住宅関連記事・ノウハウ

子育ては喜びに満ちた経験である一方、経済的な負担も大きいものです。日本では少子化対策として様々な子育て支援策が実施されていますが、その内容は国の制度だけでなく、都道府県や市区町村によって大きく異なります。特に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県（いわゆる一都三県）は首都圏として多くの子育て世帯が集中する地域ですが、自治体によって受けられる支援の内容や金額に差があることをご存知でしょうか。

本コラムでは、一都三県の子育て支援制度を地域別に比較し、それぞれの特徴を詳しく解説します。転居を検討している子育て世帯の方や、今後子どもを持つことを考えている方にとって、地域選びの参考になれば幸いです。

全国共通の子育て支援制度

まず、住んでいる地域に関わらず全国共通で受けられる主な子育て支援制度について確認しておきましょう。

●児童手当

中学校修了前（15歳到達後最初の3月31日まで）の児童を対象に支給される手当です。

• 0〜3歳未満：月額15,000円（第3子以降は30,000円）
• 3歳〜小学校修了前：月額10,000円（第3子以降は30,000円）
• 中学生：月額10,000円（一律）

ただし、所得制限があり、扶養親族等の数や年収によって支給額が変わることがあります。所得制限を超える場合は、特例給付として月額5,000円が支給されます。

●児童扶養手当

ひとり親家庭などを対象とした手当です。支給額は所得や子どもの人数によって異なります。

金額についてはコチラを参考にしてみてください。(※外部リンク)

●子ども医療費助成制度

子どもの医療費を助成する制度ですが、対象年齢や助成内容は自治体によって大きく異なります。国の制度としては、小学校入学前までの乳幼児を対象に医療費の自己負担割合が2割となっています。しかし、多くの自治体ではこれを拡充し、中学生や高校生まで医療費を無料化している地域も多くあります。

●幼児教育・保育の無償化

2019年10月から始まった制度で、3〜5歳児の幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無償化されています。0〜2歳児については、住民税非課税世帯に限り無償化されています。ただし、給食費や行事費などは無償化の対象外です。

東京都の子育て支援制度

●東京都独自の支援制度

23区の支援制度例

東京都児童支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

江戸川区独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

多摩地域の支援制度例

町田市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

神奈川県の子育て支援制度

●神奈川県独自の支援制度

町田市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

●横浜市の支援制度例

横浜市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

●川崎市の支援制度例

川崎市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

●相模原市の支援制度例

相模原市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

埼玉県の子育て支援制度

●埼玉県独自の支援制度

埼玉県独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

●さいたま市の支援制度例

さいたま市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

●川口市の支援制度例

川口市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

●所沢市の支援制度例

所沢市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

千葉県の子育て支援制度

●千葉県独自の支援制度

千葉県独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

●千葉市の支援制度例

千葉市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

●船橋市の支援制度例

船橋市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

●柏市の支援制度例

柏市独自の支援について、最新のものはこちらからご確認ください。(※外部リンク)

一都三県の特色ある子育て支援制度

• 家賃補助
• 子育て世帯向けの家賃補助を行っている自治体は多いですが、補助額や期間は自治体によって異なります。

• 住宅取得補助
• 子育て世帯が住宅を取得する際の補助金制度がある自治体とない自治体があります。

• 公営住宅の優先入居
• 子育て世帯を優先的に公営住宅に入居させる制度がある自治体が多いですが、条件は異なります。例えば、埼玉県戸田市では子育て世帯が市内の民間賃貸住宅に入居する際に、最大月額2万円の家賃補助を最長36か月間行っていますが、同じ埼玉県内の他の自治体では家賃補助がないというケースもあります。詳しくは各自治体のホームページや、専門家に相談することをおすすめします。

一都三県の子育て支援制度と経済負担の比較

●教育費の支援

小・中学校以降の教育費負担も自治体ごとに異なります。

• 【東京都】
• 私立高校授業料の助成が手厚く、所得制限のある奨学金制度も充実。

• 【神奈川県】
• 県独自の奨学金や学習支援制度がある。

• 【千葉県・埼玉県】
• 公立高校の授業料負担が軽減される制度があり、自治体ごとに学習支援が充実。

●住宅支援と子育て環境

住居費や子育てしやすい環境も、経済負担に影響を与えます。

• 【東京都】
• 住居費が高いため、子育て世帯向けの家賃補助制度が一部区で実施されている。

• 【神奈川県・千葉県・埼玉県】
• 郊外では比較的広い住居が手に入りやすく、子育て支援住宅の整備も進んでいます。

保育サービスの比較と経済的影響

●東京都の保育事情

東京都では待機児童解消に向けて様々な取り組みが行われています。例えば、千代田区では区内在住・在勤者向けに企業主導型保育所の空き定員を活用する「企業主導型保育所活用事業」を実施し、保育の選択肢を増やしています。また、品川区では「保育緊急対策」として、区有地や国有地を活用した認可保育所の整備を積極的に進めています。

●神奈川県の保育事情

横浜市では「保育コンシェルジュ」という制度を導入し、保育園の入園に関する相談や情報提供を行っています。また、川崎市では「川崎認定保育園」という独自の認定制度を設け、認可外保育施設に対して補助金を出すことで保育の質の向上と保護者の経済的負担の軽減を図っています。

相模原市では「保育所等利用待機児童対策臨時給付金」として、認可保育所に入所できなかった世帯に対して月額2万円の給付金を支給する制度を設けています。また、大和市では病児・病後児保育の充実に力を入れており、「病児保育室ぞうさん」では市内在住者は1日2,000円で利用できるなど、働く親の支援を強化しています。

●千葉県の保育事情

千葉県では、市川市が「保育ルーム」という小規模保育事業を展開し、0～2歳児を対象とした少人数の保育環境を提供しています。また、船橋市では「預かり保育事業」として、幼稚園の教育時間終了後も保育を必要とする家庭向けに預かり保育を実施しており、補助金によって利用料の負担が軽減されています。

●埼玉県の保育事情

さいたま市では「のびのび安心子育て支援事業」として、認可外保育施設を利用する世帯に対して月額最大2万5千円の補助金を支給しています。また、川越市では「病児・病後児保育室カンガルーム」を設置し、病気中や病気の回復期にある子どもを一時的に預かるサービスを提供しています。

所沢市では「保育園等入園予約制度」を導入し、育児休業から復帰する保護者が事前に保育園の入園を予約できるシステムを整備しています。また、越谷市では「保育ママ制度」として、保育士や看護師などの資格を持つ人が自宅で少人数の子どもを保育するサービスを提供しており、きめ細かな保育環境が整っています。

教育支援制度の地域別特色

●東京都の教育支援

東京都では、私立高校に通う生徒への経済的支援として「私立高等学校等授業料軽減助成金」があります。令和5年度までは世帯年収約910万円未満の世帯が対象でしたが、令和6年度から、申請により所得に関わらず私立高校等の授業料負担を軽減することができます。

また、都内全域で実施されている「東京都育英資金」は、成績が優秀で経済的理由により修学が困難な高校生に対して、無利子で奨学金を貸与する制度です。

特徴的な取り組みとして、世田谷区では「子ども若者基金」を設立し、塾や習い事にかかる費用の一部を補助しています。また、江東区では「子ども食堂」への支援を強化し、地域での子どもの居場所づくりと学習支援を組み合わせた取り組みを推進しています。

●神奈川県の教育支援

神奈川県では「県内高校生等応援事業」として、私立高校に通う生徒の授業料を軽減するための補助金制度があります。また、横浜市では「よこはま学援隊」として、地域の人材を活用した放課後の学習支援や体験活動の場を提供しています。

川崎市では「川崎市奨学金」として、経済的理由により修学が困難な高校生に対して、無利子で奨学金を貸与する制度を設けています。また、相模原市では「学習支援教室」を市内各所に設置し、生活困窮世帯の中学生を対象とした無料の学習支援を提供しています。

●千葉県の教育支援

千葉県では「千葉県奨学資金」として、経済的理由により修学が困難な高校生に対して、無利子で奨学金を貸与する制度があります。また、千葉市では「放課後子ども教室」を市内全小学校で実施し、放課後の子どもの居場所づくりと学習支援を行っています。

市川市では「学習支援事業」として、生活困窮世帯の中学生を対象とした無料の学習支援を提供しています。また、船橋市では「ふなっこ学習クラブ」として、地域の人材を活用した放課後の学習支援や体験活動の場を提供しています。

●埼玉県の教育支援

埼玉県では「埼玉県高等学校等奨学金」として、経済的理由により修学が困難な高校生に対して、無利子で奨学金を貸与する制度があります。また、さいたま市では「さいたま市学習支援事業」として、生活困窮世帯の中学生を対象とした無料の学習支援を提供しています。

川口市では「地域未来塾」として、地域の人材を活用した放課後の学習支援を行っています。また、所沢市では「子ども大学ところざわ」として、大学や企業と連携した体験型の学習プログラムを提供し、子どもたちの知的好奇心を育む取り組みを行っています。

住宅支援と生活環境の比較

●東京都の住宅支援

東京都では「子育て世帯向け優良賃貸住宅制度」として、子育て世帯向けに家賃を減額した賃貸住宅の供給を促進しています。また、世田谷区では「子育て世帯への家賃助成」として、区内の民間賃貸住宅に住む子育て世帯に対して、月額最大2万円の家賃助成を行っています。

特徴的な取り組みとして、江戸川区では「子育て住宅認定制度」を導入し、子育てに適した設備や環境を備えた住宅を認定し、情報提供を行っています。また、多摩市では「多摩ニュータウン再生」の一環として、子育て世帯向けの住宅供給を積極的に進めており、地域全体で子育てを支援する環境づくりに取り組んでいます。

●神奈川県の住宅支援

横浜市では「子育てりぶいん」として、子育て世帯向けに家賃を減額した賃貸住宅の供給を促進しています。また、川崎市では「子育て等あんしんマンション認定制度」として、子育てに適した設備や環境を備えたマンションを認定し、情報提供を行っています。

藤沢市では「藤沢市住まい支援事業」として、子育て世帯が市内に住宅を購入する際に、最大20万円の補助金を支給しています。また、大和市では「空き家バンク」を活用した子育て世帯向けの住宅確保支援を行っており、地域の空き家を子育て世帯に紹介する取り組みを進めています。

●千葉県の住宅支援

千葉市では「子育て世帯向け住宅支援制度」として、市内に住宅を取得する子育て世帯に対して、最大30万円の補助金を支給しています。また、市川市では「子育て応援マンション認定制度」として、子育てに適した設備や環境を備えたマンションを認定し、情報提供を行っています。

船橋市では「子育て支援住宅」として、子育て世帯向けに家賃を減額した市営住宅の供給を行っています。また、柏市では「かしわで子育て住まいる応援」として、子育て世帯が市内に住宅を取得する際に、最大20万円の補助金を支給しています。

●埼玉県の住宅支援

さいたま市では「子育て世帯向け住宅取得支援制度」として、市内に住宅を取得する子育て世帯に対して、最大30万円の補助金を支給しています。また、川口市では「子育て世帯定住促進事業」として、市内に住宅を取得する子育て世帯に対して、最大20万円の補助金を支給しています。

川越市では「子育て応援住宅」として、子育て世帯向けに家賃を減額した市営住宅の供給を行っています。また、越谷市では「空き家リノベーション補助金」として、市内の空き家を改修して子育て世帯が居住する場合に、最大100万円の補助金を支給しています。

まとめ

一都三県の中でも、特に東京都は支援制度が充実しているものの、住宅費や保育園の競争が激しく、実際の子育て負担は大きいです。一方、千葉・埼玉・神奈川の郊外では住居費や保育園の確保がしやすく、バランスの取れた子育て環境を求める家庭には魅力的な選択肢となります。

専門家に相談して、住みやすい地域を見つけるのもおすすめです。

転居や引っ越しを検討している子育て世帯、これから子どもを持つことを考えている方々は、各自治体のホームページで最新の支援情報を確認したり、自治体の子育て支援窓口に問い合わせたりすることで、より詳細な情報を得ることができます。

子育ての喜びを最大限に感じながら、経済的な負担を少しでも軽減できるよう、賢く子育て支援制度を活用しましょう。

※最新の金額をベースとして、金額は年度に依り、変更になる場合があります。詳しくは各市町村のホームページ参考にしてください。