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建築家 天野 彰 家相はある? おうちプランのきっかけ

身体と家のことは誰も迷い悩む

イラスト:どちらから見ても良相の<q>ひまわりプラン</q>(天野彰)
イラスト:どちらから見ても良相のひまわりプラン(天野彰)

長年の下向き製図作業がたたり頸椎を損傷し、首を上向きにするための補強“工事”をして来ました。意外に難工事で時間が掛かりましたが、何とか生還し、コラムの更新をと頑張っています。まだ手指に痺れがありキーの入力に手間がかかりますが頑張りますのでよろしくお願いします。

家づくりは身体同様にどうしても構造や仕組みを考えてしまい、まともに考えると難しいものです。こんなプランにしたい!・この写真のような家にしたい!など、外観や内装に関わることや、自分の生活の方針や子育てなどのライフプランに合わせて、いくらでも自身の希望はあるのです。このような要望を夫婦互いに考えリストにしまとめ、まとまらなくてもそのまま専門家にぶつければいいのです。

と言ってもいきなりバーチャルな空間を考え、見るのではなく、自分たちで実際の生活の動き、向きや方向までを細かくシュミレーションすることをおすすめします。最近はCGなどが進化し、いろいろな手法で形を見せられますが、そんな空間や絵に惑わされてはいけません。まずは自分たちの実際の生活をそこで試すことが大切です。そのうえで改めてプランを修正してもらうといいでしょう。

家相ってあるのですか?

プランニングの途中、よくある質問です。私はすかさず、ありますと答えることにしています。

なぜなら、その人が家相はあるのか?と案じているからです。案じてなければ気にも掛けず聞いても来ません。家づくりで何やら訳の分からない家相なるものがあることは知っていてもそのことが気になる人は、すでに家相の影響を受けていることになるからです。

現代社会おいて多くの人は、家相は単なる迷信かまじないのように思われてもいるのですが、筆者は家相の仕組みを丁寧に答え、合理的な点も説明します。それは、家づくりのプランが煮詰まってくる頃になって、夫婦のどちらかから家相の話しが持ち上がってくることが多いからです。設計が進むにつれどちらかの親や友人の誰かから気にして発言されるだけで、この家相に影響を受けてしまうようなのです。このIT、AIの現代社会にいったいなぜなのでしょう。

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家相の知識をプランに取り入れてみる

写真:同上外観写真(天野彰)
写真:同上外観写真(天野彰)

世の中が多様化し、とりわけSNSによって情報はまたたく間に拡散され、どこに居ても誰にでも一瞬に伝達され、考える暇もないです。日常生活もコンビニの発達で惣菜あり、宅配までありで、いちいち料理をすることもなく、もはや家族の『団らん』など死語となりかねない時代です。家づくりも、このキッチン一個いくら?と言った感じでプランが決まり、マンションはおろか一戸建てさえ“製品”となって、多額の費用を使いわざわざ土地を探して設計者や工務店を探して家を建てるなどは、もはや贅沢な趣味のようにも思われているのかも知れません。

家づくりはそこに住む人や家族それぞれの日常の営みや四季折々の生活、年々歳々の生き様や成長の場を考えることであり、人生を刻む場所であることが分かって、その重要性に気付くのです。こうして四季の移ろいと日照や風通しを考え生活を思うと家相はプランニングに何かしらの示唆を与え、プランづくりのきっかけにもなることも多いです。

家相で経済封鎖?!図面はすべてやり直し?

イラスト:経済封鎖を受けた家のプラン(右)と修正プラン(設計 天野彰)
イラスト:経済封鎖を受けた家のプラン(右)と修正プラン(設計 天野彰)

以前設計の中盤でプランに鬼門などの障りが多いこともあって、家相は気になりませんか?と尋ねたとき、ご夫婦からえっ?家相なんて迷信ですよね。と一蹴され思いがあったのです。が、今度は突然、家相に従ったプランにしてくださいと言われたのです。これは大事件です。その段階で家相に従ったプランにすると、すべての図面がパーになってしまうのです。

あれほど家相が気にならないかと確認をしたはずなのですが・・・なんで今さら?この段階では実施設計からすべてやり直しとなってしまい、設計の費用もかさむことになりますよと話し、その理由を尋ねると、両親からの資金援助を当てにしていたらしく、プランを見せると親の知人の家相家から大きく鬼門に障っている!と指摘され、こんな家に資金は貸せない!と言われたと言うのです。

両親の言い付けどおり家相に従ったプランにしなければ建てられないと、建築基準法違反ならぬ“家相”違反です。これは大変です。家相はこんな近代的な若い夫妻にまで根強く浸透していたのです。

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合理的プランを家相に従ったプランにする

写真:経済封鎖を受けた家の外観イメージ(天野彰)
写真:経済封鎖を受けた家の外観イメージ(天野彰)

建て主と共に大騒ぎとなり、何とか被害を少なく、今の合理的プランを活かせないかといろいろ模索し、考え、今の機能的プランをそのままに図のように“修正” 新たなデザインを試みたのです。

ご存じのように家相は鬼門などの方位と方角が重要です。その対処法とは、その障る鬼門が吉の方へ向かうように反転をしたのです。これが最高の良相のプランになったと両親や友人から言われ、ご夫妻も自分たちのプランが活かされ、しかも住みやすくなった!と大満足でした。

私自身の家相のお話 近代建築を誇る若き建築家は?

町家の断面図(設計 天野彰)
町家の断面図(設計 天野彰)

筆者自身、自分たちの住みやすい合理的なプランより家相に執着することはナンセンスだと思っていたのですが・・・、世代の違う親たちに資金の援助も断られるなど家相の根強さに驚かされたものです。そんな筆者自身の家づくりでこの家相ではにがい体験をしているのです。家づくりのさなか、妻が思いがけず大けがをしたのです。さっそく親たちから家の鬼門の指摘を受け、家相家に観てもらえと矢の催促です。新進の建築家としては、そんなはずはないと頑張ったのですが、さすがに妻の回復を願い、やむなく設計図を家相家に見せ、特段障りなしと言うことでホッとしたのですが、家の外の鬼門に相当するところに井戸や池などがないかと聞かれ、まさかと思いつつ、大工さんと敷地のあちこちを探ったところ、なんと!私どもが購入した土地の北東の端の鬼門に当たるところに古井戸らしきものが見つかったのです。

屋敷の売買に際し旧家屋の解体のガラやゴミなどを井戸に投げ入れ土で埋めていたものです。しかもそこには水が溜まり生きていたのです。これには工務店ともども驚き、さっそくきれいにさらえ、神妙にお祓いも受けたのです。その結果かどうか?妻は回復をしたような気もするのです。

なるほど近代建築ではなかなか説明のできない、ルールがあるようにさえ思えたものです。気が付いたら、このような自身の轍を踏まないよう、必ず古井戸や池の跡などをしっかりと探るよう努める家相信奉いたようです。

弱気になった途端家相が気になる

町家の断面図(設計 天野彰)
町家の断面図(設計 天野彰)

家相に全く興味のなかった人も、時に不幸に見舞われ、病気にでもなったとき、親戚や友人に何か言われると家相が気になるのはありがちで、やはり家相はあるのです。しかもこんなことがきっかけで家を建て替え、リフォームをしようと言う人も多いのです。若くして建てた自慢の家も、老いて人に指摘され、その家が気に入らなくなってしまう人もいると言うのです。こうして家族が住みやすい家よりも“家相のための家”となることもあり、注意が必要です。ま、考えようによっては、家相のあるなしにかかわらず、家を建てること自体、慎重でかつ丁寧に進めるべきと言うことなのかも知れません。確かに良相の家は風通しが良く、人の気もぐるぐる回れ、動きやすく、都市においても京都の町家のように家相を重視し、狭くても風の通りと方位を重視した平面で設計されていることも興味深いものです。

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筆者が考える家相のプランニング

建て主の希望を第一義に自由に推し進めたプラン
建て主の希望を第一義に自由に推し進めたプラン

まずは住みやすさ建て主の希望を第一義に自由に推し進めたプランをいくつかつくり、その上で家相の基本ルールを重ねて考え直し修正を施すようにしているのです。筆者が東西多くの家相家から聞いた方位を平均しまとめたイラストのような独自の家相盤の真っ黒となっている鬼門張り欠け、つまり家の北東と西南方位の45度の鬼門裏鬼門とを最重視し、さらにその方位にある家の張り出しと、欠け込み(のちに詳述しますが・・・、互いに建物の一辺の全長の半分以下相当の)と、水回りと出入り口だけは必ず避けるように修正するのです。

こうした最低限の家相の方位さえ守っておけば、無理したプランにならず住みにくい家ともならないのです。もし将来何かあった場合や、老いて気弱になったときも、あたふたと動ずることもないのです。家相を意識することは、今の家族や世相を見つめることでもあり、同時に家を持つことの責任と、家の持つ神秘的な重さを意識することでもあると思うのです。

このように私は、家相を住みやすさや合理性のプランの前に置くことはナンセンスだと考えていましたが、家族や周囲の人々の意識や経験を通じて、家相の存在や影響力を認識するようになりました。自身の家づくりでは、まずは住みやすさや建て主の希望を重視しながら、その上で基本的な家相のルールを考慮し、プランニングや修正を行っています。最低限の方位や配置のルールを守ることで、家族が快適に暮らせる家を実現することができると考えています。

家相にこだわりすぎて合理性や住みやすさが犠牲になるのは避けるべきです。家を建てる際には慎重かつ丁寧に進めることが重要であり、家相のあるなしに関わらず、家族の幸福や快適な生活を最優先に考えるべきです。家相を意識することは、家を建てる責任と家の持つ特別な意味を感じる機会でもあります。

以外にも若い人が家相を気にしている!わが家のリフォームしたいところはどこ?

リフォームしたいところはどこ?

家相が気になるかを訊ねるついでに、気になるリフォーム希望のか所はどこかも訪ねました。当時は水回りのリフォームが圧倒的に多く、その総数は半分近くにも達しました。

  • ・キッチン18%
  • ・浴室16%
  • ・洗面・トイレ12%

清潔・快適性を求めている事が確認できました。

  • ・反面、収納(14%)インテリア(9%)と暮らしが豊かになっていることも分かります。しかし耐震補強リフォームは災害が多いのに意外にも11%と低かったのは残念でした。

その住まいは、家相などのアンケートの特質からか、一戸建てや持ち家の方が総計72%と多くなりましたが、それでも賃貸の住まいの方からも多くの関心がありました。 家相が気になるかは、なんとなく気になるまでを含め総数で68%とほぼ7割の人が気にされていました。60歳台の人が70%を占めることは予想通りとしても、20~30代の若い世代がなんと!70%以上と家相に関心を示していることに驚きました。

若い人が案外家相を気にしているのはなぜなのか?

年齢別家相を気にしているか

最近の若い人たちが、スピリチュアルブームで、風水や易などに興味を持つ人が多いのですが、干支(えと)や星まわり、さらには風水にまで関心を示していることは周知のようですが、こんなIT時代だからこそ逆にこうした運命的なことが尊重されるのかも知れません。あるいはゲーム感覚なのかと思いきや意外にも本気のようです。 若い人たちのまで含め家相は昔から多くの人が気にし、家づくりにおいて必ず一度はその話題が上がるのです。

設計途中においても、家相があるかないかと問われることも多いのですが、実際に家が建ってその後、何か災いや障りでもあると必ず家相が悪かったのでは?などとなることが多いのです。その時いくらナンセンスと言っていた人も、身内や人に言わたり、そう思うと気持ちのいいものではありません。そこで私どもは、家相はある!と答えることにしているのです。

家相はわが国の精神文化なのか?

大先輩である建築家の故清家清氏
大先輩である建築家の故清家清氏

確かにこの調査自体がインターネット世代を対称にしていたことは事実ですが、その割にはその世代の方々から家相の関心の深さを知ることができたのです。

そんなことから、そもそも家相とはいったいなにかを改めて調べたのです。確かに今も年賀状のデザインの干支の“キャラクター”が問題になるのはいまも昔も変わりがありません。これは海外の友人からも良く尋ねられ答えると、たちまち彼らはわが国に神秘に魅了されるのです。私たちにとっては日常的な干支を中心として、古来それを時や日付、年号、八方位、さらに細かく24方位を表す表現にされているわが国の方位文化なのです。しかもその文化はさらに深く失われた多くの古代文明からこの太陽をはじめとする天地の陰陽は、その地にまた根ざして生きているのか…。

われわれが大先輩である建築家の故清家清氏をして家相は科学だ!家相は住まい設計の統計的な手引き書だ!などと言わしめたほど、その家と住む人の健康や安全の環境学と言えるのかも知れません。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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