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震災以降の不動産の意識変化(2012年土地白書)
【1】震災以降の不動産の意識変化(2012年土地白書)
6月15日(2012年)の閣議で決められた2012年版「土地白書」これから土地を探す、中古住宅を探す読者のみなさまに、ぜひいちど目を通されることをお勧めします。193ページというボリュームですので、簡単にポイントを2つご紹介します。
【2】国土交通省 2012年版「土地白書」
こちらから白書では、中古住宅流通市場の活性化と東日本大震災以降の不動産に対する意識の変化を調査しています。結論としては、震災を契機に、耐震性能などの住宅性能が担保された中古住宅や新築住宅、特に戸建住宅への関心が高まっており、できれば土地と建物を所有したい方が増えている傾向が明らかになりました。
【3】2012年土地白書の知っておきたいポイント 震災による不動産に対する志向の変化に注目
第2章 第3節 中古住宅流通市場の活性化。「土地問題に関する国民の意識調査」によると、新築住宅と中古住宅のどちらを所有したいかについて「新築住宅がよい」「新築住宅・中古住宅どちらでもよい」と回答した方に、中古住宅に抵抗がある理由を尋ねたところ、「新築住宅の方が、気持ちが良いから」という回答が55.2%と最も高く、続いて住宅の個別性に着目した「中古住宅は間取りや仕様を自由に選べないから」と答えた方の割合が32.9%。
一方「中古住宅のリフォーム費用やメンテナンス費用が分からないから」(18.4%)「中古住宅の方が、品質に関する情報が少ないから」(14.6%)といった情報の不足を理由として挙げた方の割合は他の項目と比べても決して少なくありません。
また、中古住宅を購入したが、中古住宅購入時にどんなサービスを受けたいと考えていたかをみると、マンション購入者、一戸建て購入者いずれの場合も「耐震診断」「建物検査(ホーム・インスペクション)」が上位。やはり、中古住宅ならではの品質に関する情報ニーズは高いようです。
【4】震災による不動産に対する志向の変化に注目
- 第3章 第3節 震災を契機とする不動産に関する意識の変化
- 東日本大震災を受けて、不動産について以前よりも気になることを聞いたところ「耐震性能」を挙げた方の割合が58.4%と最も高く、以下「地盤の履歴(地盤沈下や液状化の恐れの有無など)」(33.1%)「自家発電設備や備蓄などの災害への備えの有無」(30.7%)「土砂崩れや津波等による家屋の損壊や浸水、流出等の危険性」(24.6%)などとなっています。
また不動産を所有した場合のリスクについて、どのようなものがあると考えるかという設問では、2011年度においては「維持管理・修繕・建て替え」(40.8%)、「不動産価格の下落」(24.8%)、「収入源等によるローン負担の増大」(23.1%)といった回答が上位に挙がっているものの、それに続いて「自然災害」を挙げた方が17.2%と、前年度に比べ6.6 ポイント上昇しています。この回答をみると、不動産所有における自然災害のリスクを改めて意識した方が多かったことがわかります。
白書では、住宅の所有に関する意識についても言及しています。まず、持家志向・借家志向について、東日本大震災の影響があるか聞いたところ震災の影響があったと答えた方の割合は「震災をきっかけにそう考えるようになった」と回答した方の割合(4.3%)と「これまでも考えていたが、今回その考えがますます強まった」と回答した方の割合(6.7%)を合わせて11.0%。その内訳をみると「土地・建物については、両方とも所有したい」という意識を強めた方が80.7%「建物を所有していれば、土地は借地でも構わない」という意識を強めた方が7.2%「借家(賃貸住宅)で構わない」という意識を強めた方が12.2%
全体としては、震災をきっかけとして土地・建物を両方とも所有したいという意識を強めた方が多くなったようです。なお、阪神・淡路大震災の際と比較すると、持ち家志向・借家志向について、震災の影響があったと回答した方は少なくなっています。
望ましい住宅の形態については、震災の影響があったと回答した方の割合は、「震災をきっかけにそう考えるようになった」と回答した方の割合(5.4%)と、「これまでもそう考えていたが、今回その考えがますます強まった」と回答した方の割合(8.0%)とを合わせて13.4%に。その内訳は「一戸建て」の志向を強めた方が67.6%「戸建て・マンションどちらでもよい」という意識を強めた方が21.2%「マンション」の志向を強めた方が11.3%。土地から探す戸建住宅の場合は、マンション以上に土地の状況を自分なりにしっかり見極め、土地・建物の状況も自分でしっかり確認、納得したうえで購入する方が増えたものと考えています。
これから土地を探す、中古住宅を探す読者さまは、全体の傾向を把握するため、いちど土地白書をご覧になってみてはいかがでしょうか。
土地・不動産に関するいままでの傾向と、国・地方が考えるこれからの方向性がほんとうによく理解できます。
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