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建築家 天野 彰 愉しい家(4) 苦を楽に!空間の多重利用?

まずは壁を取り払うことで自由自在な空間へ

この連休にあまりにも物が多く狭苦しい住まいをどうするか?都市の家での暮らし方を考えた人は多いと思います。改めて物を思い切って処分する勇断をし、さらに立体的に物を積み上げる収納を考え、その計画をされたことでしょう。

しかし、もしそのことを実行するなら、その前にすべての壁を取っ払い無くしてみることまで考えてみたらどうでしょう。もちろん家の構造によっては二階や屋根を支えている壁や柱もあります。特に壁は「耐震壁」として家の揺れを防いだり持たせる重要な役目もあります。特に木造などでは壁の中に筋交いなどもあり、下手に壊すと重大な問題も起こります。2×4(ツーバイフオーやパネル工法などのむやみに壁を動かせない家もあります。さらにマンションなどの集合住宅の場合は柱だけではなく各階を繋ぐ配管や配線もあり勝手に壊すことはできませんが、これらも管理人や、専門家と相談すれば内装の間仕切りなどのほとんどは取り外せます。

イラスト1:可動間仕切りの例(画:天野彰)
可動間仕切りの例(画:天野彰)

開閉間仕切りで空間の縮小拡大例(設計:天野彰)
開閉間仕切りで空間の縮小拡大例(設計:天野彰)

こうして壁、すなわち間仕切りを外してみるとびっくりするほど広々とするものです。なるほどワンルームは同じ面積の2LDKに比べ驚くほど広く感じます。しかしこれではプライバシーが保てません。生活行動や家族の要望によっては目隠ししたり囲ったりする必要もあります。

この“愉しい家”の冒頭でもお話ししたように、まずは個室化した子ども部屋の壁を取り去り、最小限にコンパクトにし、そこをカーテンやガラス戸で仕切る提案をしました。子ども部屋がまるでリビングにむき出しになるような感じもしますが・・・、実際はカーテンで視界や光線を遮断し、さらにガラス戸をきっちり閉めると音や空気も遮断できます。子どもが通学や遊びに出かけている間などは開放すると家中に風も通り、子ども部屋の前のベランダから光も景色も入り明るく広々とします。何よりも今まで狭かった皆の団らんの間のリビングが広々とするのです。

可動間仕切りを収納としても活用する

これこそが私が提唱する、動く“壁”すなわち可動間仕切りなのです。この開閉によって間仕切りは生活や気分によって自在に可変できるのです。実際子どもはコンパクトになった部屋がまるで飛行機の操縦席?だと愉しく勉強にも集中できると言うのです。しかも当初きっちり閉めていたこの引き戸やカーテンも次第に閉めないようになり、寝る時以外は開放して勉強するようにもなると言うのです。これは受験時や将来の職場でも手元に集中することができてとてもいいことだとも言われるのです。何より家族が常に一緒に居る時間が増えるのです。

こうして壁が“動く”ことによって同じ住まいが何通りもの間取りになるのです。コンパクトな子ども部屋のように空間が広くなったり、閉じられたり、まさに「可変住空間」となるのです。これこそわが国の伝統的な空間の設計手法であるユニバーサルスペースなのです。

イラスト2:動く収納家具でLDKがL+DKとなる(画:天野彰)
動く収納家具でLDKがL+DKとなる(画:天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

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