住宅関連記事・ノウハウ
2025年6月16日(月)
減築リフォームは高齢化社会を救う?
減築
の発想は、もともと資源がなく、湿度が高く、災害も多いわが国の住まいの”基本理念”でした。それが某イギリス誌に、復興経済から急激に躍進するビジネスマンを、エコノミック・アニマルの日本人の家はウサギ小屋
と揶揄され、その言葉に官民ともに触発されたのか、住宅金融公庫・年金住宅資金で持ち家政策を推進し、高度経済成長も後押しして、浮かれるバブル期の洒落た家
となったのです。
合わせて子ども部屋ブーム
と相成り、宅造、新興住宅地でのプレハブ住宅乱立となり、都市は拡大高密化し、今や湾岸タワーマンションの高層、高気密住宅となっているのです。
空洞化する都心の家を蘇らせる
結果今、都心部では子どものいない老夫婦だけの家となり、空き家だらけの歯抜けの街並となり、都心でありながら灯もまばらな住宅地となっているのです。
減築
はこうした未来を想像し、40年ほど前に増築ならぬ“減築”
の時代!などとあちこちに投稿をし、自らの著書『図解・住まいのソフトウエア』(凱風社1983年刊)に図柄で表記したものです。(表紙・頁:写真)
『図解・住まいのソフトウエア』(凱風社1983年刊)より(天野 彰)
なんてことはありません。子ども部屋など増築した部分を取り去り、さらに使われていない部屋を壊して中庭状にして採光と風通しを図る。と言う、あの町家に見られるようなわが国の都市型の住まいに引き戻すものだったのです。
家を縮め、都市を縮めて超高齢化社会を救う!
頻発する地震に備えて使われていない2階を解体し軽くし、耐震強化を図ると同時に、面積が小さく“スマート”になった分、住まいの質も構造も強化するのです。
また、経済・福祉問題に関して、万博以来親交の深かった、もと通産官僚、池口小太郎氏こと堺屋太一『油断』の石油ショックにも耐えられる、風通しの良い本質的な省エネルギー化を訴えたのです。
さらに雑誌ニューハウス
にて中年からの設計と題する特集記事にて堺屋氏と対談し、今日危ぶられる年金政策の超高齢化社会に生き残ることを見据えた住まいの提案だったのです。(ニューハウス1981年、特集記事頁紹介)
表紙と減築紹介頁)/ 拙著「狭楽しく住む法」(1980年:表紙は真鍋博氏作イラスト)(天野 彰)
減築
はまさしく狭くても楽しい“狭楽しく”住む
住まい方なのです。(写真:拙著狭楽しく住む法
1983年新声社)いま、残念ながらその予測通り、中東にまた火種が起こり、米価も、株価も、さらなる少子化に老齢年金も怪しげな時代となっているのです。
そんな中減築
で縮めた住まいで、老いの長い時間を、趣味を楽しみ、昔取った杵柄で教室や英語塾、あるいは喫茶店やプチ・レストランなどにするなど、老後の生きがいと糧にする建て主も多いのです。
次回は這ってでも暮らせる“私設療養室”です。
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