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経産省、再生エネルギー買取制度の詳細決定
【1】経産省、再生エネルギー買取制度の詳細決定
経済産業省では、6月18日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について、調達価格・調達期間などを含む制度の詳細を決定。関連する省令や告示を公布しました。結論から言いますと、7月以降は家庭用・事業用問わず、月々の電気料金を節約するためどれだけ節電できるか。という対策に関心が向くと考えています。
経済産業省報道発表資料 平成24年6月18日(月)公表再生可能エネルギーの固定価格買取制度について調達価格及び賦課金単価を含む制度の詳細が決定しました。(施行日:平成24年7月1日)
【2】再生可能エネルギーの固定価格買取制度
こちらから(外部リンク)
平成24年度の価格・期間(今年7月~来年3月末まで)は調達価格等算定委員会の意見書のとおりです。具体的には、10kW以上の太陽光42円(税抜40円・20年)20kW以上の風力23.1円(税抜22円・20年)、15,000kW以上の地熱27.3円(税抜26円・15年)などと定められています。10kW未満の太陽光発電については、10年間42円で余剰分を買い取り。エネファームなどを使ったダブル発電の場合は、34円となります。
大半のご家庭に設置されている10kW未満の太陽光発電システムは全量買取の対象にはなりません。共同住宅など、太陽光発電システムの設置面積がそれなりに大きく確保できて、出力が10kW以上になって、初めて20年間に渡って同一価格で買い取りしていただけるわけなのです。
【3】再生エネルギー買取制度の詳細
本年度(今年7月~来年3月末)の再生可能エネルギー賦課金単価は0.22円/kWh。なお、本年度については太陽光発電の余剰電力買取制度に基づく太陽光発電促進付加金もあわせて負担することになるので、電気使用量300kWh/月、電気料金7,000円/月という『標準家庭』の負担水準は、全国平均で87円/月になります。なお、再生可能エネルギー賦課金は家庭用だけの負担ではなく、事業者で契約期間が残っている場合でも、今年7月1日以降の電気使用については再エネ賦課金が生じます。
【4】大量の電力を消費する事業所(再エネ賦課金の8割が免除)
国が定める要件に該当する場合が対象。国の認定手続を行った上で電気事業者への申し出が必要に。
【5】東日本大震災で被災された方(平成24年8月分~25年4月分に適用される再エネ賦課金が免除)
罹災証明を受けた方、避難指示区域等から避難された方は電気事業者への申し出が必要になります。
ただし避難区域等に所在している場合は自動的に免除。太陽光発電促進付加金も、同期間は免除されます。という減免措置もあります。
注)太陽光発電促進付加金単価は、電力会社ごとに異なるため、太陽光発電促進付加金単価と再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価を合計した金額に、1ヶ月の標準家庭の電気使用量である300kWhを単純に乗じると、以下の金額になります。1ヶ月あたり300kWhを使うと仮定した場合、すべての電力会社で一律66円の値上げとなります。(カッコ内の数値は、6月までの太陽光発電促進付加金に1ヶ月の標準家庭の電気使用量である300kWhを単純に乗じた金額です)
地域 | 料金 |
---|---|
北海道電力 | 75円(+66円/2012年度太陽光発電促進付加金 9円) |
東北電力 | 78円(+66円/2012年度太陽光発電促進付加金 12円) |
東京電力 | 84円(+66円/2012年度太陽光発電促進付加金 18円) |
中部電力 | 99円(+66円/2012年度太陽光発電促進付加金 33円) |
北陸電力 | 78円(+66円/2012年度太陽光発電促進付加金 12円) |
関西電力 | 81円(+66円/2012年度太陽光発電促進付加金 15円) |
中国電力 | 99円(+66円/2012年度太陽光発電促進付加金 33円) |
四国電力 | 105円(+66円/2012年度太陽光発電促進付加金 39円) |
九州電力 | 111円(+66円/2012年度太陽光発電促進付加金 45円) |
沖縄電力 | 99円(+66円/2012年度太陽光発電促進付加金 33円) |
次に、大震災を契機としてリフォームに対する意識は高まっていて、特に被災地を抱える北海道・東北や関東、そして東海地震や浜岡原発問題等のリスクを抱える中部エリアは6割以上と高い結果となっています。また、全体の1/3以上の方がすでにリフォームした親族や知人の影響を受けたと回答しています。
省エネリフォームに対する意識が震災を契機に変わった大きな理由として、震災そのものの影響はもちろん、計画停電や原発問題が影響を及ぼしたことは間違いありません。さらに、今年の冬は今夏以上に大幅な節電を進めていかないと今夏以上の電力不足に陥ることも予測されています。
家のなかで、暑さのあまり熱中症に陥ることも問題ですが、冬の寒さについても最悪の場合低体温症を引き起こす可能性がありえること。これは、東日本大震災でお亡くなりになった方々で、低体温症が直接のきっかけとなった方もいらっしゃったことからきています。
また、これからの住まいでは、できる限り消費エネルギーを減らして光熱費を削減しつつ、真冬でも、真夏でも、快適に節電できることが良いに決まっています。今回のアンケートでは、75.0%の方が予算を増額してでもより省エネ効果の高い商品を採用したリフォームを行いたいと考えており、省エネリフォームに対するこだわりがうかがえます。
今回の、復興支援・住宅エコポイントは省エネ改修や耐震改修に軸足が移っておりますが、この国の施策の方向性を上手に捉えて、少しでもおトクな新築・省エネリフォームを検討するのも良いでしょう。
【6】被災地の状況を見ながら住宅エコポイントを上手に活用
リフォームにおける共同住宅の申請期間が長いことは、被災地でのマンション修繕が遅々として進まないことを考えると、ほぼ納得できる期間です。先日の日経朝刊にも報道されておりましたが、仙台市宮城野区で不同沈下した高層マンションについて、ようやく建て替えが決まったという話をはじめ、大規模半壊した筆者の仙台市宮城野区の自宅マンション大規模修繕工事も、ようやく11月から着手できることを踏まえると、ほんとうにぎりぎりのタイミングだったと考えられます。
気がかりなことは、復興支援・住宅エコポイントの工事対象期間である11月以降に急いで着工すると、被災地に雪が舞うタイミングで屋根や壁、床を取り壊す時期にかかること。当面の応急措置が済んでいるのであれば、エコポイント狙いで急いで着工して家族が風邪をひいてしまう懸念よりも、春になってから復興支援・住宅エコポイントを使った本格的な修繕にかかるほうが、より理にかなっていると考えられます。
今回の住宅エコポイント財源は復興財源なので、あっというまに枯渇する心配はないかとも想定できるなか、被災地においてはあえて工事が集中する時期を様子見しながら、腕のいい施工会社に大規模修繕を依頼する、という考え方をしつつも、暖かくなるまで着工を待つ気持ちのゆとりが必要かもしれません。
被災地ではいまだに義援金や復興支援金の配分が滞っており、経済的な不安や風評被害も日に日に増している状況だけに、新築や修繕を待てる方は冷静に着工時期を検討し、暖かい被災地以外は、被災地の状況を見ながら早めに住宅エコポイントを上手に活用した計画を練るのが、よりよい活用方法かもしれません。
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