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2025年4月1日(火)
「オール電化」料金割引プランの廃止要請へ
「オール電化」料金割引プランの廃止要請へ

経済産業省の要請
経済産業省の電気料金審査専門委員会は7月2日、家庭のエネルギーをすべて電気でまかなう「オール電化」の料金割引を廃止するよう東京電力に求めました。これは、オール電化住宅のみを優遇する料金制度は不公平であると判断されたためです。この方針は、東京電力の家庭向け料金の値上げ査定にも盛り込まれました。
見直しの背景
特定の機器購入を条件とするのではなく、より幅広い家庭に「昼は高く夜は安い」料金プランを提供することで、最大使用電力を抑制できると判断されました。これにより、オール電化割引を継続する意義が薄れたとの見解に至ったようです。
東京電力管内の状況
東京電力の発表によると、東京電力管内には102万件のオール電化住宅が存在します。しかし、急な廃止は混乱を招くため、既存契約者には十分な周知期間を設ける方針です。
オール電化料金プランの特徴
オール電化住宅向けの電気料金プランは、昼間の電気料金が通常プラン(従量電灯B)の約1.5倍と高くなりますが、夜間(23~7時)は通常の半分以下の料金に設定されています。
東京電力の「ピークシフトプラン」
東京電力は、家庭用電気料金の値上げに伴い、夜間の電気料金が安い「ピークシフトプラン」を導入しました。このプランでは、
- 夏季(7~9月)の夜間(23~7時):9.17円/kWh
- 昼間(7~13時、16~23時):26.53円/kWh
- ピーク時(13~16時):44.60円/kWh
と、夜間に比べて昼間の料金が非常に高くなっています。
しかし、このプランは電気の利用状況によっては逆に料金が高くなる場合もあり、普及は進んでいません。例として、5月28日時点で、8月上旬までの15万件の加入目標に対し、申し込み件数は110件にとどまっています。
今後の動向
現時点では、経済産業省の電気料金審査専門委員会から東京電力への料金割引廃止要請であり、決定事項ではありません。家庭向け電気料金の値上げは、経産相と消費者担当相が閣僚会議で協議し、最終的には経産相が認可します。査定段階では消費者庁との調整が行われ、消費者庁は値上げ幅の圧縮を求めています。
したがって、東京電力を含む電力会社の電気料金値上げは、今回話題になった「オール電化割引の廃止」を含めた大幅な値上げに直結するわけではありません。
これからオール電化住宅をご検討される際の注意点

慎重な比較検討
今回の廃止要請を受け、エコキュート、電気温水器、蓄熱暖房器などの夜間蓄熱式機器の導入を検討する際は、より慎重な比較検討が必要となります。導入後、数年程度で電気料金が値上がりし、泣く泣く設備機器を更新することにならないよう注意が必要です。
比較検討のポイント
比較検討の際には、
- LNG調達価格、原油価格、為替相場に影響を受けるガス(都市ガス・LPガス)との料金比較
- 設備機器導入コストの比較検討
も考慮に入れる必要があります。
住宅の省エネ性能の重要性
月々の光熱費は季節や住まい方、家族構成によって大きく変動します。最も効果的なのは、住宅そのものの省エネ性能を高めること、そして省エネ・節電を意識した暮らし方を心がけることです。
既存のオール電化住宅について
すでにオール電化住宅を導入してある程度の年数が経過している場合は、各種設備機器の交換サイクルに合わせて、ガス機器への交換も検討に入れると良いでしょう。一般的にオール電化機器の寿命は長めと言われていますが、設置から10年以上経過している場合は、随時点検、必要に応じて部品交換や本体交換を検討する必要があります。
日々の省エネ・節電
オール電化住宅は、住宅の躯体性能が高いことが多いです。そのため、省エネの工夫の効果が短期間で現れやすいです。オール電化住宅にお住まいの方は、料金割引廃止を心配する前に、日々の暮らしの中で省エネ・節電を積み重ねる方が合理的です。
※一般的には、オール電化機器、ガス機器、灯油利用機器とも、設置から10年以上経過している機器については、随時点検、必要に応じた部品交換、または本体交換の検討を始めたほうが良い場合もあります。
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