住宅関連記事・ノウハウ
2024年9月22日(日)
住宅ローン金利【2022年度後半】
【1】2022年度後半の住宅ローン金利動向について予測
ネクスト・アイズ早坂です。弔い合戦と化した参議院選挙を経て、国内金融市場はこれからの政治の安定性を踏まえ、円安・株高の流れになると見込まれています。岸田政権が黄金の3年を手に入れた現在、今後3年近くかけて物価高対策を柱とする経済対策、ならびに経済対策と真逆の財政健全化対策を進めていくことは間違いありません。
日銀による『異次元緩和』は、経済対策の柱として2022年度は継続されることが予想されています。
各シンクタンクの短期金利の長期予測を確認してみると、財政健全化対策に伴う 『質的・量的金融緩和』が終了することによる短期金利の上昇幅は最大0.5%と予測されています。変動金利の上昇は、最大0.5%程度と予測されます。
【2】住宅ローンにおける変動金利の見直し(金利上昇)について
メガバンクから始まるかと想定されています。一方、競争の激しいネット系金融機関では、各金融機関の営業側面を踏まえると、金融緩和が終了してもすぐに変動金利を上げることはなさそうと予測できます。もし、ネット系金融機関で変動金利を上げるとしても、各社とも競合他社の状況を窺いながら判断するはずなのでネット系金融機関の金利見直しは早くて2025年。遅ければ10年後の2032年と想定しています。
返済比率が高くなく、金利上昇リスクをご自身で対応できるのであればネット系金融機関を使って繰り上げ返済もあわせて検討する借り方が、もっとも金利負担の軽い方法になりそうです。
ただ、あまり繰り上げ返済を急ぎ過ぎると住宅ローン減税が受けられなくなるので、そのあたりは住宅ローン残高をみながら検討することをお勧めします。ネット系金融機関の審査は厳格で最優遇金利が適用されるのは一部の方々だけなので、実際のところ、大半の方々は広告に表示されている『最優遇金利』の適用対象にはならない点に留意が必要です。
【3】人気の10年固定金利に代表される固定金利期間選択型
今年度になってから、ほとんどの金融機関で10年固定金利の住宅ローン金利が上昇しています。
なお、各金融機関とも10年以内に『質的・量的緩和の終了』と『ゼロ金利政策の解除』があると予測しています。なので、固定期間終了後の金利は、固定金利期間が終了したタイミングで、大幅に上昇する可能性が高いと考えられます。
【4】全期間固定金利(35年固定金利)
全期間固定金利(いわゆる35年固定金利)は、単純な金利比較ではなく手数料・保証料などを加味した実質金利で比較する必要があります。
みなさまご承知のように、全期間固定金利・35年固定金利は毎月の返済額が増加するリスクがありません。
家計に変動要素が多い方※には将来の金利上昇リスクを抑える住宅ローンとしてお勧めしています。
- 家計に変動要素が多い方※
- ・会社の給与が歩合方式の方
- ・子どもがまだ小さい方
- ・高齢の親と同居している
- ・将来の不確定要素が多い方
変動金利との金利差は金利上昇リスクに対する保険として考えてみると、その大きな金利差にも納得できます。
現時点の全期間固定金利・35年固定金利は、日銀が金融政策で誘導している『10年国際金利』にほぼ連動することから、現時点では過去最低水準を維持しています。
【5】フラット35・フラット35S・フラット35保証型
- フラット35
- ご存じの通り借入期間が15年~20年と21年~35年があり、15年~35年の範囲で返済期間を選ぶことができます。
性能の高い住宅であれば、当初5年間または年間の金利が引き下げとなるフラット35S、または頭金が多いほど金利を引き下げるフラット35保証型があります。10年以内に利上げが予測される中、民間金融機関の35年固定金利と同時に住宅金融支援機構のフラット35も事前審査を通しておくとフラット35のほうが民間の35年固定金利より実質金利が低い金利で融資してもらえる可能性が高くなります。
- ※住宅金融支援機構公表のデータを基に作成。
- ※主要都市銀行における金利を掲載。
- ※フラット35の金利は返済期間21~35年タイプ(融資率9割以下)の金利内、取り扱い金融機関が提供する金利で最も多い(最多金利)を表示。
- ※フラット35は2017年10月以降、制度改正による機構団審付きフラット35の金利を表示。
10年以内に利上げが予測されている今、民間金融機関の35年固定金利と同時に住宅金融支援機構のフラット35も事前審査を通しておくと、将来的にフラット35のほうが民間の35年固定金利より実質金利が低い金利で融資してもらえる可能性が高くなりそうです。
なお、2023年4月からフラット35で省エネ基準が要件化されることから、今年10月には来年度の要件化を見据え、フラット35Sの基準が一部改正されます。
現行の基準では断熱等性能等級2相当以上ですが、来年月以降の設計検査審査分から金利引き下げの有無を問わず、すべての新築住宅で省エネ基準相当の性能を求められることから、フラット35での借り入れを前提で毎月の光熱費の節約をシミュレーションしてもらって、浮いた光熱費を住宅ローンの返済にまわすという考え方もあります。
【6】住宅ローン借り換えは、建て替えでも使える
金融機関からみると、借り換え客は破綻リスクが少ないと言えます。
たとえばイオン銀行は、恒常的キャンペーンとして借り換え変動金利のみ新規借り入れより金利を0.05%低く設定していたり、新生銀行やPayPay銀行は借り換え変動金利のみ金利優遇キャンペーン対象としています。住宅ローン残高ありの建て替えの場合、総借入額が増えることが多いことから総借入額は増えてしまいますが、借り換えローン優遇などを使うことで新規借り入れよりも金利が下がる可能性があります。
2022年度後半の住宅ローン金利も、史上最低クラスを維持していますので、2023年12月入居が条件となっている、現時点で最も大きな優遇となっている住宅ローン減税を受けられるタイミングで請負契約をかわしたほうが中長期視点では圧倒的に有利になることは間違いなさそうです。
関連記事
おすすめ特集
人気のある家をテーマ別にご紹介する特集記事です。建てる際のポイントや、知っておきたい注意点など、情報満載!