夫婦にも生を感じ共に生きていることを実感できるのです。

家づくりは「家」だけでなく「庭」にもこだわりを持って初めて、夫婦の家の「家庭」となるのです。そしてその庭は思い出の庭となっていつまでも家族と共に生き続けるのです。

割り石と枕木のイングリッシュガーデン W様邸(天野彰)
割り石と枕木のイングリッシュガーデン W様邸(天野彰)

2 夫婦の家は男と女の人世

全国民の4人に一人が65歳以上となる超高齢化時代の今、改めて脚光を浴びるのが「夫婦の家」なのです。子育てが終わった家族では当たり前のことではないかと言われそうなのですが、さにあらずなのです。なぜなら今日の住宅問題は家族、とりわけ夫婦の高齢化であり、先々不安なエネルギーや医療費負担の高齢世帯の住まい、問題なのは独り暮らしとなったお年寄りの独居なのです。その一方で核家族化が進み「同居なんて!」と言う親夫婦も依然多く、その夫婦がいよいよ高齢化し一方が具合でも悪くなって入院や老人施設にでも入るとまさしく独居暮らしとなるのです。これが妻の入院ともなると夫はパニックとなり、妻は夫の暮らしが気がかりの入院となるのです。いずれの場合も長期の入院となるとなかなか置いてくれる病院も老人施設もなく自己負担もますます嵩んでくるのです。

こんなことから入院するほどの重症でなくとも食事や日常の世話、そして夜間の不安からの入院希望となります。いわゆるこれが社会的入院で、政府は医療費削減のために、ますます自己負担額を増やし在宅療養、在宅介護を奨励するのです。しかし70歳を超えた夫婦が一体どうやって連れ合いを看護し介護するか? ますます進む少子化の中で1組の子夫婦に両方の親夫婦が2組4人、さらに90歳前後の祖父母も生存しているなど多数のお年寄りを抱えることになるのです。

人生一回転の時計(画:天野彰)
人生一回転の時計(画:天野彰)

そんな背景から、少子化を解消するために住まいの絶対的広さや共働きでの産休に加え託児などの社会システムの確立がないまま、年金をはじめ福祉負担を狙っての短絡的な消費増税は穴埋めに過ぎず。その一方で医療費削減などは、子育てもままならない若い人たちに倦怠(けんたい)感を与え、ますます少子化を招くことになっているのです。もはや家族の問題以前に国家レベルの社会不安、いや無策と言えるのです。しかしそれ以上に大きな問題はそんな社会事情が原因で、夫婦である本来の男と女そして家族までがねじ曲げられていることです。現実は子育てのさ中でも、要介護の親を抱えながらも、勇気を持って第二、第三子を設ける人もいますが至難の業ではありません。すでに余裕の出来た夫婦が50を間近にして男と女の原点に戻り、改めて未来を想うことも可能です。いざとなれば養子や里親も可能です。確かに子どもが多いことは楽しみがあり、わが家わが国の活力であり老いて寂しくありません。

左 わが家のステーキテーブル実はここが書斎 右 その私のキッチンの書斎(天野彰)
左 わが家のステーキテーブル実はここが書斎 右 その私のキッチンの書斎(天野彰)

しかし私の住まいの設計思想は夫婦です。しかも「夫婦」は一つと考えず、夫である「男」と、妻である「女」それぞれの人生を主体に組み立てます。住まいの基本は「夫婦」とつい錯覚して、実はどちらか一方の意見に押されてプランをつくってしまいがちだからです。「男と女の家」には、男と女のそれぞれの葛藤があり、魅力があり、想いがあり、人生があるのです。その肝心の夫婦も家を建てるときは人生を考え、インテリアだ、キッチンだとブティック感覚に惑わされず、また子ども、子どもと育児の家にしてしまわずにあくまで私の夢、ぼくの夢の家のスケッチを描くのです。それを恥じることなくそれぞれに設計者に見せればいいのです。設計者はその夢と予算をもとに夫婦の好みはもとより、子育てのことや老後のことまでを考えてプランにしてくれるのです。それがプロであり設計者の腕の見せ所なのです。そんな設計者は決して設備やモノからスタートしないのです。

左 Ko様邸おとなのリビングダイニング 右 大人ムードのリビング(天野彰)
左 Ko様邸おとなのリビングダイニング 右 大人ムードのリビング(天野彰)

チャールズ・チャップリン扮する老芸人が、映画『ライム・ライト』で、失業中のバレリーナに言った「人生はすばらしい。大切なのは勇気と想像力だ」の名セリフは今なお新鮮でとても感動的です。今から125年前(1889年)のこの4月16日は、喜劇王・チャップリンがロンドンの寄席芸人の子として生まれた日です。本当に人生は一度しかない。だからこそすばらしい!のです。

3 わが家は夫婦の顔

家のデザインを一言で言い表すことは難しいのですが、その機能とニーズと取り巻く環境のベースに、その均整と必然性とで成り立っているものがベストデザインと思います。 しかし、ちょっと間違って、たがをはずした瞬間に思いもかけずたちまち耽美(たんび)になったり、反対に攻撃的に鋭利に目立つデザインになったりもするのです。特に建物の外観やインテリアなどのデザインは、その成り立ちのベースとなる住む夫婦や家族の動きや居心地が重要な要素となるのです。目を引くスマートな外観のインパクトもさることながら、それ以上に家族の居場所重視のゾーニングや、あちこちに遊びのあるプランニングこそが今日のようなせせこましい時代にふさわしいデザインと思えるのです。

わが家は家族の顔(画:天野彰)
わが家は家族の顔(画:天野彰)

私は家の設計を依頼されたとき、その土地のロケーションと夫婦の顔を見て、その瞬間に家族の、あるいは夫婦の家の顔をイメージします。まだ目鼻の付いたものではなく、ぼやっとした輪郭のようなものですが、不思議なことにそのイメージはいつまでたっても払拭されることなく、設計の最終の段階にまで付きまとうのです。しかし、これが大きな間違いであることに気付くのです。改めてその夫婦、とりわけ「夫と妻を別々に観察」させてもらい確認するのです。

建て主方は「えっ? 何をいまさら?」などと、けげんな顔をされることが多いのですが、この段階での怪訝な顔”こそが、夫婦の本当の「顔」であることも多いのです。そう「家の顔」、それこそ家の中身と一体となった夫婦の顔なのです。一見派手そうに見えた奥様が、実は光と影を楽しむ日本的な感性の持ち主だったり、その反対に家づくりに無関心だったご主人が、実はおおいに目立ちたがり屋であったり!など、驚くことも多いのです。

その本当の「夫婦の顔」が見えてくると、家の外観やインテリアのなどの“見せ場”もはっきりしてきます。洋風モダンな外観が落ち着いた和風となったり、その外観よりもインテリアを重視したりと、まるで福笑い(死語?)のようにその家の目鼻が整い、時にはプランまで変わることもあるのです。なかでもよくあるのは住まいの大きさで、そのスケール感覚は人それぞれで、「狭い」「いや、広い」などと議論して間取りを決めた末、「こんな広い家は要りません!」などと言う情けないことも起こるのです。これもまだ設計の途中であればいいのですが、見積もりが出てきてからとか、家が建ちあがってきてからでは悲劇的です。夫婦の意見の違いや感覚の違いで、わが家を建てる歓びさえ失ってしまうのです。私自身こんな悲劇が起こらないために、たとえそのプランに自信があっても設計の最終段階でこの確認をするのです。その家と夫婦を客観的に見て、別な人格の2人の最大公約数の最終調整をするのです。

街に溢れるいろいろな家の顔 二世帯の顔がうかがえるM様邸外観(天野彰)
街に溢れるいろいろな家の顔 二世帯の顔がうかがえるM様邸外観(天野彰)

4 わが家をみんなの学習塾に?

定年退職を迎え 夫婦の家についてお話しをしてきました。夫婦だけの住まいはこれからどうなるのでしょう?子どもたちを送り出し、夫婦2人だけの生活となり、人生のたそがれの季節でもあります。会社人間だった夫も突如、毎日家に居るようになるのです。夫婦が朝から晩まで顔をつき合わせて暮らすことなどまったく経験なく、お互いが慣れず、なぜか夫は毎朝、今までのように背広を着てネクタイを締めて出かけるのです。家を出て駅前で行く当てもなくうろうろとし、結局、カフェテラスかパチンコ店で半日を過ごして午後早くに家に帰る。これでは夫婦の残された人生が余生になってしまう。

そこで一念発起、今まで子育てのためにあったような住まいを改造し思い切って建て替えるかとも思うのですが、ここはリフォームしてLDKさらに和室までを含めた大きな部屋にします。そこに大きなテーブルを置くのです。そう、あのジャンボテーブルです。このテーブルの端には流しやレンジも備え付け、料理教室か学校の家庭科室のようにすればよいのです。イラスト1.2のLDKのように、ステーキハウス?ですがもともと私がおすすめする「囲炉裏ダイニング」です。ここで友達や近所の人たちと一緒に料理や菓子をつくったり、花道や陶芸などいろいろ教え合い、さらに得意とする絵や習字などを近所の子どもたちに教えるのです。

ジャンボテーブル DKを囲炉裏テーブルに(画:天野彰)
ジャンボテーブル DKを囲炉裏テーブルに(画:天野彰)

ご主人もいろいろな知識やキャリアを持っています。商社などに勤めた人は英会話などのレッスンや、経理や税理などの塾も開設できそうです。そうです。わが家を学習塾にするのです。これで生涯働ける職住近接の“職場”を夫婦で作り上げるのです!

こうした老後の“職場”をある日突然つくるよりは、まだ子もたちが小さい間に“ステーキハウス”にすることです。の原点となる「囲炉裏ダイニング」は私の造語で、もともとわが国の、いや人類創始からのダイニングで、これが今も「だんらん」の形なのです。私がはじめて本物の住宅の設計をお手伝いした大分県臼杵市の小手川邸(1964年)でした。まさしく洋式のフードつきの暖炉でありながら、そのフードの支えに開けた穴に大きな串を通し、魚や肉を刺して丸焼きにするのです。まさしくそれは「囲炉裏」でした。それをワイルドに家族で奪い合いながら、かじって食べていたものです。

そこで提案、毎度おなじみ、現代版囲炉裏「わが家のステーキハウス」です。実はこれは私の長年の夢で、この提案はずーと昔からしてきて、あちこちの住まいの設計で試みたもののかないませんでした。お陰で鉄板焼きが大好きとなり、鉄板焼き屋に行くと、焼き方やタレ、さらには肉の厚さや種類などを研究したものです。

そしてついにわが家の築15年のリフォームの際、ダイニングキッチンを大改造し、すべてテーブル、すなわちジャンボテーブルとし、そこに24mm厚の鉄板を購入してはめ込み、本当にステーキハウスで使われているプロのコンロを用いて本格的ステーキハウスにしたのです。の大きなテーブル、鉄板だけに飽き足らず、テーブルの端の方に丸い穴を開けてコンロを内蔵し6人ほどが囲める鍋コーナーとし、すき焼きやしゃぶしゃぶをするのです。

小手川邸の囲炉裏暖炉ジャンボテーブル リフォームで“ステーキハウス”(画:天野彰)
小手川邸の囲炉裏暖炉ジャンボテーブル リフォームで“ステーキハウス”(画:天野彰)

ステーキハウスで老後の交流と楽しみを
小手川邸の囲炉裏暖炉ジャンボテーブル リフォームで“ステーキハウス”(画:天野彰)

そんな「男と女の家」の定年後の夫婦の生き方から始まる夫婦の人生の設計思想を書き表した『夫婦の家』の本(講談社+アルファ新書)出版社

天野彰著書『夫婦の家』

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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