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建築家 天野 彰 実例!何百年も持つ“我慢し”耐える家

我慢する暮らしと住まいの時代?!

震災と原発事故で私たちは省エネやエコどころか計画停電そして節電を思い知らされました。さらに続く円高と急激な老齢年金不安などと、これからの生活や住まいの形は今までとは違ってかなりの変化が必要となっています。

地球温暖化に端を発したエコ感覚とはまったく違い、身にかかわるほど現実的なもので、省エネはもとより自然エネルギーの積極的利用やスマートハウスなど、本気で取り組もうと関心が高まってきているのです。高気密高断熱、あるいは24時間暖冷房が叫ばれる中、私の家づくりの発想は、家中の風の通りを第一義とし、外壁や屋根は断熱を分厚く充填し、窓は縦横に極力大きく開放するのです。さらに家のあちこちに風抜きの窓を開けます。それも手の届く、開け閉めしやすい窓にします。雨の日も窓が開けられるように小庇(ひさし)や霧除け(きりよけ)を設け、時には外部から侵入されない中庭をつくって出かける時も窓を開け、風が通るように工夫するのです。さらに各窓には夏の夜でも開放できるようしっかりした格子や網戸も設けます。

高気密高断熱は寒い冬場は大いに必要ですが、窓が開かない家や、申し訳程度の小さな窓だけでは風も通らず通気もできず息苦しくなります。しかし最近の実際の家は大勢がこうした洋風の家に代わって来てしまったのです。こうなると私が主張する開放的な住まいが間違っていたのでは、あるいは日本人がかつての伝統文化を忘れてしまったかと思うのです。

マンションでも物の置き方一つで風が通る(天野彰)
マンションでも物の置き方一つで風が通る(天野彰)

何百年も持つ我慢し耐える家

しかし一方で、若い人たちが浴衣や着物を好んで着るようになり、日本料理にも人気が集まり、その格好の良さや美味い味のみならず、清々しさや優しさ、さらには健康的な感覚、そうです。肌触りや舌触り、さらには足触りが、衣食住において自然素材の持つ本物思考となっているような気もするのです。

中でも年中暮らす家は長年に渡って、わが国固有の風土と気候の中に息づいているのです。そのテーマこそ湿気です。寒さ対策は先の断熱をしっかりして窓をきっちり締め、まきや炭などを炊いて、自らは重ね着すれば過ごせます。しかし熱く、しかも今のような湿気の多い季節は例えクールビズと言えども、つらい時期です。夏を旨とすべし徒然草の気候風土を原点とする本質は、本来のあるべき姿を教えていて、まさにこの梅雨の季節の過ごし方とも言えるのです。皮肉なことにわが国の住まいは暑いときも寒いときも住む人にとっても、その構造においても、常に湿気に関わって来たことが分かります。この梅雨の季節こそわが国の住まいはその本領を発揮するのです。

そこでこの先さらにどうなるかですが、難しく考えることはないのです。今までやってきた事のちょっとのことを我慢し、節約するだけでいいのです。すでに高齢者の多くはエアコンを嫌い、自然の風を求めて自然と調和する生活を求めているのです。なぜならそれが経済の心配がなく、風邪も引かず何よりも快適だからです。このちょっとの我慢は飽食の時代に、心と体で豊かな気持ちとなるのです。そして次第にその住まいの形はかつて見た民家や町家、あるいは白川郷の合掌造りの構造や原理を彷彿させるものとなるのです。そして昔の人がよくしていたように時々わが家を離れて観たり、家の周りを歩いて回って雨後の点検をするなどで、その家は何百年も持つ我慢し耐える家となるのです。

雨後の点検 ポイント(天野彰)
雨後の点検 ポイント(天野彰)

我慢し耐える家 実例

我慢し耐える家、京都町家(写真天野彰)
我慢し耐える家、京都町家(写真天野彰)
京都町家風景(写真天野彰)
京都町家風景(写真天野彰)
二階を吹き抜けにして風と光を通すリフォーム(写真天野彰)
二階を吹き抜けにして風と光を通すリフォーム(写真天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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