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2025年11月29日(土)
地震のリスク(2)伝統木造に学ぶ「やわら」の耐震と減築?
まずは今の家を「減築」する
「わが生涯で起こり得るこうした事件や変化に対し、あらゆる想定をして思い切った『家の改革』に臨みましょう。大きな家は思い切って『減築』 し、縮めて風通しのよい家にして、余った空間を人に貸し、駐車場にして老後の糧(かて)にもするのです!」
2階を取り去るなど家自体を軽くすれば安心ですし、耐震強化もしやすくなります。これは、東日本大震災直後の混乱の中で書いた私の文章です。
直下型の地震に備えるには“吸震”効果?
阪神・淡路大震災などの突き上げるような直下型の揺れや、熊本地震では震度7の揺れが2度たて続けて起こり、多くの建物が耐えきれず倒壊した。

写真1:東日本大震災で津波にも持ち堪えた木造伝統建築(仙台沿岸部写真:天野彰)
しかし同様の揺れでも、積雪の多い新潟中越地震では倒壊した家は少なく、東日本大震災の津波でも仙台沿岸平野部では、流失物の衝撃で破壊されるも骨太の軸組木造は軋みと粘りで踏ん張った。衝撃を和らげる木組みの柔軟性と思えた。

写真2:阪神・淡路震災以降直下型の応力をゴム幕で吸震測定開発研究(写真:天野彰)
筆者自身、災害時の応力や想定外の事象を想像し臆病となり、計算値だけでなく素材や組み方も気になり、筋交いの矛盾する破壊などを見て、スパン内をゴム幕など柔軟な“吸震”効果を企業と検証し、今日で言う「制震ダンパー」などを試みたのです。
伝統木造の「仕口」の柔軟性と“見える楔(くさび)”の安心と持続性!
そんな中、あの多くの人を乗せて街中を優雅に練り歩く祇園祭の山鉾が縄だけで縛った仕口の技でしなやかに動くことに驚きました。しかも各部材をばらして保管しいつまでも使用できるのです。

写真3:祇園祭練りぎしぎし優雅に歩く山鉾と縄の縛り仕口(写真:天野彰)
改めて地震や風、積雪などの衝撃を仕口の軋みで柔軟に和らげる木組みの「縄組架構」です。互いの材を縄で縛り柔軟に撓(しな)う白川郷の合掌造りは大雪や強風に300年も耐えてきた、持続可能性も考慮しているのです。

写真4:白川郷合掌造り木組みの「縄組架構」(写真:天野彰)
さらに日本の伝統建築の合理的な耐震技術に驚かされます。あの清水寺の懸崖構造など、巨大な寺院の架構も無数の「仕口」のアローワンス(隙間)で揺れと歪みを柔軟に吸収し、経年変化に対しても各仕口の無数の楔(くさび)で調整することもできるのです。

写真5:清水寺懸崖架構の無数のくさびアローワンス(写真:天野彰)
雪の多い秋田など多雪地の民家も室内から“見える楔”でいつでも金槌で叩いて調整ができるのです。
現代建築の仕口や柱と梁の筋交いを柔軟にする
木造の木と木の組み合わせによる仕口はその素材に柔軟性があります。その補強としての筋交いもあるのですが、太過ぎる筋交いで梁が押し上げられてかえって破壊してしまうこともあるのです。柱材の阪割り以下か半割りほどがかえって撓(しな)って筋交いの役を果たすのです。ここにも柔の技があるのです。
これを現代では鉄筋コンクリート造などの梁間に斜に取り付け補強し、さらには制震ダンパーを取り付け地震時には収縮し、応力を吸収するのです。

写真6:合板で柱梁間裏打ち補強と吸震効果(當光寺耐震改修:設計アトリエ4A)
木造建築の耐震強化ではリフォームの際に室内側から12か16㎜厚の合板で裏打ちすると工費も安く補強と吸震効果も期待できるのです。
この原稿を書いている最中にも地震があり揺れています。「灯火親しむ・・・」候ですが、もすこし耐震対策「防災から減災」のお話をしましょう。
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