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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 住まいの知恵(3)空間の狭さから解放する

○今回のポイント 1 対角線を利用して広がりのある空間をつくる
○今回のポイント 2 平面だけでなく縦方向で2階への繋がりを持たせる

この閉じ込められるような時代は、戦時中はもとよりいつの時代も動乱や戦乱の際にもあった。その住まいは壁や天井に囲まれている方がむしろ安心感があったのかもしれない。

わが視覚をだます?ことで息抜き!

前回お話した壁や天井の隅がカガミの映り込みで抜けていくように見せることは視覚操作で自分を騙して息抜きをする手法ですが、このコツは決して自分がカガミに映ってはいけないのです。元々が“姑息な”手法でその錯視(さくし)のトリックだと分かってはいてもかえって失望が大きいのです。
前回記事「憂鬱な時代のアクティブな家とは?」こちら

しかしこうした壁や天井がスリットやコーナーに隙間をつくって、連続するさまは高度な建築のデザインテクニックとして、古くはルイス・カーン、ミース・ファンデルローエ、リチャード・ノイトラそしてフィリップ・ジョンソンなどが住宅の間仕切りや、エキシビションの展示やレイアウトの際にもよく行った手法で、部屋が連続して自然に次の間に導き入れられアクティブになれるから不思議です。

ダイアゴナル・プランニング手法?

なんてことはありません。四角い部屋の対角線の位置から見るとその対するコーナーまでの距離は一辺の√2すなわち1.4倍以上長く、その分広さ感があるのです。

龍安寺方丈南石庭の対角目線と遠近法(写真:天野彰)
<龍安寺方丈南石庭の対角目線と遠近法(写真:天野彰)>
同上石庭塀の高さがコーナー向けて低くなっている(写真:天野彰)
<同上石庭塀の高さがコーナー向けて低くなっている(写真:天野彰)>

その例にあの世界遺産の龍安寺の石庭があります。方丈に客を迎い入れた玄関の上り端から庭を見ると、なんとはるか彼方まで広く奥行を感じさせるのです。これは広さを誇示するためのものではなく永遠の空間を感じさせる哲学的な意味と思うのです。僅か70坪ほどの庭に巧妙に配置された15の石も視る人に様々な想いを感じさせるのです。
まさしく遠近法と言われる視覚の妙と、なんとよく見ると長辺の塀と短辺の塀がコーナーに向けて微妙に高さを変え低くなっているのです。

私はこの手法を狭い住まいの間取りづくりによく使い、まさしく対角線に従ってプランを進めて行くダイアゴナル手法などと名付けて実際より広く感じるように努めるのです。

ダイアゴナル手法?(画:天野彰)
<ダイアゴナル手法?(画:天野彰)>

これは平面だけでなく立体的にも応用し空間の縦方向、すなわち二階にも視線を向けて広々と感じるのです。

足腰や視覚の不自由な老人施設などのトイレなど邪魔なドアが無くてもこうした壁の連続でその視界を遮るなどもその例で、住まいの廊下でもあえて玄関からの動線に変化を持たせる演出にもなり、角度によって突然外の緑が映りこんできたり、色調を変えるなど、物理的に心理的にも哲学的な空間づくりとも言えるのです。まさにあの桂離宮の数奇屋造りの手法でもあるのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ