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建築家 天野 彰 家づくりは出会いと縁を結ぶ

はじめに

酉の市も終わり師走の足音が聞こえ、気忙しくなってきました。

多くの家の設計をお手伝いしてきて、いま改めて家づくりを考えてみますと、かつてのような家づくりの楽しさはなくマンション選びの感覚で“一個いくら”という感覚で建てる、造るという感じがしないのです。

半世紀以上ひたすら住宅を中心に設計事務所を運営してきた筆者の体験とその変遷を、エピソードを交え筆者の生き方生き様を振り返ってみたいと思います。

家づくりの実体験はあらゆる建物を醸成する

病院、療養施設はもとより工場、あるいは街づくりも家づくりで培われる体験から読み解くことができるのです。そこには人が住み働く建物としてすべての要素(element)と事象(event)が凝縮されているからです。

筆者はこうした家づくりを通じて多くの建て主や伝統工芸の大工や職人さんと出会え、その家づくりの手法で多くの医院や工場さらには寺院までの設計のお手伝いをさせていただいたのです。

これにより家づくりの発想や構成が素直に理解できて誰にも受け入れられるのです。建て主方も家づくりを体験することであらゆる建物の良し悪しを感じとられるようにもなるのです。建てる過程では多くの人に携わりいろいろなことも学ばれます。

家づくりは出会いと縁を結ぶ

筆者自身が生身の家の設計の栄誉与えられたのは先輩の友人の姉との出会いで、九州大分の臼杵でした。このことが筆者の家づくりの情念を掻き立て、後の人生を充実してくれるものとなるのです。

列車で20数時間揺られ単線の日豊線に入って降り立ったところは、山と海に囲まれ風物を守り通してきた入り江の町で、民家や造酒屋の軒先が鈍い鉛色のモノクロ映画にタイムスリップしたようでした。

漆喰の白と“はいいし”と呼ばれる凝灰岩の石積みと甍。あまりの重厚さとモダンとも思える洗練された伝統の町並みに圧倒され現代建築がいったいどう融合できるかと戸惑い、あまりに苛酷とも言える初めての体験でした。

はたしてこの伝統の重圧に耐えられるか。なだらかな傾斜の丘の敷地に立つと、そこにフランク・ロイド・ライトのタリアセン・ウェストの水平線や、あるいは風景に融け込むリチャード・ノイトラのガラス。さらに林に沈むアルバー・アアルトの白壁などなど、家のイメージが次々と浮かび、ますます困惑したものでした。しかしそれはずいぶん浅はかなことだったのです。

写真右・中:古都臼杵の街並み情景、現地で“はいいし”と呼ばれる阿蘇溶結凝灰岩の石垣、右:国宝の石仏 撮影/天野彰
写真右・中:古都臼杵の街並み情景、現地で“はいいし”と呼ばれる阿蘇溶結凝灰岩の石垣、右:国宝の石仏 撮影/天野彰

家族によっておのずと家のカタチが生まれる

屈託のない建て主の家族の一人一人と出会い、親しくなるにつれ、私のスケッチなど吹き飛んで、風景と地面に沿って一人一人が動き出し、その動きに合わせ間取りと屋根が並ぶようにプランと立面が自然に生まれて来たのです。

地場の“はいいし”の積み石も自然に家の中に入り込んで来るなど不思議な造形の体験をし、建物がまさに地に吸いつくように一体となり息づくのを覚えたものです。この感動は半世紀以上たった今日も新鮮で、その後あらゆる家づくりの場面でも建て主に支えられたように思え、奇を衒うのではなく建て主自体が自然に建物をつくってゆくのです。

家づくりは多くの出会いと縁を結ぶ

いま家を建てることを想像してみましょう。それはリフォームでもいい、思い切って今の家を壊して思い通りのわが家をつくってみる。頭の中で本気で想像をしてみるのです。具体的に敷地を想定して真剣にイメージをするのです。

その生の家づくりの体験をすることで建て主として重責と緊張感に包まれる瞬間です。いろいろな構想やカタチが浮かぶと同時に、家族の一人一人の顔や意見も浮かんで本音の思いも伝わってくる。次第に近隣や周りの景色も見えてきて、経済も重く圧し掛かってきます。

現代は幸か不幸かそのプランやカタチの情報に溢れ、プランニングソフトも進化し、敷地と建て主の情報を入力するだけで瞬時に一軒の家がはじき出されてくる時代です。しかしこれが本当にこの先何十年も家族が住む家なのでしょうか。

家づくりの縁が次の縁を結ぶ

改めて私が体験したあの古都での重圧に震えたことを思い出してみる。しかし家族と親しくなるにつれ、家族の一人一人がその地で動きだし、難しい辺りの情景にもすっと融け込んで行くような不思議な感覚を持った。

あとは地場産の杉と伝統的な“はいいし”の石積みと杉板がすべての空間づくりに加担してくれたのです。

こうして一軒の家を建てることで設計者や大工さん塗装屋さんや水道屋さんなど多くの人と出会い、アイデアや驚きも与られ、その後も多くの縁が生まれるのです。ときに人生を大きく変えることも起こるのです。家づくりは単に建てるだけではなく、皆と共に悩み考えることです。

この家づくりの縁で職人の伝統伎やその熱意が重なり、自身の苦労や普段には無い家族との対話も重なり、柱一本一本に想い出のある価値の高い家となるのです。近年こうした家づくりが失われ、誰が建てたかも誰が携わったかも解らない愛着の持てない建物が多いことがとても悲しく思えてならないのです。

図と写真左:臼杵“酒樽の家”南北断面図と西の立面図、南庭からの情景写真(岸崎隆生氏との共同設計)写真右:玄関の情景 現地で“はいいし”と呼ばれる阿蘇溶結凝灰岩の石垣積と樽桶端の杉板の壁、分厚い底板の階段段板
図と写真左:臼杵“酒樽の家”南北断面図と西の立面図、南庭からの情景写真(岸崎隆生氏との共同設計)写真右:玄関の情景 現地で“はいいし”と呼ばれる阿蘇溶結凝灰岩の石垣積と樽桶端の杉板の壁、分厚い底板の階段段板 天野 彰
浮かんできた雄大な南情景と西側の立面のファーストスケッチ
浮かんできた雄大な南情景と西側の立面のファーストスケッチ 天野 彰

次回はわが国伝統文化と近代建築の起源です。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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