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建築家 天野 彰 あけまして・・・今年は絶対家を建てる!!~新しい家の発想

1 あけまして・・・今年は絶対家を建てる!新しい家の発想

新しい年が始まりました。大災害で明け暮れした年も、政変や異常気象の年も確実に暮れて、新しい年が始まります。そんな中で家づくりはいずれお金が貯まったら、金利が安くなったら、地価が安くなったら、施工単価も安くなったら…などと家づくりは遅々として進みません。中でも子どものせいにして、子どもの受験が終わったら、あるいは同居で一緒に住むならなどとまるで彼らにプレッシャーを与えているような親御さんも多いのです。

いったいどうしてそうなるのでしょう。答えは簡単です。家を建てよう!家をリフォームしよう!と言う勇気がないからです。その間に自分にとっても家族にとっても確実に時が過ぎ、歳を取ってしまうのです。特に子どもたちと暮らす時間など長い人生から見たら“あっという間”のことなのです。しかも“お金が貯まるころ”には地価も施工単価も上がってしまうかも知れません。金利が下がり、景気が良くなれば今度は建てる人も多くなり一挙に地価も工事費が上がり、その質も不安となります。さらに確実なことは大地震の確率も年を追って高くなっているのです。

夫婦の「家時計」子どもと住めるのはほんの一瞬
子どもと暮らす時間など人生のほんの一瞬?(画:天野彰)

家づくりはいつの時代においても、いくら若くてお金がなくとも「今」なのです!昨年流行ったこの「今でしょ!」はまさしく家づくりの「今」、家族との「今」なのです。早ければ早いほどその快適で安全な家の歓びを夫婦で、家族みんなで供与できるのです。しかも老後の自分自身にとっても大きな安心となるのです。

さて、「今」時が過ぎ去るのをじっと待っていないで、まずはどんな家、どのようなリフォームが「今」の自分に合っているのかを模索しようではありませんか。そんな前向きな家族の家にこそ福は必ず舞い込むのです。

笑う門には福が来る
笑う門には福が来る(画:天野彰)

2 まったく新しい「家のかたち」をつくる?

今わが国は大きな3つの課題の上に成り立っています。しかもそれは生活に関することで、とりわけ老いの暮らしと住まいのあり方についてです。

その大きな問題は少子化と高齢化で、今さら聞きたくもないほど言い尽くされていることがらですが、実は実質的な生活に関して社会保障など、本質は何一つ変わっていないのです。さらに大きな問題にエネルギー問題がありますが、表面的にはこれもソーラーパネルをはじめとする再生エネルギー化などで、一部の人は率先して行っているものの、生活思想の中に有効には取り入れられていないのです。そして最後が明日来てもおかしくない巨大地震や都市直下型をはじめとする災害の対策で、交通や上下水道などのインフラの老朽化など、儲け優先、財政存続のためにますます危険度が増しているなどです。

さて、こんな困難な時代に如何に有効にかつ安全にわが家、わが暮らしそして人生を守るかですが、これはわが暮らし、わが生き方を根本的に変えることしかすべがないように思えるのです。その最大の手法が「減築」の発想です。つまり核家族化が進み、わが家、わが街が拡散し巨大化し過ぎているのです。いくらインターネットが進んでも人はリアルの中に生きて初めて人間となり家族となるのです。

そのリアルをどう具現化させるかと言えば、まさにかつての江戸や京都の暮らしのようにコンパクトに住むことです。しかも現代のそれは意外にも「個」を優先させることで可能となるのです。まさに夫婦はリアルに一緒に暮らしても、実は夫と妻の「個」が、“個々に暮らし”親と子もまた同じです。そうです、10歳を越えた子どもは既に子ではなく「個」なのです。まさにかつての元服と同じです。ましてや親夫婦、子夫婦の同居も二世帯ではなく4つ、さらにはその子を含めて5つ6つの「個」の暮らしの家なのです。

これは携帯電話が個々に普及して、家庭電話の必要が無くなったように、家族の「個」がそれぞれアドレスを持って勝手に社会と繋がる「モバイル」の暮らしなのです。このモバイル状態から、新たな住まいの暮らし方となり、このためのそれぞれの住まいのハードとソフトが確立し、まさに家族、親子が「個」でありながらリアルに強く繋がり、さらに責任ある「個」を社会に確立させるのです。

家族のそれぞれが最小の空間と装置で最小のエネルギーで暮らし、労働、さらには教育、そして医療福祉と密接につながり、その「個」の空間と装置がそれぞれの安全安心と自給自足し、新しいインフラと社会のシステムと連動していくのです。それがこれからの住まい、家族のかたちそして同居のかたちをつくるのです。

これこそがこれからの種々の問題を解決させる「住まいのかたち」いや考え方なのです。

ではそれは個の発想の住まいとはいったいどんなものか?どんな暮らしなのか?これからお話しをして参りたいと思います。まずはヒントとなるお馴染みの住まいの原点のイラスト3点を改めてご覧ください。

家の原点、江戸の裏長屋の家族の図
かつての洞穴の住まいの暮らしに戻る 戸の裏長屋の暮らしに戻る(画:天野彰)

日本の家は通気の良い傘の家
そして「個」が持つ家になりこれから新しい住まいのかたちを考える(画:天野彰)

3 同居の家の発想もそれぞれの個を優先!

家族それぞれの「個」を優先させることだけで“新しい家”が可能となる?のです。まさしく家族をゾウリムシのような「個」体で考えると、それぞれの最小限のスペースが見えて来てその結果、住まい全体はコンパクトな省空間となり、省エネルギーとなり、そして災害に対しても強度の確保も可能となるのです。さらに各「個」の存在がシンプルかつ明確となり、その家のプランニングの自由性も生まれるのです。

このことは特に同居の家のプランニングに言えるのです。息子すなわち嫁同居、さらには娘すなわち婿殿との複雑そうな同居プランさえも明快となるのです。夫婦すなわち夫と妻のそれぞれの「個」が独立性を持って明快となりシンプルなプランが生まれたように親子が時に一体、ときに別々に暮らせて、しかも家族の繋がりが強靭!となるのです。

言いかえると家族のそれぞれが因子となって独立し、それらの間にある廊下、居間、台所などが部屋でなく家の中の媒体的な空間、すなわちメディア的空間とみなしたソフトな間取りが生まれるのです。トイレや階段あるいは玄関などはそのメディアの中に適当に?配置するだけでよいのです。まさに方眼紙のマス目に部屋を配置するプランニングなどは論外としても、かつて私が提唱した空間の鎖(イラスト1)以上に、このメディア的プランニング(イラスト2)は自由性にとんだ創造性豊かな家となるのです。

空間がつながる鎖のプランニング、メディア的空間プランニング手法
左イラスト1:繋がる鎖の空間プランニング 右イラスト2:個と個の間にメディア的空間(画:天野彰)

「夫・婦寝室」和洋にもなる

家族の最小限の単位であるあの夫婦の寝室の、夫と妻の因子が極力接しながらも襖一枚、あるいは贅沢にも夫婦寝室の間にプライベートな中庭(イラスト3、4と写真)を挟んで独立するなどように、同居プランもさらに親子両夫婦のそれぞれの「個」を優先しながらさらに双方の間に居間と階段などのメディア的空間を挟んで、互いが接しながらも独立性の高い同居プラン(イラスト5)が可能となるのです。

イラスト3:襖の開閉で「夫/婦寝室」和洋も可能プラン(画:天野彰)

中庭を挟んだ「夫・婦寝室」、左の小さな中庭を挟んで夫の寝室が見える
イラスト4:中庭を挟んだ贅沢な「夫/婦寝室」(画:天野彰) 写真:左の小さな中庭の向こうに夫の寝室が見える

階段付近をメディア空間とした親子同居断面図

ちなみにこのプランでのポイントは、そのさらに子、すなわち孫たちは子夫婦のさらに奥に配置して“親夫婦ゾーン”からさらに遠ざけることなのです。意外にも同居の最大の欠点が、孫が“親夫婦ゾーン”に逃げ込んだり、親夫婦が子育てに干渉し過ぎる点を注意することなのです。[←]イラスト5:階段付近をメディア空間とした親子同居断面図(画:天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

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