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2025年11月29日(土)
住まいの文化(5)千年の都市型自然住宅「町家」に学ぶ
はじめに
その町家には都市住宅の1,000年の歴史とも言うべき工夫と生活の知恵があることに驚くのです。ここの町家のプランニングは路地と路地裏を通り抜ける通り庭を軸に、それに接して植栽や坪庭があり、それらをはさんで次の路地の向こうにまた住ブロック群が整然と続くのです。現代都市計画手法の先端的な住居形態とも言えるのです。しかもその住まいの居住性は、路地と路地裏としか外部に接していないこの密集住宅の町家は、多湿なわが国の気候と、京都盆地の独特の暑さの中で、さぞかし風の通り難い住みにくそうな家と思いきや、無風状態の中でもなんと家の中を中庭に向かって微かに風が通るのです。これを平面図と断面図で詳しく検証してみると、なんと家そのものが中庭を軸にある工夫がなされて?いることが分かるのです。

イラスト:京都町家の平面図と断面図、まるで巨大な換気扇(画:天野彰)>
その町家の断面とは、なんと中庭の前後の瓦屋根が灼熱の太陽で熱せられて上昇気流を起こしていることが分かります。こうしてこの中庭の空気は負圧となり、さらに屋根の上昇気流によって吸い上げられるように昇って室内に風が通るのです。しかもその風はなんと表と裏の両路地から中庭に向かって流れる!のです。夕暮れ時に路地に打ち水をするとさらに蒸発潜熱で冷えた空気が室内に呼び込まれ過ごしやすくなるのです。
家そのものが“巨大な換気扇”になっていることが分かるのです。これは実際に模型をつくって屋根を黒のモザイクタイルなどを張って瓦屋根に見たて、白熱灯で温めると、なるほど室内の線香の煙がすべて中庭に向かって一斉に流れ始めるのです。

写真:京都町家の模型(天野彰)
一見、閉鎖的に見える京の町家は、夏暑く冬寒い盆地の京都の気候と地形を生かした科学的な工夫と、都市の防火対策もなされたセルフディフェンス・ハウスなのです。
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