住宅関連記事・ノウハウ
自然の生命力に癒されて~グリーンと暮らす
1 自然の生命力に癒されて~グリーンと暮らす
2 グリーンライフを楽しむ5つのヒント
1 自然の生命力に癒されて~グリーンと暮らす
生活空間にグリーンを置く。それだけで住まいの雰囲気は一変します。グリーンには、お気に入りのインテリアや雑貨、趣味のアイテムなど空間を彩るさまざまなものをしっくりと融和させる不思議な力があるのです。今回は、そんなインテリア性の高いグリーンの魅力と、暮らしの中に上手に取り入れるためのポイントをご紹介します。
グリーンのもつ自然の生命力に癒されて
衣類や紙、調味料など、思えば私たちのまわりには植物から生まれたものがたくさんあります。植物は加工されて実用品になるだけでなく、葉の形や色の美しさを眺めるという観葉植物としての歴史も長く、江戸時代には軒先にシノブをつるして緑を楽しむといった使われ方もしていたよう。現在、室内に選ばれるグリーンは、亜熱帯や熱帯など湿度や温度が高い地域に自生していたものが多いため、光が弱く乾燥している日本の室内で生長させるにはちょっとした配慮が必要です。例えば、風通しや日当たり、湿度など。部屋の中でその生育環境を少しでも再現してあげることが大事なのです。そうすることで、芽吹いたり、葉を増やしたり、生物としての営みが見てとれます。空間を彩るという点では家具や雑貨と同じですが、この〝生きているゆえの変化〞がグリーンならではの魅力。
その自然の生命力が、私たちの心身に安らぎを与えてくれるのです。
グリーンのヒーリング効果は科学的にも解明されつつあります。例えば、植物が身近にあると精神の安定を示す脳波のアルファ波が増える、血圧や心拍数が減少するなど。これらの働きはグリーンから発生するマイナスイオンによるものかもしれませんし、美しい葉色を見て心が和むせいかもしれません。いずれにせよ、自然のリズムの中で生きるグリーンの力を借りることで、多忙な毎日の中でつい忘れそうになる生物としての本来のリズムを取り戻すことができるのです。
時は春
いのちあるものが生長するこの季節は〝グリーンことはじめ〞にふさわしい時期。数ある中から自分好みのグリーンをパートナーに選び、一緒に暮らしてみませんか。つづいてはインテリアグリーンを楽しむヒントをご紹介します。
「生きているゆえの変化」がグリーンならではの魅力
2 グリーンライフを楽しむ5つのヒント
グリーンが身近にある暮らしの心地よさを一人でも多くの方に知ってもらうために、グリーンと上手につきあうための方法をご紹介します。
置きたい場所を決めてから、ショップスタッフに相談する
基本的には、現物を見て気に入ったグリーンを購入するのがいちばんですが、購入前に置きたい場所をある程度決めておき、窓からの距離や日があたる時間帯などをショップのスタッフに伝えて、どんな植物がよいかを相談してみましょう。そのとき、グリーンを置こうと思っている場所の写真を持っていくのもおすすめ。写真を見れば当たりや風通しの状況もある程度はわかるので、育て方のアドバイスももらいやすくなります。
移動しやすい小さめのグリーンを選ぶ
多いのは、大鉢をひとつ選んでリビングに置くというスタイルだと思いますが、意外におすすめなのが、小さめのグリーンを集める方法。どちらも魅力的ですが、フレキシブルに対応しやすいのは、やはり後者といえるでしょう。
小ぶりなグリーンは水切れを起こしやすいので水やりのタイミングには要注意ですが、植物のコンディションに合わせて場所を移動しやすいのがよいところ。グリーンにとって落葉や葉色の変化は、その場所が適していないというサイン。適した場所は季節によっても違うので、急激な温度変化さえ避ければ、よりよいと思われる場所に移動させることは長くグリーンを楽しむうえで重要なのです。また、小ぶりなタイプを集める方法なら、その中のどれかがたとえ枯れてしまったとしても、ダメになったグリーンだけを取り除けばよいので、初心者にとっては手軽です。
水はたっぷりと与え、受け皿に残さない
グリーンを枯らせる原因のひとつが、水の過不足。水やりは、土の表面が乾いたら底穴から流れ出るくらいたっぷり与え、底にたまった水は捨てるのが基本です。大鉢の場合は水を捨てることが難しいので、水が受け皿にたまらない程度に、土の乾き具合をみながら水やりをしましょう。乾き具合は、植物の水を吸う量、季節、日当たり、風通しなどの環境、土の状態、鉢の大きさなどによって変わるため、あまり機械的に決めず、土を触って乾いているかどうかを確かめてから行うことが大切です。
購入時はスタッフに相談・小さめのグリーンを選ぶ・水やりは受け皿に残さずたっぷりがコツ
グリーンの名前は正確に控えておく
グリーンの名前をきちんと控えておくことも大切です。なぜなら、購入後、ショップスタッフなどに育て方を相談する際、正式な名前がわからないと正 しいアドバイスがもらえないため。逆に、名前さえわかっていればインターネットで検索したり、本で調べたり、必要な情報にすぐアクセスできます。同じ理由で、原産地を知っておくのもおすすめ。大切なグリーンのプロフィールを理解するのが、上手に育てる秘訣なのです。
優等生的に育てるよりグリーンとの生活を楽しむ
教科書的な育て方にとらわれると、グリーンとの暮らしが楽しくなくなってしまうので、パーフェクトな状態を目指しすぎないことも大切です。例えば、「売られていたときの白いプラスチック鉢は植物にとってよくない」などと言われることがありますが、実はそうでもありません。確かに、素焼きや陶器の鉢は通気性がよいのが利点ですが、大きなサイズになるほど重量があり、動かすのが大変です。
そのため、植物の状態に合わせての場所移動がしづらく、水やりの際も鉢ごと外に出しにくくなるなど、ケアが二の次になりやすいというデメリットも。その点、プラスチック鉢は軽くて、壊れにくく、安価なのが利点です。その質感が気になる場合は、陶器などの鉢カバーに入れれば目隠しできます。あまり統一感に縛られず、グリーンライフを楽しむことを優先させましょう。

何よりグリーンとの生活を楽しむことがコツこんなグリーンなら、育てやすい! 「グリーンを育てるのは苦手」という方におすすめなのが、多肉植物。肉厚で、まるいフォルムが特徴的な多肉植物は、肉厚の茎や葉の中に水を貯めておくことができるため、あまり頻繁に水を与える必要がなく、グリーン初心者や多忙で留守にしがちな人でも比較的扱いやすいのです。サボテンなども含め、多肉植物と呼ばれるものは種類が多く、その性質や育て方もさまざまですが、ショップで手頃に入手できる種類は基本的に丈夫で栽培しやすいものがほとんど。また、ゴムノキの種類など、昔からなじみのあるグリーンは丈夫で育てやすいのが特徴です。
>情報提供:住宅情報マガジン『余はくvol.21 春夏号』
P8~P12(2014.4.20発行)
取材・文/冨部志保子氏 写真提供/さとうゆみこ(P10-11)、イデー(P09・P12)
関連記事
- ドイツに学ぶインテリアキッチン
- やっぱり、おうちごはん!
- 北欧スタイルの魅力~人にやさしい北欧アイテム
- どうしてそんなに植物が必要?~グリーンと暮らす
- この秋、和を愛でる
- お月見、菊酒、旬菜料理・・・ ~この秋、和を愛でる
おすすめ特集
人気のある家をテーマ別にご紹介する特集記事です。建てる際のポイントや、知っておきたい注意点など、情報満載!