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住生活コンサルタント 早坂淳一 ネクスト・アイズ株式会社 土地を利用する権利から住宅ローンまで

はじめに

前回から引き続き親名義の土地や、親が住んでいる土地の一角に建てる場合に確認すべき点について解説します。

今回は、親の土地をタダで使う使用貸借について。土地を借りるお金がかからないので、いいことずくめのように思えますが、相続のとき、いろいろなデメリットが顕在化します。

使用貸借(親の土地をタダで使う)

3つ目の方法は、親の土地をタダで使う使用貸借これは、子が親に対して権利金や地代も支払わずに「土地を借りるけど、あとで返す」という約束(契約)をして、子が親の土地を借りることを指します。この場合は、親から子に贈与を受けていることにはなりません。

この契約は、文書を取り交わさず口頭だけでも成立します。法的には、相当の期間が経過すると、貸した側から返却を請求できるのですが、まず、親から子に「土地を返せ」とは言われないかと思います。つまり、使用貸借として親の土地をタダで使うと、上記で述べた借地権相当額の贈与税は課税されないのです。しかし、相続のときには借地権の評価額分、相続税を多く払います。将来親から子供が相続するとき、この使用貸借されている土地が相続税の課税対象となります。

ただし使用貸借には当然、デメリットがあります。

(1) 相続税の軽減効果がない

土地は人に貸すことで評価額が引き下げられます。それが相続税の軽減効果になりますが、使用貸借では所有権は子に移っておらず、賃借権の評価額はゼロとみなされます。結果として、親の自用地として評価されます。

将来の小規模宅地等の特例の適用も考えておかなければなりません。相続税の小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住していた土地について、相続税評価額を減額できる制度です。

親の土地を無償で借りて家を建てた場合は、親と子が同居していたことを条件に小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等の特例)が適用できます。特定居住用宅地等の特例では、敷地のうち330m2までの部分の相続税評価額が80%減額できます。親と子が同居する家は、二世帯住宅も対象になりますが、区分建物として登記してしまうと特例が適用できません。同じ敷地でも、親と子の住居が完全に分離していると特例は適用できません。

(2) 誰が固定資産税を払うのか?

使用貸借では子供が土地を使っていたとしても、土地は親のものとして親が固定資産税を支払います。固定資産税程度の額を子が負担したとしても、子から親への贈与とはみなされません。

(3) 兄弟姉妹がいる場合相続争いの火種に

兄弟姉妹がいる場合、将来相続争いの火種になりかねない可能性を秘めています。土地は依然として親のものであって、家を建てた子の土地ではありません。親の相続が発生すると、その土地は等しく兄弟姉妹で分け合うべき財産になります。土地などの不動産は、現金と違ってかんたんに分けるわけにはいきません。だからこそ、相続人の間で争いの火種となりやすいのです。

親の土地に家を建てる場合には、事前に

  • 1.土地を利用する権利を何にするのか
  • 2.兄弟姉妹間のトラブルをどう回避するかこの2点をしっかり検討しておきましょう。

(4) 一人っ子でも、万が一の際に大きな問題が

上記では、兄弟姉妹間の相続争いを想定してみましたが「一人っ子であれば問題ない」というわけではありません。たとえば親の土地に家を建て、妻と子ども、そして自分の両親の二世帯で暮らしていたとします。このとき、自分自身が不慮の事故で亡くなったとすれば、建物は妻子が相続しますが、その敷地は引き続き親のものです。妻の立場では、亡夫の両親と同居することは落ち着かないものですし、親の立場では、嫁と孫が所有する家に暮らす気まずさが出てきます。

このような場合で敷地が使用貸借になっていると、家を売却してそれぞれの生活を再スタートさせようとしても、その不動産売却代金における妻の取り分はほとんど期待できません。つまり、妻の立場からすると、亡夫と自分の負担で家を建てて、義父母を一緒に住まわせたのに、まったくお金をもらえないまま住み慣れた住まいを出ていかなければならない、ということになりかねません。

使用貸借はデメリットをしっかり理解し、将来の対策を練ることが重要

親の土地にタダで家を建てることは、メリットづくめのように見えますが、事前に想定できるリスクについて専門家としっかり対策を練って、計画を進めていくことをおすすめします。

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住生活コンサルタント 早坂淳一住生活コンサルタント 早坂淳一

住生活コンサルタント 
早坂淳一
ネクスト・アイズ株式会社

大手百貨店にてクレジットカード事業の立ち上げやポイントカードシステムの運用、全店販促支援システムの運用、売場リニューアルプロジェクトなど、新規事業を中心とした業務に従事。 その後、携帯キャリア店舗改善プロジェクトや不登校児童・生徒活動支援プロジェクト、工務店支援プロジェクトに従事したのち、工務店にて営業を経験し、現在は第三者機関ネクスト・アイズにて、住宅コンサルタントとして活躍中。

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