住宅関連記事・ノウハウ
“家の本質”子供の成長を促す家へ
1 子どもたちに “家の本質”のパワーを教える?
「子は親の背中を見て育つ」と言われたのは昔のことなのでしょうか?今、子どもたちに親として何ができるかが問われます。しかし夫は会社でなかなか働く姿を見せられず、母親も共働きで家にいないのです。親の背中を見せようにも疲れた夫のゴロ寝の姿か、母親の疲れ果てた顔なのです。
そこで少ない親子の対話は土日の休みに最大限の親子の接触のできる家とはいったい何かを考えて親子のイベントのある家を建てることではないでしょうか。
子ども部屋を与えれば子どもたちは勉強すると思い、その環境を整えて高い教育を受けさせることが親の使命と思っているのが今の親たちの一般的な子育ての仕方で、3LDK、4LDKの家のカタチなのかも知れません。そうした家族が住むのが一般的な住まいなら、リフォームや新築の機会に、もっと独創的で家族で楽しめる住まいにして子どもたちに親の生き方と背中を見せるのはどうでしょう?
まずその親の背中とはなんでしょう。それこそ親である私たちがその親、さらには祖父母たちから学んできたことを思い出し、もし田舎がある人ならその育った田舎の家と暮らしをちょっと思い出すだけでいいのです。それこそが“親の背中”なのです!
2 懐かしい良さから学ぶ
今の暮らしはあまりにも近代的で便利ですが、ちょっと不便だった、しかしなんとなく懐かしい良さもあったはずです。そのことをできるだけ思い出すのです。これならどなたにもできるはずです。
京都の町家の街並み(写真:天野彰)
超モダンのショウルームでバストイレやマンションのモデルルームを目の前にしてはなかなか難しいことですが、あえてあの不便なころを思い出すのです。自分の部屋はおろか机さえもなかったかも知れません。しかしそんな中で自分たちはどのように勉強したか、何もない中から遊びを見出して結構楽しい思い出もあったはずです。
町家の通り庭の台所(写真:天野彰)
3 子供が育ち、親は安心して老いていける家
実はそれこそが創造力で、そのおかげで自らが進むべき道を選べたはずです。
あるいは親の勧めで今の道に進んでいる人も居るかも知れません。それならそれが良かったのか、あるいは嫌だったのかそのことを今あえて考えるのです。なぜそんなことが家づくりで大切なのか?
私はこうした建て主の家を何軒もお手伝いをして来ましたが、現代の家の設計の側に居ながらいつも私自身が子どもの頃育った家、そして社会や環境を思い浮かべるのです。このことを建て主に悟られることはありませんが、私がこうしていることによりこの家族がその後大きく“本質”から外れることなく暮らせ、子どもたちは育ち、そして親は老いて行けると信じるからです。
左):白川郷の合掌造り群全景 右):合掌造りの囲炉裏端(写真:天野彰)
4 “家の本質”子供の成長を促す家へ
“家の本質”です。家はその形を変え、マンションやツーバイフォーのように形態や構造も変わっても“家の本質”は変わることはないと信じているのです。
なにも私が育った家が基本ではありませんが、その時の空気を今も鮮明に覚えていることと、何度か訪れた京都などの古都に残る民家や、農家、そして世界を旅して改めて感じる日本人が持つ“住まい感”を知っているからでしょう。50年にもわたる私の設計した建て主との交流からもそのことが正しかったと思うのです。こうしてどんな家でもリフォームでも、この“家の本質”さえ守れば、昔育った間仕切りのない独創的な間取りが生まれ、家族がいつも集まる家となり、子どもたちに常に親の背中を見せられ、家族はさらに未来へと進めるのです。
これこそがあなたの“家の本質”であり、家が持つパワーとなるのです。
左 三重):間仕切りのない間取り右 大分):50年前にお手伝いしたリビング(写真:天野彰)
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