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改善が難しい『住宅弱者』の居住環境を向上させる施策は『一石二鳥』の取り組み
改善が難しい『住宅弱者』の居住環境を向上させる施策は『一石二鳥』の取り組み
国土交通省は、5月1日高齢者や障害者、子育て世帯などいわゆる「住宅弱者」が安定的に暮すための環境整備を図る先導的な取り組みに対して補助を行う「高齢者・障害者・子育て世帯居住安定化推進事業」の提案募集概要を公表しました。
4月から毎週のように発表されてきた住宅の省エネ関連施策に続き、住宅を切り口とした社会的なセーフティネット対策です。
深読みかもしれませんが、このタイミングでの提案募集には、単なる住宅の省エネ以上に、医療対策や高齢者、社会的弱者を《社会のしくみ》で支えていこうという強い意図が感じられます。その理由を以下で解説します。
1 ままでムダなエネルギーを垂れ流ししていた住宅について、住宅の高性能化や住宅設備機器の省エネ化によって、ムダなエネルギーを節約し、まち全体での消費エネルギーを節約すること。これは、もちろん社会的に大きな課題である『節電』も含まれます。
2 行政がセーフティネットをかけることで、改善が難しい『住宅弱者』の居住環境を向上させて医療費を削減するとともに、まち全体の省エネ化も進めるという一石二鳥の施策。あわせて、行政としては、これらの意図を理解し実現できる施工会社等を選別するという狙いもあるかと想定できます。施工会社を選定するにあたり、省エネ・介護・子育て支援などに具体的な対応ノウハウを持っている施工会社を選定する水準として、これらの制度への取り組み方を選定評価基準としてもつという考えかたになってきます。
"スマートハウス"とは、すなわち、『ひとが意図して操作しなくても、機械が自律的に通信する機能をもつ家』です。人が介在しなくても運用できる通信機能をもつということは、在宅のまま必要な医療・介護データのやりとりができる設備をも備えている家なのです。現在でも、在宅見守り機能として、たとえば電気ポットに通信機能を備え、電気ポットの利用状況で安否を確認する。という仕組みもあります。
象印マホービンみまもりほっとライン i-POT(外部リンクへ)
ただ、在宅のまま医療機関等とリアルタイムにデータがやりとりできる、ということは、すなわち在宅見守り機能のほか、トイレやお風呂場、テレビなどにセンサーを備えた能動的な健康状態確認サービスを安価に導入できるようになるということです。いわゆる自然素材を使った『健康になれる住宅』とは、ちょっと違うサービスが提供できる住まい。このようなサービスが提供できる意識をもつ施工会社や設計者を選ぶのも、ひとつの判断材料になることは、間違いありません。
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