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建築家 天野 彰 地震に勝つ家負ける家(4)-災害は想像と創造から-

津波をやり過ごす創造的街づくり

今の家を耐震補強することは、バランスの良い壁の配置と補強にて壁自体のパワー?があるのです。それこそ、柱と梁をベニヤ板で釘か接着剤で貼り付けるというものです。あのツゥーバイフォーの利点を活かし、なおかつ在来の柱梁による軸組で耐久性も高く効果抜群なのです。

こうしてリフォームの際、今の内外の壁をはがす時にベニヤ板やボードをこの柱と柱、土台と梁(はり)の間にたった一枚!の厚さでも多くの釘で打ち付けるだけで、なんと筋交いの倍ほども強くなるのです。“紙一重”の障子やふすまが軽くて、ピシッと狂いもせず、しかも強いことと同じ原理なのです。

さらに足回りが心配なら従来の無筋であった基礎の外側にぐるりと鉄筋入りの二重の基礎を造って家を取り囲み、その外郭をがっちり固めます。(イラスト1)

無筋の基礎の周りにもう一重の鉄筋の基礎をつくる(天野 彰)
イラスト1:無筋の基礎の周りにもう一重の鉄筋の基礎をつくる(天野 彰)

この“ベニヤ板一枚の耐震補強”は家一軒で二十枚ほど、わずか40~50万円の費用で大地震に生き残れるはずなのですが、なぜか現実のリフォーム現場ではシステムキッチンやインテリアなど優先されてしまうのです。せっかく快適リフォームをしても命取りになってしまわないように、リフォームチャンスの時にできる限りの耐震補強に費用をかけていただきたいものです。

津波に半壊したが生き残った木造の家 仙台沿岸部(天野 彰)
写真1:津波に半壊したが生き残った木造の家 仙台沿岸部(天野 彰)

さあ、あの巨大津波の大災害にもめげず、悲観的に考えないで、長い人生、家づくりはいかなる災害にもめげない安全で快適で、しかも積極的に“活きる”ための家づくりを想像し創造するのです。

今、東日本の沿岸に巨大な防潮堤が建設されています。もともと沿岸に住む人たちは古来海と共に生き、津波などの被害を想定して高台への避難などを考えてきました。今その基本思想が失われた街づくりが問題で、私ども建築家たちは災害直後、そうした巨大津波にも耐えうる、いざとなったら車両や漁船や器材とともに逃げ込める円型のコロニーづくり(イラスト2~3:中国永定にある客家〈はっか〉の土楼〈とうろう〉風集合住宅群)と、10mほどの津波ならやり過ごせる堅固な橋梁の上の街づくり(イラスト3)などを提案し、それをその年の5月にはNHKにて紹介もしているのです。

中国永定の客家の土楼のように逃げ込む波をやり過ごすスカイシップの街 高所避難所でもある(※2011年「建築再生展」での東日本復興のアイデアコンテスト提案例。同年5月NHK放送)

景観や環境を損ね、漁業にも支障を与えかねない、受けて立つ巨大な堤防をつくることよりも、円型の擁壁や舟形のピアは波の打ち返しをやり過ごすだけで、抵抗も少なくはるかに低予算で、しかも人々は今まで通りその沿岸のその場所に住めて街が活性化すると判断したからです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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