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2025年4月1日(火)
震災以降の不動産の意識変化(2012年土地白書)
震災以降の不動産の意識変化(2012年土地白書)

2012年6月15日の閣議で決定された2012年版「土地白書」は、これから土地や中古住宅を探す方にとって非常に参考になる資料です。193ページとボリュームがありますが、今回は特に重要なポイントを2つに絞ってご紹介します。
国土交通省 2012年版「土地白書」

白書の調査内容
この白書では、中古住宅流通市場の活性化と、東日本大震災以降の不動産に対する意識の変化について調査が行われています。
調査結果の結論
結論として、震災を契機に、
- 耐震性能などの住宅性能が担保された中古住宅や新築住宅
- 特に戸建住宅への関心が高まっている
- 土地と建物を所有したいという意向が増加している
という傾向が明らかになりました。
2012年土地白書の知っておきたいポイント 震災による不動産に対する志向の変化に注目

中古住宅への抵抗感
白書によると、新築住宅と中古住宅のどちらを所有したいかという質問に対して、「新築住宅が良い」「どちらでも良い」と回答した人が、中古住宅に抵抗がある理由として
- 「新築住宅の方が、気持ちが良いから」:55.2%
- 「中古住宅は間取りや仕様を自由に選べないから」:32.9%
といった回答が多く挙げられました。
情報不足による不安
一方で、
- 「中古住宅のリフォーム費用やメンテナンス費用が分からないから」:18.4%
- 「中古住宅の方が、品質に関する情報が少ないから」:14.6%
といった、中古住宅に関する情報不足を理由に挙げる人も少なくありませんでした。
中古住宅購入時に求められるサービス
また、中古住宅を購入した人が購入時にどんなサービスを受けたいと思っていたかという調査では、マンション、一戸建てどちらの購入者も「耐震診断」「建物検査(ホーム・インスペクション)」が上位に挙げられ、中古住宅の品質に関する情報ニーズの高さが示されました。
震災による不動産に対する志向の変化に注目

震災後の意識変化
東日本大震災を受けて、不動産について以前よりも気になることを聞いたところ、
- 「耐震性能」:58.4%
- 「地盤の履歴(地盤沈下や液状化の恐れの有無など)」:33.1%
- 「自家発電設備や備蓄などの災害への備えの有無」:30.7%
- 「土砂崩れや津波等による家屋の損壊や浸水、流出等の危険性」:24.6%
といった回答が上位を占めました。
不動産所有のリスク
不動産を所有した場合のリスクについては、
- 「維持管理・修繕・建て替え」:40.8%
- 「不動産価格の下落」:24.8%
- 「収入源等によるローン負担の増大」:23.1%
- 「自然災害」:17.2%
という回答が上位に挙がりました。特に自然災害に対するリスク意識が前年比で6.6ポイント上昇しており、震災の影響が顕著に表れています。
住宅の所有意識
住宅の所有に関する意識についても調査が行われ、震災の影響があったと答えた人は11.0%。その内訳は、「土地・建物については、両方とも所有したい」という意識を強めた人が80.7%と大半を占めました。
これは、震災を機に土地・建物を両方所有したいという意向が強まったことを示しています。なお、阪神・淡路大震災時と比較すると、震災の影響があったと回答した人は少なくなっています。
望ましい住宅形態
望ましい住宅の形態については、震災の影響があったと回答した人が13.4%。その内訳は
- 「一戸建て」の志向を強めた方:67.6%
- 「戸建て・マンションどちらでもよい」という意識を強めた方:21.2%
- 「マンション」の志向を強めた方:11.3%
となり、戸建て志向が強まっていることがわかります。
まとめ
土地から探す戸建て住宅の場合は、マンション以上に土地の状況をしっかり見極め、土地・建物の状況も自分でしっかり確認、納得した上で購入する人が増えたと考えられます。
これから土地や中古住宅を探す方は、ぜひ一度「土地白書」に目を通し、全体の傾向を把握することをおすすめします。土地・不動産に関する過去の傾向と、国や地方が考えるこれからの方向性を理解する上で非常に役立ちます。
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