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住宅関連記事・ノウハウ

建築家 天野 彰 住まいは夏を旨とすべしとする

1 住まいは夏を旨とすべしとする?

住まいをお話していろいろの文献や多方面のご意見をお伺いすると、驚くことにわが国の家づくりはすべて健康思考によっていることが分かります。それはすべて従自然の発想から来ているのです。それはやはり湿気に敏感なものでした。風と水、風水の原点ともなっているのかも知れません。

対湿気こそ「住まいは夏を旨とすべし」の日本の住まい

わが国の家づくりで常に意識や思想は「徒然草」でした。わが国の偽らざる自然環境や生活、世相を的確に言い著している随想と言えます。しかも時代が変わって何百年もの間、人々が読み継ぎ、今も変わらぬ事実からそれこそが日本のそして日本人の真の生活と思えるのです。実際に明治そして戦後とこれほど急激に欧米化、近代化が進み、電化が進みハイテク社会となっても日常の生活は春夏秋冬の織り成しに基づいて営まれているのです。住まいをはじめとする生活は「湿気」の気候と風土の中に息づいていることを改めて感じるのです。暑いときも寒いときも常に湿気に係わり、まさに長い梅雨のときこそ、その住まいは本領を発揮し人にも建物にも優しい「健康住宅」だったのです。

安心安全の「セルフ・ディフェンス住宅」の発想

それに比べて諸外国の家の形は歴史を見てもその本質は対自然で対外的で、それは今もあまり変わっていないのです。それにも関わらずわが国はこれほど湿気の多い国でありながら、突如としてその本質の異なる家の形や工法と材料による「壁の家」を求めることになったのです。「断熱だ」「換気だ」と法規制まで設け、“厚塗り”の「健康住宅」となり、こうして今「衣」「食」に次いで「住」も見事に工業製品として商品化され、わが国の生活文化に浸透することになったのです。私の家には多くの留学生がホームステイをしました。彼らがわが家に来て最初に実体験するのが玄関で靴を脱ぐことです。知識で知っていてもこれは相当なショックとなっていたようです。この当たり前のことが実は世界的に観て驚くべき事実なのです。彼らはこの世界的なコロナ禍でもその体験を生かしていると言う。

「箱の家」から「傘の家」(画:天野彰)
<イラスト:「箱の家」から「傘の家」(画:天野彰)>

今人々は「衣」「食」「住」のすべてに自然の恵みを求めています。それこそが創造の源ともなっているようです。なんとこれが私たちの当たり前の文化だったのです。今やっと、本来の健康な暮らしへと世界が回帰しようとしているのです。しかしその反面人々は利便性の高い街に住みたがり、都市化され、密集化し、隣家との間は燃えない壁で囲います。

そこで都市に住んだかつての賢人たちは庭付きの家を諦めて、逆に家の中央に中庭に設け小さな“自然”を創ったのです。その一つが京の町屋です。この千年にも及ぶ都市生活の知恵こそが 従自然でありながら“対湿気の文化”です。その構造や工法まで進化して「健康住宅」となったのです。今さらにその知恵を生かし、真に健康な住まいづくりに役立ててみたいものです。

健康を考えたセルフ・ディフェンスハウス案(画:天野彰)
<イラスト:健康を考えたセルフ・ディフェンスハウス案(画:天野彰)>

イラストのように外壁を耐火耐風の強靭な壁としながらも、その中は木造のダブルスキンで、新しい形の町家のプランです。従自然のまさに災害に強い「セルフ・ディフェンス住宅」です。

私の住まいの発想はましに都市災害や地球規模の環境問題に対しても対ウイルス災禍や省エネルギーに対しても風通しの良い“安心安全の健康住宅”追い求めているのです。

2 シンプルな科学的思考で健康!

風と水そして光 風水に見る自然素材と間取りによる“裸足”の健康思想!

「風」と「水」そして「光」による設計思想と技法は、その素材の特質にもあったのです。わが国の住まい「和」の思想とは観念的なものではなく、数々の自然素材による自然加工の科学的な家であることです。

人々が今もなお本質的に求める「木の住まい」とは、「風」すなわち通風と通気の湿気すなわち「水」対策の健康思想の家であることが伺えるのです。それこそ幾度となく例えられる「すまいは夏を旨とすべし・・・」の一に風、二に風通しのシンプルな住まいであることのとおり、1000年も続き、冷暖房のある現代もなお日本の住まいの思考となっている。いかに近代化が進んで洋式の住まいになろうとも、その生活行動が変わろうとも「裸足文化」は世界に類を観ない日本の住まいの本質とも言える思想となっているのです。

しかしながら明治以降の急激な近代化と西欧思考、戦後の欧米志向や合理的な工業化により、それらは伝統工法や伝統技法の『匠』の名のもとに形象的で特別な趣向のような存在となっているのです。その近代化とは工業化で、売り手や生産者すなわち造り手側の合理的な発想により規格化され、工場生産のまさしく「prefabricated house」、あのプレハブ住宅の到来となったのです。自由設計の名のもとに企画型・規格型のパネル板による組み立て住宅となり、2×4インチ角の枠材とベニヤ板だけで造る骨のないツーバイフォー住宅「箱の家」となったのです。

こうして柱と梁と屋根だけの「傘の家」も、ベニヤ板に包まれ、内装もすべて工業生産のフローリングやボード貼りとなり、さらに外壁もスレートや金属板の型押しのサイディングボードなどとなり、しかも世の中は高気密高断熱の省エネ化が優先され、今や肝心の通気通風が二の次の「箱の家」と化しているのです。

本当の「日本の家」は軸組の「仕口」の妙にあった!

イラスト:何度も紹介したわが国の「傘の家」(画:天野彰)
<イラスト:何度も紹介したわが国の「傘の家」(画:天野彰)>

暖かい家は歓迎され、1000年の「夏の家」は形式的なものとなり、人々は化学物資と機械冷房と強制換気の家で暮らしているのです。しかし人々はやがて高齢化し、冷暖房に違和感や閉塞感を覚え不調をきたしてもいると言う。そして肝心の住まい自体も蒸れて傷みやすくなっていて、今改めて芯から無垢の自然素材と自然通気と風通しの良い「夏の家」すなわち『傘の家』が求められてもいるのです。名ばかりの匠の技の家づくりから、現代の技術で高機能を保持したまま、いかに健康的で通気性の良い自然素材の家をつくるかが大きな課題となっているのです。

3 明かりも灯りは健康に影響大?

健康効果は室内の色彩や照明などに大きく左右されます。壁や天井を無難な白にすることが多いのですが、実際には壁や天井が迫って見え、さらに目が疲れたりもします。壁の一面や天井などに彩度の低い色彩で抑え、照明の配置や間接照明にして、調光器などで明暗を付ける演出することも効果的です。

イラスト:照明の演出(画:天野彰)
<イラスト:照明の演出(画:天野彰)>

LED照明は健康に優しいか?

近年LED照明は省エネ効果が大きく蛍光灯の発光剤など廃棄物質も少なく一般的となって腐朽しています。が、青色LED光源から放出されるブルーライトを直接視ることで眼精疲労や、睡眠の妨げとなる間接的な障害も懸念されていることは衆知のことです。青色光のブルーライトと言っても紫外線は少なく目や皮膚に影響もなく虫などを呼び寄せないメリットもあるのです。しかしPC画面のバックライトは拡散しやすく焦点調整の為瞳孔収縮による眼精疲労と、睡眠前に長時間視ることで、生活リズムをつかさどる睡眠効果のメラトニン・ホルモンの分泌が抑えられ不眠や良質な睡眠が得られなくなるとも言われているのです。

昼間職場や外出先で長時間青色光を浴び、今日のようにテレワークなどで長時間PC画面を視て青色光に目を晒すことが多い時代は、せめてリビングやダイニングそして寝室などは赤色系のLEDか白熱灯照明にしたいものです。白熱灯の優しい光に包まれると心も自然に安らぐものです。

省エネは地球を守り自身の健康も守る

住む人も若い建築家も大工さんも、この自粛生活の中、住まいの在り方や生活の仕方の是非に気づき、その本質を探るような兆しも見えて来たようにも思えます。伝統継承も大切ですが、これからの新しい日本の住まい住まい方を創ろうとする機運になって来たとも思えるのです。

照明の発祥の地とも言える北欧の暮らしは、今も長時間夜に閉ざされる冬の生活、その装いこそ味わい深い“灯り”の文化となり、照明はことのほか敏感で今もその発展に余念がないのです。その灯りこそが目に優しく地球の環境にも優しいものです。

今思えば「省エネ文化」はあの第四次中東戦争(1973年)アラブ諸国の原油高騰で原油価格引き上げの政府発表だけで、突如トイレットペーパーが消え銀座の灯が消え、世間が真っ暗になったことからと言えるのです。当時の大阪万博以降、高度成長の好景気は音を立てて崩れ、建材などの生産も滞って高騰し現場は動かず、人々は建築を断念し仕事が無くなり、78年の第二次オイルショック収束までの5・6年間、苦渋の生活を強いられ、まさに今日のコロナ蔓延による自粛生活で改めてあの当時が思い出されるのです。

資源を持たないわが国の経済や生活はすべて資源輸入によって生かされていたことを、煌々と電気を着け、安穏と快適生活を送っていた私たちは思い知らされ省資源と省エネの姿勢を学んだのです。

灯りの演出は暗さを愉しむ“遊々”自適?健康住宅

暗い中で楽しめる木の温かい灯りとデッキから見た室内(箱根A様邸)
<暗い中で楽しめる木の温かい灯りとデッキから見た室内(箱根A様邸)>

今、地球全体でこのことを考え直さなければなりません。人類は古代の生活には逆戻りはできませんが、時にはテレビを消して電灯も消してろうそくや月夜の明かりを楽しむなど優雅で“豊かな生活”体験も必要なのかも知れません。新築やリフォームの際には、LEDと白熱灯双方で生活行動に合わせて照明器具を設置し、出来れば光源を剥き出しにするのではなく、造作で間接照明にし反射光にしたり、調光器で掃除のときは全開で明るくし、白熱灯を絞って暖かい雰囲気にして極力眼を休めるのです。調光で光を絞って“暗さを演出”すると眼だけではなく心も落ち着くのです。

リビング間接照明で演出スクリーンが下りてシアターに早変わり(I様邸)
<リビング間接照明で演出スクリーンが下りてシアターに早変わり(I様邸)>

こうして住まいを愉しみ、「あかり」と「暗さ」を愉しむ。生活に合わせて照明の明暗を行うことは省エネにもなり、生活にメリハリができて家族の表情も、心も豊かになり生活がドラマチックにもなるのです。
今改めて、まだまだ続きそうなこの自粛生活の中でこの“あかり”が元気と気力を与えてくれるはずです。これこそが悠々自適いや “遊々”自適の健康住宅なのです。

4 大切な睡眠を求めて、快適睡眠「寝室」

健康効果は室内の色彩や照明などに大きく左右されます。壁や天井を無難な白にすることが多いのですが、実際には壁や天井が迫って見え、目が疲れたりもします。壁の一面や天井などに彩度の低い色彩で抑え、照明の配置や間接照明にして、調光器などで明暗を付ける演出することも効果的です。

イラスト:照明の演出(画:天野彰)
<イラスト:照明の演出(画:天野彰)>

LED照明は健康に優しいか

近年LED照明は省エネ効果が大きく蛍光灯の発光剤など廃棄物質も少なく一般的となって腐朽していますが、青色LED光源から放出されるブルーライトを直接視ることで眼精疲労や、睡眠の妨げとなる間接的な障害も懸念されていることは衆知のことです。青色光のブルーライトと言っても紫外線は少なく目や皮膚に影響もなく虫などを呼び寄せないメリットもあるのです。しかしPC画面のバックライトは拡散しやすく焦点調整の為瞳孔収縮による眼精疲労と、睡眠前に長時間視ることで、生活リズムをつかさどる睡眠効果のメラトニン・ホルモンの分泌が抑えられ不眠や良質な睡眠が得られなくなるとも言われているのです。

昼間職場や外出先で長時間青色光を浴び、今日のようにテレワークなどで長時間PC画面を視て青色光に目を晒すことが多い時代は、せめてリビングやダイニングそして寝室などは赤色系のLEDか白熱灯照明にしたいものです。白熱灯の優しい光に包まれると心も自然に安らぐものです。

省エネは地球を守り自身の健康も守る

住む人も若い建築家も大工さんも、この自粛生活の中、住まいの在り方や生活の仕方の是非に気づき、その本質を探るような兆しも見えて来たようにも思えます。伝統継承も大切ですが、これからの新しい日本の住まい住まい方を創ろうとする機運になって来たとも思えるのです。

照明の発祥の地とも言える北欧の暮らしは、今も長時間夜に閉ざされる冬の生活、その装いこそ味わい深い“灯り”の文化となり、照明はことのほか敏感で今もその発展に余念がないのです。その灯りこそが目に優しく地球の環境にも優しいものです。

今思えば「省エネ文化」はあの第四次中東戦争(1973年)アラブ諸国の原油高騰で原油価格引き上げの政府発表だけで、突如トイレットペーパーが消え銀座の灯が消え、世間が真っ暗になったことからと言えるのです。当時の大阪万博以降、高度成長の好景気は音を立てて崩れ、建材などの生産も滞って高騰し現場は動かず、人々は建築を断念し仕事が無くなり、78年の第二次オイルショック収束までの5・6年間、苦渋の生活を強いられ、今日のコロナ蔓延による自粛生活で改めてあの当時が思い出されるのです。

資源を持たないわが国の経済や生活はすべて資源輸入によって生かされていたことを、煌々と電気を着け、安穏と快適生活を送っていた私たちは思い知らされ省資源と省エネの姿勢を学んだのです。

灯りの演出は暗さを愉しむ“遊々”自適 健康住宅

暗い中で楽しめる木の温かい灯りとデッキから見た室内(箱根A様邸)
<暗い中で楽しめる木の温かい灯りとデッキから見た室内(箱根A様邸)>

今、地球全体でこのことを考え直さなければなりません。人類は古代の生活には逆戻りはできませんが、時にはテレビを消して電灯も消してろうそくや月夜の明かりを楽しむなど優雅で“豊かな生活”体験も必要なのかも知れません。新築やリフォームの際には、LEDと白熱灯双方で生活行動に合わせて照明器具を設置し、出来れば光源を剥き出しにするのではなく、造作で間接照明にし反射光にしたり、調光器で掃除のときは全開で明るくし、白熱灯を絞って暖かい雰囲気にして極力眼を休めるのです。調光で光を絞って“暗さを演出”すると眼だけではなく心も落ち着くのです。

リビング間接照明で演出スクリーンが下りてシアターに早変わり(I様邸)
<リビング間接照明で演出スクリーンが下りてシアターに早変わり(I様邸)>

こうして住まいを愉しみ、「あかり」と「暗さ」を愉しむ。生活に合わせて照明の明暗を行うことは省エネにもなり、生活にメリハリができて家族の表情も、心も豊かになり生活がドラマチックにもなるのです。
今改めて、まだまだ続きそうなこの自粛生活の中でこの“あかり”が元気と気力を与えてくれるはずです。これこそが悠々自適いや “遊々”自適の健康住宅なのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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