住宅関連記事・ノウハウ
2025年11月29日(土)
「木の住まい」が一番 木の薫りは人と地球を守る!
国産木材が注視され、強化・耐火木材
に関心が高まっている
いま、建築や建材の分野では建築再生
が大きなテーマとなっています。その中で長らく輸入材に押されてきた国内木材が、再び注目され始めています。海外では自然保護による伐採規制が進み、輸入木材の供給は減少。一方で新興国の経済発展によって木材需要が増加し、世界的に木材の需給が逼迫しているのです。
この流れの中で、日本国内でも持続可能な林業への取り組みが進み、国産材の競争力は少しずつ回復の兆しを見せています。また、国の国土強靭化基本計画
では、災害に強い住宅・避難施設の整備が掲げられており、国産木材への期待はさらに高まっています。
日本の森林面積はおよそ2,500万ヘクタール。そのうち約4割が人工林で、とくに成長の早いスギは人工林の43%を占める膨大な資源です。しかし多くが手入れされず放置され、山の荒廃や花粉症などの問題も生まれています。こうした課題を受け、木材の再利用や技術開発の取り組みも活発です。
2020年のオリンピックで国立競技場に木材が使われたことをきっかけに、国産材の再評価が進みました。強化・耐火技術の開発によって、木材を高層建築や都市建築にも活かす試みが広がっています。私は、大学や企業と協働し、木質細胞を壊さず短期間で自然乾燥できる特殊な炉
を用い、強化・不燃処理を施す技術の研究に取り組んでいます。無尽蔵にある杉材など国産木材を、再び現代の建築へ活かすことが目標です。

環境学の分野ではコ・ベネフィット
という考え方があります。これは、省エネルギーだけでなく、健康・環境・経済など複数の効果を同時に生み出すというものです。たとえば住宅を断熱化することで、光熱費が下がるだけでなく、心疾患や脳梗塞、冷えによる体調不良の予防にもつながります。さらに医療費の削減、二酸化炭素の削減といった波及効果も生まれます。つまり、身近な暮らしの工夫が、地球規模の環境保全へとつながっていくのです。
こうした考えを建築に置き換えれば、身の回りにある木
を活かすこと自体が、環境にも人にも良い影響をもたらします。木の家は暖かく、香りや手触りが心を和ませてくれる。木が放つフィトンチッドやヒノキチオールといった成分には、リラックス効果や抗菌作用もあります。木を見直すことは、山を守り、ひいては人と地球の未来を守ることにつながるのです。

木は活きている
木造住宅の本質は、単なる建材ではなく生きている素材
としての木をどう活かすかにあります。木にはしなやかさと粘りがあり、柱や梁を結ぶ仕口
の技術によって、数百年の耐久性を保つことができます。木が呼吸し、水分を吸放出することで、室内環境を自然に整えてくれるのです。
木樽で熟成された醤油がまろやかになるように、木の家にも独特の温もりと風合いが宿ります。科学的な解明はまだ進行中ですが、確かに木は生きている
と感じさせてくれる存在です。


しかし、木の良さは防水塗膜や外装材で覆ってしまうと活かせません。通気性が失われれば、木が呼吸できず、かえって腐食の原因にもなります。本来の木造建築は、軸組と漆喰壁で構成される裸の木の家
です。こうした住まいは今、国内外で見直され、特にアジアの富裕層の間で高く評価されています。


裸の桧の家
現在では、不燃処理や強化技術の研究が進み、木の組成を損なわずに防火・防腐性能を高めることも可能になりつつあります。やがて都市でも、木の香りに包まれた暮らしが再び実現するかもしれません。
広く大きな家から、狭さを楽しむ家へ
都心の住宅地では空き家や空地が増え、街が歯抜けのようになっています。かつては子育てのために広い家を求め、マンションでは子どもが成長するにつれて2LDKから3LDKへ住み替えることもありました。しかし子どもが巣立った後の広すぎる家は、老後の暮らしには不便で経済的負担も大きくなります。郊外に広い家を求めることは、家族間の関係や地域のつながりも希薄にしてしまいます。
そこで生まれたのが「狭楽しい」という発想です。狭い家を苦ではなく楽しむ工夫を施し、必要な時期だけ広さを確保する生活です。人生の中で子育て期は全体のごく一部にすぎず、それ以外の期間はコンパクトな住まいで十分です。減築や生活の変遷を見据えた住まいは、家族の親密さを保ちながら、老後も経済的で快適な暮らしを実現できます。


減築の手法(イラスト 天野彰)
雅な京都祇園は、匠の技による良質な木の家
京都祇園は観光地化が進み、かつての粋な町並みや飲み屋は見世物化されています。古民家も外国人に買い漁られ、民泊や飲食店として利用される例が増えています。しかし本来の価値は、柱や梁の軸組、仕口の技術によって丁寧に建てられた良質な木の家
にあります。
こうした本物の技術は、和の文化の継承として保存されるべきです。四国脇町の商家では、防火壁の二段梲(きだ)や鏝さばきなど、匠の技が際立ちます。単なる観光価値や商業目的ではなく、建築技術と文化の保存こそが本質なのです。


現代建築に生きる日本の軸組構造
古い良質な木の家は、長年の試行錯誤の末に大工や職人の工夫で建てられました。こうした日本の軸組構造は、現代の鉄骨造やラーメン構造の建築にも影響を与えています。欧米の建築家たちも、和の柱と梁の構造に注目し、現代建築の発想に活かしてきました。
西洋建築では積層アーチやドーム屋根、大スパンのトラス構造などが発展しましたが、日本の軸組構造は間仕切りの自由さや木の呼吸による室内環境の快適さという点で独自の価値があります。丹下健三などの近代建築家も、こうした日本建築の考え方をヒントに香川県庁舎、広島平和祈念館、代々木競技場、大阪万博広場などの建築を生み出しました。
しかし、現代都市では歴史的景観の保存が十分でない地域も多く、自由な都市開発の中で人々の生活は混沌としているのも事実です。そんな中でも、古くからの軸組構造の知恵は、現代建築や都市生活に重要な示唆を与えてくれます。

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