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台風に備えた家づくりでは「屋根」のメンテンスも重視
台風対策の中でも特に重視すべき屋根。その屋根材は、どのような基準で選ぶべきでしょうか。
家全体を守る存在の屋根材を選ぶ基準
代表的な戸建住宅用屋根材(以降:屋根材)として、瓦・スレート・ガルバリウム鋼板があります。「台風対策」という観点から、代表的な屋根材のメリット・デメリットを比較してみましょう。
【 瓦 】
メリット:重量があり、しっかりと工事してあれば、台風のような強い風でも飛びにくく防水性も高い。
デメリット:万が一瓦が飛んでしまった場合、その重みのために人や建物への被害が心配。
【スレート】(粘板岩などを薄く加工した板)
メリット:瓦よりも軽いため、飛ばされたり崩れたりした場合の被害が比較的小さい。
デメリット:比較的耐久性はあるが、劣化すると台風程度の風で釘が抜け、棟板金(屋根のとがった部分にかぶせる板のこと)が飛んでしまうことが多い。
【ガルバリウム鋼板】(アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板)
メリット:瓦に次いで暴風雨に対する耐久性がある。
デメリット:1.屋根材単体としては遮音性・断熱性が十分とはいえない。よって、日々快適に暮らすには追加で断熱対策・防音対策などが必要になり、費用が高くなる。
2.現場で加工すると保証対象外となるため、施工が難しく、十分な施工経験と技術のある業者を見つけにくい。
こうして比較してみると、どの屋根材も一長一短。メリットとデメリットをともに抱えていることがわかります。台風対策として、「万能の屋根材」というものは存在しません。台風に強い家をつくるためには「いかに素材のデメリットをカバーし、メリットを活かすか」を考えなくてはいけません。
何より屋根を万全の状態に保つことが重要
それぞれの屋根材の素材もつデメリットをカバーし、メリットを活かすかを考えるとき、「メンテナンス」が重要なポイントになります。
台風対策として注意すべきは、台風の時期に万全の状態の屋根を保つことができるかどうか、という点も重要です。新築時に十分な台風対策ができていたとしても、年数経過に伴う劣化・強度の低下は当然考えられることです。
たとえば、「釘が抜けやすい」というデメリットをもつスレートですが、あくまで「劣化している場合」の話。きちんと定期的なメンテナンスを行っていれば、釘が抜け屋根が剥がれる心配はありません。
瓦やガルバリウム鋼板は、メンテナンスの手間が少ない素材。しかし、それもまた「施工が完璧である」ことが大前提となります。瓦は強風で飛ばないよう、正確に施工しなければなりませんし、ガルバリウム鋼板は、遮音性や断熱性を高める工夫を盛り込んでおかなければなりません。
このように、屋根を常に万全の状態に保つことが、本当の意味での台風対策なのです。
しっかりとメンテナンスされた屋根材は、台風に強くなるばかりでなく、日々の暮らしにおいても役立ちます。たとえば、瓦は元々防水性や静音性に優れています。しっかり定期的にメンテナンスすることで、豪雨にさらされることになったとしても、うるさい雨音を気にすることなく快適な生活を送ることができることでしょう。
災害への備えと快適な暮らしを両立させるためには、設備や劣化度合いが目につきやすい室内や外壁だけではなく、屋根をも含めたメンテナンスに配慮した家づくりを検討することが大切です。
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