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建築家 天野 彰 家づくり出会いと縁4 伝統工法の合理的強さ!

はじめに

新しい年が始まりました。またまた早々に震度6強の地震が鳥取から山陽にかけて起こり慌てました。一昨年の能登の地震と言い何か日本列島が太平洋から押され日本海に向けて徐々に移動しているかのような歪?を感じられます。

改めて南海トラフ巨大地震や首都直下地震を含めて、新年の建物の耐震強化と地盤の安定強化への教訓、いや“戒”のようです。

なぜ家や建物はアーキテクチャーなのか?

前回の筆者の貧乏旅行の続きですが・・・北欧から徐々にヨーロッパ中央に至ると近代建築バウハウスを含め機能主義のシンプルな斬新さを感じ、南欧に下る都度にルネサンス調が色濃くなり、伝統に圧倒されておもね?アールヌーボーからアールデコなどと活路を見いだす苦悩を感じたのです。

そもそも近代建築以前に、アーキテクチャーとは何か?などと言う疑念も生まれ、彼ら西欧の学生たちと原点に立ち返った議論をすると。筆者の建築の構成は石材のピースを重ね、堅固なアーチarchを組み上げる職人の技術のtechnicsの結集からではないかと言うと、ラテンや英語圏で学んだ彼らは、多くの職人を束ねること!がアーキテクチャー、つまりその語源はラテン語由来のarchi(最上の・トップの)とtekton(職人・技術者)の説と言う!

本来こうして家は建っているのです。

西欧のモダニズムの源流と日本の建築と「和」の美?

なにやら難しくなってきましたが・・・これから家を建てる人には、ぜひこうした建築の原点を知っていただき、キッチンやインテリア、家のつくり方や選び方の参考にしていただきたいのです。

果たしてその近代建築に大きく寄与したのはやはりバウハウス*の存在で、西欧中央に来て、深く感じることは創始のヴァルター・グロピウスやミ―ス・ファン・デル・ローエ、ル・コルビュジエなど世界に大きく影響を与えることになるのです。

しかも驚くべきは彼らが発想の飢えを感じ、活路を求め、逆にわが国の神社仏閣の建築や民家などの柱と梁のシンプルな構造様式や間取りの手法や画家たちは浮世絵や陶磁器の作風に大きな関心を持っていたことがうかがえ、影響を受けていたことでした。日本は、「和」はすごいのです!

木材とスティールで結ぶドイツの合理性とシンプルデザイン

その後の筆者の設計は、極力シンプルに構造を見せ、室内の調度のデザインも暖炉そして飾り棚を統一デザインにし、さらに玄関の階段の手すりや段受けなどを鉄筋とボルトで板を支え、飾り棚は天井の梁から鉄筋で吊り、コートハンガーまで鍛冶屋さんと骨組だけにと奮闘したのです。

左:穴開きスチールバーのコートハンガーと階段 右:鉄暖炉とダイニング鉄筋吊り飾り棚/天野彰
左:穴開きスチールバーのコートハンガーと階段
右:鉄暖炉とダイニング鉄筋吊り飾り棚
(図・写真筆者)

まさしく近代建築のモダンデザインのシンプルなカタチとはその骨組みの構造と各素材が持つ美との合理性からだったのです。

木造の「木組み」と「仕口」の軋(きし)みの技の柔軟性

木組みの柔軟な「仕口」こそ、枘(ほぞ)と枘穴による木と木の継手による伝統的な木組みで、あの関西・大阪万博の巨大な大屋根リングでお馴染み、清水寺の舞台の柱梁と貫(ぬき)の構造です。

木は切られてもなお生きていて乾燥し痩せ、湿気て太り反ったり捩じれたり、歪や隙間もでき軋みと粘りで柔軟に調整するのです。

あの阪神・淡路大震災などの突き上げるような直下型の揺れや熊本地震では震度7の揺れが2度たて続けに起こる破壊や、能登の地震など地盤が盛り上がりずれ、鉄筋のビルが突き倒されるような震度7の地震でも木組みの家は柔軟に耐え抜いたのです。

積雪の多い新潟中越地震でもなぜか倒壊した家は少なく、東日本大震災の津波でも仙台沿岸平野部では骨太の軸組木造は軋みと粘りで衝撃を和らげる木組みの柔軟性で踏ん張った例もあるほどです。

2014年清水寺舞台の根太梁と縁甲板の交換改修工事(世界遺産10周年)
2014年清水寺舞台の根太梁と縁甲板の交換改修工事(世界遺産10周年)


清水寺の懸崖構造木組みと無数の楔(くさび)梁上の三角状木材 (撮影:筆者)
清水寺の懸崖構造木組みと無数の楔(くさび)梁上の三角状木材 (撮影:筆者)

「仕口」と見える楔(くさび)のいなす“やわら”の持続性!

さらに地震や風、積雪などを仕口の軋みで柔軟に和らげる「縄組架構」さえあり、互いの材を縄で縛り柔軟に撓(しな)う白川郷の合掌造りは大雪や強風に300年も耐えてきたのです。

あの30余名を乗せて街中を優雅に練り歩く祇園祭の山車や鉾も縄組の技でしなやかに動く。しかも各部材をばらして保管しいつまでも使用できるのです。

大架構の清水寺などの懸崖構造は無数の「仕口」の楔(くさび)のアローワンスで揺れと歪みを柔軟に吸収、分散し、経年変化も各仕口を“見える楔”で自在に調整できるのです。

白川郷合掌造りの縄組積雪強風に備える柔軟性。 (撮影:筆者)
白川郷合掌造りの縄組積雪強風に備える柔軟性。 (撮影:筆者)


祇園祭の縄仕口の鉾30名も乗せぎしぎしと揺れて街を動く (撮影:筆者)
祇園祭の縄仕口の鉾30名も乗せぎしぎしと揺れて街を動く (撮影:筆者)


“やわら”の「柔構造」は、材に負担をかけず力をいなす「柔の減災」と言え、何が起こるか想定できない今日、こうした災害を止めることはできずとも、あり得る事象を想像し、それを“いなして”命を守る「防災」とも言えるのです。

そこで次回は「構造と仕組みから予算を抑える!」のお話しをと思います。

*バウハウス( Bauhaus)グロピウスがドイツ語で「建築の家」と表現しドイツのワイマールに設立。美術や建築に関する総合的な教育機関。装飾を極力廃して合理性を追求したモダニズム教育。なかでもミース・ファン・デル・ローエは建築のモダニズムを代表。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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