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建築家 天野 彰 人生百歳の家とは?(5)井戸端住宅?住まいを凝縮しコンパクトに

「ウイズコロナ」時代の家づくりのヒントは医療現場にある

3カ月にわたる自粛生活が一部解除されましたが、もとの日常に戻れば再び第二波、第三波の感染爆発が心配されます。インフルエンザとは違って感染が知らない間に潜んで、時間差で攻撃する新型ウィリスはとても厄介です。この先当分の間はこんな見えないウイルスと付き合っていかなければならないのです。私はこんな厄介なウイルスをくっ付くと嫌な“真っ赤な微粉”に例え、しかも誰もが持っているものとイメージして注意しています。特にこの微粉は雨や湿気で融けてさらに染まると思うと嫌ですね。仮に特殊なメガネでこれを見ることが出来たら、なんと顔や手、髪や衣服のあちこちが“真っ赤になっている”と思うとゾッとします。こんな暮らしがずっと続くのです。

いくらテレワークが進んで進化したとしても職場や作業現場、さらには学校で一緒になれず生の対面なしでは到底満足できず生きてはいけません。しかし皆と合流するためにはすでに始まっている、あの通勤通学の押し合いのラッシュはどうしても避けられずクラスターの発生になりかねません。簡単に窓を開けて換気をすればよいと言うものでもなく、風が強く入る窓際に濃厚な感染者が居ればその風下の人は皆この“赤い微粉”に晒され、誰もが染まってしまいます。しかも雨でも降れば定着してしまうのです。簡単に「ウイズコロナ」の時代だと言え、具体的にどう暮らせばよいか分かりません。このことを考えるにはまさしく実際の医療現場で果敢に患者に寄り添う医療従事者の慎重な防止策を注意深く観察し、その現場の声を真摯に聞くことです。

まず外気に漏らさない陰圧された病院の集中治療室ICUのような医療現場に入る前準備が大変です。その現場に立入る前にマスクや手袋は当然のことにフェースシールドとキャップさらに頭から足への防護服の着用です。これを慎重にどれほど時間をかけているか聞くと驚くはずです。この大変なことこそが家族や周りの人のためにいかに必要なことであるかが分かって、決して他人事ではないと思うのです。
実はこのことが感染から逃れてさらに人と接するための最大のヒントなのです。まさか毎日防護服で出かける訳にはいきませんが、まさしく外出は外套と帽子さらに眼鏡が必須です。実はこのスタイルはあの霧のロンドンや疫病の時代のマフラーやスカーフのファッションの歴史にも学べます。現代は素材も進化しさらに軽く薄くしかも涼しい素材もあって新たなスマートなファッションも生まれることでしょう。

ウイルスを家の中に持ち込まない玄関の「前室」が必要

住まいをはじめ職場のスタイルも同じことが言えます。まさしくICUとまではいかずともまずは家やオフィスに入る前の「前室」が必要で、あの食品工場に入る前のエアーシャワーのような前室を設けることです。

なんてことはありません。今まで何どもご紹介したあのシューズクロ-ゼットです。この先、ちょっと違うのはそこで外套や帽子を脱ぎ、そこに手洗いやうがいもできる水回りを設けて強力な換気扇を付けることです。その上で室内に入るのです。今までの土間からは直接室内に入らず、今までの玄関との間は天井から下げたビニールシートで仕切るのです。いかにウイルスや花粉などを住まいに持ち込まないようにする心構えが必要なのです。

イラスト:原始時代の洞穴住宅プラン間取りのマトリックス
イラスト:原始時代の洞穴住宅プラン間取りのマトリックス(図:天野彰)

風通しを考慮した"井戸端"リビングと凝縮した個室の二面性

そして家族の団らんのスタイルも変わるのです。そんな間取りこそ、まさに原始のシンプルな洞穴の家で、さらには竪穴の住宅のようになり、家族はそれぞれがカプセルのような狭いながらも設備がそろった個室を持ち、家族の交流はまさに風通しの良い開放的な“井戸端”型のリビングとなるのです。
すなわち家庭内においても家族の誰が感染となってもそれぞれの個室の空気は外部に排出され、家の中はまるで陰圧?になるのです。その団らんはまるで井戸端のようなリビングでその中心には炉端焼きのようなキッチンがあり真上に強烈な換気扇で汚れた空気を排出するのです。もちろんこのスタイルはオフィスや作業現場でも同じで単に同じ空間を丸ごと空調するのではなく、それぞれを小さく凝縮し風通しを良くし、常に汚れた空気を排出する工夫が必要となるのです。

お馴染み家族一緒で楽しむ炉辺リビング(図:天野彰)
お馴染み家族一緒で楽しむ炉辺リビング(図:天野彰)写真2:S様邸

そんな凝縮された住まいやオフィスの余った部分を開放し井戸端のようなサロンにし?働き方が変わればオフィスや家が縮小されて唯一の交流の場が増えるのです

これから学校や職場や各種施設も再開されるようですが、ただ恐怖におびえるだけではなく、あの“赤い粉塵”を思い出し、過剰な警戒ばかりでなく、もっと工夫し積極的に生きて行く時代が来ているのではないでしょうか。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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