住宅関連記事・ノウハウ
2025年4月1日(火)
六十歳で家を建てる!?“減築”して狭楽しく
えっ?六十歳で家を建てる?
長寿命時代の住まい
長寿命時代の六十歳など“若者の部類”に入るのです。現に私の所属するロータリークラブなどでは96歳を頭に高齢会員が多く、私など「若いもん!」なのです。「六十歳から家を建てる」(新潮選書)なる本を書きました。早くに妻を亡くされて、一人暮らしの70歳を越すTさんの家づくりをきっかけに、頼もしい人生を送る人たちの素晴らしい家づくりを、実例を交えて紹介したものです。
本のタイトル
当初の本のタイトルは「七十歳から家を建てる」のはずだったのですが、編集担当から「それでは購読者が限られる」と言うこと?で、やむなく「六十歳…」にしたのですが、それでも「え~?六十歳で家を建てる?」「なんで今さら?」「ローンを返し終わったばかりなのに、資金は?」などとほとんどの人が怪訝な顔をされるのです。が、さにあらずで、実際には私がお手伝いした人の中には60歳どころか70歳以上で今までの家を建て替えたり、リフォームされる人も多く、最高齢では80歳をゆうに越えた人もいらっしゃるのです。
老後の住まいに対する意識
ところが意外にも、こうした人に限ってエレベーターを設置したり、浴室トイレなどをゆったりして、段差もない“老いて”使いやすい「終の棲家」的なものにしようとは考えないのです。むしろ今までの広過ぎる家を“減築”して縮めて、質素にかつ合理的に住もうとされるのです。むしろその住まいの発想は、今までの子育て優先、家族優先の考えを切り捨て、余生をいかに元気に活きるかをテーマに、家族の団らんではなく友人や趣味の仲間の“団らん”で、妻との“茶の間”なのです。そしてその資金はどう工面するか?よりも、今までの土地や広さの有効利用を考え、それをどう生かすかを考えるのです。

資金計画
結果として生命保険担保のローンとなったり、余った部分を貸しガレージやアパート、いや下宿?にするなどぎりぎりの家づくり(リフォーム)をされるのです。
減築して「狭楽しく」する
都市の住まいのあり方
私はもともと都市の住まいは狭いのが当たり前、それを無理して広くすれば当然家賃やローンが高くなり“暮らしが狭く”なる。これは大変と郊外のそのまた郊外に引っ越せば、今度は友達や家族との交流が短くなり“世間が狭くなる”それなら思い切って今の家が狭くとも“狭苦しい”の“苦”さえ取れば“楽”に、いや、それ以上に“楽しく”そうです。“狭楽しく”なる!と説いて来たのです。それを老後の生活に当てはめると具体的にどうなるかを「六十歳から家を建てる」で提示示唆したものです。
減築という選択
“減築”して「狭楽しく」するのですが、大げさなようですが、なによりもこれからの暮らしの経済を考えることで、子育てはもとより、勤めが終わったのちの生活は今までとはまったく違ったものとなるのです。これからの長い人生をどう生きて行くかを考え、増築に増築を重ねて来た今までの家を思い切って“減築”して夫婦の家に引き戻すことです。それはこれからの人生の生き方、住まい方の発想の転換となる最後の投資となるのです。さあ、そこで、建て替えやリフォームをしようと思うのですが、子どもがいない今、いったい何を中心にプランニングをしたらよいのか分かりません。夫婦二人のプランづくりとは意外に大変なことが分かります。そこで家づくりの本質を改めて考えるのです。
定年後の住まいのテーマ
すると、「定年後の住まいはわがままに」がテーマに浮かぶのです。なるほどコンクリートのマンションやプレファブの住宅やツーバイフォーなど「壁の家」に住んできた人は開放的な伝統工法の木造の家を選択するのです。あるいはリフォームで室内をすべて自然素材の山小屋のような家にするなど、徹底的に“わがまま”をテーマとするのです。

わがままは贅沢ではなく、本来の日本独自の暮らし
自然の恵みを享受する
しかしその“わがまま”とは決して贅沢と言うのではありません。大震災の後、今までとは違った新たな創造に向いているのです。それは自然の恵みこそが大きな悦びとなり、今や「衣」・「食」・「住」のすべての創造の源となっているのです。あらゆることが西欧追随型であったわが国の生活文化がやっと本来の日本独自の暮らしを取り戻そうとしているのです。それが新たな人生の家づくりのテーマとするのです。

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