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建築家 天野 彰 減築思想で“ホームナーシングユニット実現へ

はじめに

今年のように梅雨になるかと思いきやいきなり真夏日となり、そのまま酷暑の長い夏!です。こんな気候がこの先続くのかと思うと、もはや住まいは暑さを避けるためのシェルターづくりが必要となりそうです。

そればかりか前回よりお話のように少子“超”高齢化で、身体が不自由となることを考えると住まいそのものが介護ロボット化も必要で、まさに住まいは人を包み防御してくれるシェルターとなるのでしょうか。

病院・介護施設が果たして機能するのか?

いずれ介護や入院も必要となるかもしれませんが…施設の中も人材不足で医療・介護施設の事業体も縮小や廃業の危機に直面もしているのです。やはりIT時代のセキュリティステムなど駆使し、極力在宅のほうが安心となるかも知れません。

さらに移動が困難となったら前回の“手つきトイレ”に加え、介助補助の装置やイラストのような新時代のトランスファーを駆使することも必要となります。平らな天井を自在に動くサポートシステムの方が車椅子よりスムースに動けるのです。

多くの老人施設や病院の車いすに頼る介護方法を見て思うのは、やはり介護側の思想で、本当は本人がギリギリまで自力で動く方が退化せずによいとも言われます。考えてみればわが国の家は畳の生活でなんとか工夫しながら暮らし、寝たきりとなっても気丈で痴呆になることも少なかったように思えてなりません。

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最期まで家に居たい!

これは誰もが願う人生末期の住まいの願望のようで、幾度かの筆者自身の入院体験からも、部屋の片づけや食事のサポートさえあれば、できることなら慣れ親しんだわが家で気ままに暮らしたいものです。

何よりも本人の自覚そのものによって大きく変わってきます。まさしく自身で老後準備をしていたかどうかです。そこで何より人の世話にならないよう、その想定される心身の可能性を考えて対処することです。

自身が生きていくための空間づくりです。筆者はこれを“繭の家”と称し、一人だけの裸の部屋を提案するのです。大袈裟ですが、なんてことはありません。その生活こそトイレだけは自分でしたい!です。

最期まで尊厳を守る裸の暮らし

前回の腰をずらして自身で便座に行くベンチ式トイレの発想から、今度はトイレの中のベッド!の発想です。それこそ本コラムでも何度も紹介して参りました自立介護のナーシングユニットです。なんてことはありません市販もされている天井走行のトランスファーです。

筆者はそれを人に頼らずわが身にハーネスorスリングを装着し、自身で操作し、部屋の中を裸のままベッドからトイレさらには浴槽そして車いすの乗り降りまで自在に動き回るというものです。

これを20年ほど前から筆者の事務所では研究試作をし、毎年東京台場のビッグサイトで開催される建築再生展に2度ほど試作モデルを展示し、実際に走行試験も行ったのです。

これを人手不足に悩む介護施設や、自宅でレンタル・ユニットして汎用されるべく共同開発企業を募ったのですが、次期尚早だったせいか、いまだ製品化に至っていないのが残念でなりません。

イラスト:自らトイレや浴槽まで自在に動く(画:天野彰)

イラスト:自らトイレや浴槽まで自在に動く(画:天野彰)

ホームナーシングユニット1号機(写真左:ビッグサイトにて)/<q>アースウォーク</q>2号機を試乗する筆者(写真右:ビッグサイト)

ホームナーシングユニット1号機(写真左:ビッグサイトにて)/アースウォーク2号機を試乗する筆者(写真右:ビッグサイト)

次回からはガラッと変わって、関心の深い家相についてお話ししようと思います。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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