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和室って必要?おすすめの間取りや活用方法
1 和室って必要?
昔の家で和室といえば「接客室」「ゲストを泊める部屋」「仏間」「将来の親の部屋」など、たまにしかない来客や将来に備えるためのスペースでした。建築費などの兼ね合いから家の広さを縮めなければならないとき「和室そのものが不要」と、真っ先に間取りプランから落とす部屋の候補と考える方も少なくありません。和室をつくっても使い道を決めない「予備室」というのもよくある話です。「予備室」であれば、和室はいらないと考えてもおかしくはありません。
ところが、現在の家づくりで大切になりつつあるのは家族の日常生活を充実させること。そこで、和室を『家族が普段使いにできるスペース』として、新しい用途を見つけ出すことができます。例えば、和室の畳は主に自然素材でできておりクッション性があります。寝っ転がった感触もフローリングのように堅くなく、カーペットのようにチクチクしません。この特性は、赤ちゃんがハイハイする、ごろ寝などにぴったり。畳こそ、日本の気候風土にマッチした《癒しの素材》 といっても過言ではないでしょう。
2 和室のメリットとデメリット
和室のメリット
- ・和室は多目的に使える
- ・建具の使い方ひとつで、部屋の大きさや雰囲気を変えることができる
- ・ベッドやテーブル・チェアなどの家具がいらないとりあえず座布団1枚で寝っ転がることができる
- ・主に自然な素材である畳や和紙などは、季節を問わず快適
和室のデメリット
- ・無目的な予備室にすると床面積のムダ使い
- ・常に使用していないと、畳にカビが発生
- ・高齢になると、床に座る生活の負担が大きくなる
- ・寝室で使うときは、毎日の布団の上げ下げが面倒
- ・内装色などの部屋全体の色味・素材に配慮しないと、他の部屋のインテリアから浮いてしまう
- ・引き戸で大きく開放してしまうと空調が効きにくくなる
- ・畳だと床暖房をとり入れるのが難しくなることが多い
デメリットの中には、和室を普段使いすることで解消できるものもあります。また高齢になって和室が使いにくくなったら、洋室にリフォームする方法もあります。
3 失敗しない和室の間取り・レイアウト
上記のメリット・デメリットを踏まえ、失敗しない和室にするためのコツを考えてみましょう。
「内装色」と合わせた色味でまとめる
たとえば、ダークブラウンなどのアンティークな印象のリビングに、昔ながらの白木造りの和室を隣り合わせると、ふすまを開放した時に部屋の印象に差があり過ぎて、居心地の悪い空間になることも。和洋の統一感を意識して、なるべく近い印象の色でまとめましょう。
洋室との「目線の高さの差」を合わせる
和室で床に座った場合と、洋室でテーブルについた場合、目線の高さに大きな差が出ます。続き間のように和室と洋室をつくる場合は、和室を30~34cmくらい高くする『小上がり』にすると、目線の差が解消できます。小上がりとして高くした部分に引き出しを付け、収納場所にもなるので便利です。
『天井吊りスライドレール』で建具廻りをスッキリ
和室にふすまや障子をつけるときは、一般的に床に「敷居」天井に「鴨居」をつけます。それが洋室にマッチしないため、最近では天井からスライド金物で吊るようタイプも人気です。吊るすことで、「敷居」や「鴨居」が不要になり見た目もスッキリします。
畳の敷き方』は様式にこだわらない
畳を部屋全体に敷きつめるスタイルは、室町時代ごろに確立したものです。こうした様式にとらわれず家族に合った自由な敷き方を考えてみましょう。たとえば、畳の周囲を囲むように明るめの色調のフローリングを張ると、リビングの一部に和室をつくる場合でも床が自然につながる印象になって和室だけ浮いた印象にならなくなります。
畳は『縁が目立たないタイプ』を
シンプルな和室には、縁なし畳がおすすめです。縁なし畳の問題は、高価で傷みやすいということです。そんなときは、なるべく細くて淡い色の縁を選んでみましょう。昔ながらの模様の入った広い縁は、一見すると豪華ですがモダンな和室では逆に目立ち過ぎて野暮な印象になってしまう場合も。
押し入れは『収納するものに合った深さ』
ゲスト用の布団やおひなさまなどの収納には、押し入れがあると便利。一般的なサイズの押し入れは、中途半端に奥行きが深すぎて、衣装ケースを縦に入れても手前の空間が空いてしまうことから、手前に細かいものを突っ込んで、必要なものが取り出せない収納になってしまいます。
狭い和室では『吊り押し入れ』が効果的
宙に浮いたような形の『吊り押し入れ』は、床が広く見えることから、狭い和室にお勧め。押し入れの下に地窓を設けると、風通しもよくなります。
『仏壇置き場』には建具をつける
和室に仏壇を置く場合、建具をつけてその中に仏壇を置くと普通の居室として使いやすくなります。また宗派によって仏壇の方角などが異なることから、事前に確認が必要です。
4 家族で普段使いできる和室とは
普段使いするには、和室を独立した個室ではなく、普段使いしている部屋とつなげることで、使い勝手が良くなります。たとえばリビング・ダイニングにつなげて、子どものプレイルーム、家族のワークルーム、洗濯物をたたむといった家族のユーティリティスペースに。玄関ホールにつなげて、お正月やひな祭りなどのディスプレイスペースやご近所さんやゲストの応接スペースに。
和室の出入口に大きな引き戸を使うことで、空間をつなげることも仕切ることも比較的自由に行えます。
畳の快適さをはじめ、さまざまなメリットをもつ和室。ほかの部屋とのつながりを意識して、家族が無理なく普段使いできる空間づくりを目指しましょう!
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