住宅関連記事・ノウハウ
2026年4月12日(日)
家づくりは超長期の収支計画(3)=住まいの売却時に提案できる建物の付加価値
はじめに
ネクスト・アイズ早坂です。
今回は、ハイスペック(高性能)な住まいに潜むリスク、計画時から将来の売却時に提案できる建物の付加価値の重要性について解説します。
スペック重視で窓を減らしては本末転倒
最近の高性能住宅は、樹脂窓の複層ガラス、もしくはトリプルガラスが標準的な仕様です。ただ、樹脂窓の複層ガラス、もしくはトリプルガラスだとしても、窓の断熱性能は壁の1/7程度(複層ガラス)、または1/5程度(トリプルガラス)の断熱性能しかありません。このように、窓の断熱性能は、窓の種類だけで比較すると高価な窓ほど高性能と思いがちですが、壁と比較すると断熱性能は大きく劣るとなると、窓を減らして壁の面積を増やせば増やすほど住宅の断熱性能は向上し、窓をつける費用(一般的な掃出し窓の本体価格は、1窓あたりおおよそ15万円以上)が減るので、建物本体工事費も下がります。
このように見かけの住宅性能が上がった代わり、窓を減らすことによる弊害として以下のようなことが考えられます。
家のなかが薄暗くなる
たいていの方々は新しい住まいに「冬は暖かく、夏は涼しく、健康で心地よく過ごすことができて、経済的も無理がない」を望んでいらっしゃることかと考えております。南側ですら窓が少ない家で、晴れ渡る空や美しい庭、美しい景色も見えず、心地よい春や秋の晴れ間に窓を開けて心地よい外の空気を取り込む生活を諦める代わり、住宅性能は高い、という生活を続けることが、果たして心地よい生活といえるのでしょうか。現在の高性能住宅の傾向はパッシブデザインに代表される、南窓が大きくて明るくて気持ちの良い高気密・高断熱住宅です。
大きな南側の窓は、冬は暖かい日差しを室内に取り込み、夏はひさしで夏の直射日光を遮る。住まいの心地よさは、遠い将来、家を売るときに選ばれるための非常に大きなポイントです。
高性能住宅にありがちな全館空調・一種換気のリスク
高性能住宅ではあたりまえの設備となっている全館空調・一種換気は、個別空調・三種換気と比較して、一般的には住み始めてからの満足度が高いと考えられています。全館空調・一種換気でも住み始めてから気づくリスクがあります。全館空調・一種換気は建築費が上昇してしまうことは誰しも思いつくことですが、住み始めてから、以下の2点に不満を持つ方々が少なからずいらっしゃいます。
室内が適温になるまで時間がかかる
全館空調・一種換気は止めないことが前提につき、たとえば節電を意識して空調を止めてしまうと、室内を適温にするにあたり、部屋ごとに空調する個別空調と比較するとどうしても時間がかかってしまいます。
一種換気システムのコストと騒音
一種換気の大半を占めるダクト式一種換気は、給気と排気のどちらも行うため、室外の天候に左右されず、家中の換気効率を安定させることができます。熱交換器は排気する室内の暖かさ(または冷たさ)を外気を取り入れる際に再利用するため、冷暖房の効率を高め、ランニングコストを削減する効果があります。
ダクト式一種換気の最大のデメリットは、導入コストが高い点。ダクトを設置するためには、建築段階で十分なスペースと騒音対策が必要で、その設計と施工には高い技術が求められます。このため、初期投資額が他の換気システムと比較して大きくなる傾向があります。
同様な空調設備として、天井埋め込み型の一種換気全館空調システムを選ぶという考え方もあります。天井埋め込み型一種換気空調システムとは、給気と排気を両方とも機械で行う「第一種換気システム」と一体になったエアコンを天井内に設置するタイプの空調機器。熱交換機能を持つことで、給気時に外気を取り込みながらも、室内の温かい空気から熱を回収して利用。無駄になるエネルギーを減らします。さらに、インテリアの邪魔にならず効率的な省エネ換気ができます。もちろん、天井埋め込み式一種換気全館空調システムでもダクト式が一般的ですが、最大のデメリットはエアコンが故障すると、換気システムも機能しなくなる点。
さらに、換気量とエアコンの風量を一致させないと、換気システムとエアコンの経路が室内圧より加圧、または減圧状態となり、エアコンの設定温度とは異なる室温になってしまう可能性があります。さらに、酷暑に備え部屋ごとに予備の壁掛けエアコンを組んでしまうと、空調機器全体の導入費用が高くなってしまいます。
エアコン清掃などのメンテナンス費用も無視できません。天井埋め込み型の一種換気全館空調システムのメンテナンス費用は壁掛けエアコンの3~4倍。
設備費用と保守費用を考えると、天井埋め込み型の一種換気空調導入には慎重にならざるを得ません。高価な一種換気全館空調システムにこだわるより、断熱・気密性能を高めたほうが、結果として初期費用が抑えられる可能性があります。
関連記事
おすすめ特集
人気のある家をテーマ別にご紹介する特集記事です。建てる際のポイントや、知っておきたい注意点など、情報満載!
注文住宅のハウスネットギャラリー






















